「異名」の意味と使い方とは?有名人や月の一覧と類語も紹介

「異名」は古今東西の権力者や有名人に与えられていますが、人によっては本名より知名度が高いこともあるほどです。また、月の異名には風雅なものが数多くあります。この記事は「異名」の意味と使い方に加えて、有名人や月の異名と類語も紹介しており、語句への理解がより深まる内容となっています。

「異名」の意味とは?

「異名」の意味は本名とは別の名前のこと

「異名」の意味は、“本来の名称とは異なる名前のこと”です。人については「あだ名」のことも指します。

また、生物学においては同一種に対してつけられた複数の学名である「同物異名(どうぶついめい)」のことも、「異名」といいます。

「異名」の読み方は”いみょう・いめい”

「異名」の読み方は“いみょう”または“いめい”です。

「異名」の使い方とは?

「異名」は一目置かれていることの表れ

「異名」は、つけられた本人にとって喜ばしいものであるとは限りません。しかし「異名」がつけられたということは、その名に値するほどに評価され一目おかれているという意味合いがあるのです。

例えば「〇〇王」の異名をとっているなら、「〇〇」に関しては他の追随を許さない強者であると評価されたということになります。

「異名」は基本的に他人がつけるもの

「異名」には颯爽としたかっこいいものが少なくありませんが、周囲の人や後世の人がその人をかっこいいと評価したからこそ、かっこいい「異名」が与えられているのです。

つまり、「芸名」や「リングネーム」とは違って「異名」は基本的に他人がつけるものであり、自分でつけた呼び名を称するときには「自称」とするのが適切でしょう。

「異名」を使った例文

「異名」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 「千里眼」の異名をとる彼女の検品は完璧で、今まで一度もクレームを受けたことがない。
  • 今回派遣された技術者は「マジシャン」の異名で知られ、どんな注文でもこなすらしい。
  • 水戸藩第2代藩主である水戸光圀は、本名より異名の「水戸黄門」でよく知られている。
  • 「白鷺城」の異名を持つ姫路城は、本当に白鷺が翼を広げたような優雅な姿だった。

有名人の「異名」とは?

「仏陀」はゴータマ・シッダールタの尊称

仏教の開祖として知られる「仏陀」の本名はサンスクリット語のゴータマ・シッダールタです。「仏陀」は”目覚めた人”や”悟りを開いた人”という意味を持ち、人々の尊敬の念が表れています。

ゴータマ・シッダールタの「異名」としてはほかにも「釈尊」や「お釈迦様」がありますが、これはゴータマ・シッダールタが釈迦族の王子だったことに由来しています。

「神童」の名にふさわしいモーツァルト

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、誰もが知っている天才音楽家です。ザルツブルクの宮廷作曲家だった父は息子の才能を見抜き、幼少時から英才教育を施したのです。

子供の頃から天才性を発揮し8歳で交響曲を作曲したモーツァルトは、「神童」の名をほしいままにしました。

「国士無双」と謳われた韓信

劉邦に天下を取らせ「国士無双」と謳われた韓信は、若い頃は周囲から軽んじられていました。町の無頼漢に馬鹿にされて股をくぐった故事は「韓信の股くぐり」として知られています。

やがて劉邦に取り立てられた韓信は、敵将を次々と撃破し劉邦を勝利へと導きましたが、後に謀反の疑いを掛けられ不遇の最期を遂げたのです。

月の「異名」一覧

月の「異名」は数十個以上も

1月から12月の「異名」を尋ねられた場合、多くの人は陰暦で用いられていた「睦月」から「師走」をあげるでしょう。しかし各々の月は、それぞれ数十個以上もの「異名」を持っているのです。以下にその一部を紹介しましょう。

月の「異名」一覧

  • 1月:霞初月(かすみそめつき)・暮新月(くれしづき)・太郎月(たろうづき)
  • 2月:初花月(はつはなづき)・梅月(うめづき)・梅見月(うめみづき)
  • 3月:晩春(くれのはる)・桜月(さくらづき)・早花咲月(さはなさづき)
  • 4月:卯花月(うのはなづき)・得鳥羽月(えとりはのつき)・ 夏初月(なつはづき)
  • 5月:菖蒲月(あやめづき)・五色月(いついろづき)・狭雲月(さくもづき)
  • 6月:弥涼暮月(いすずくれづき)・風待月(かぜまちづき)・涼暮月(すずくれづき)
  • 7月:秋初月(あきそめつき)・七夕月(たなばたづき)・初秋(はつあき)
  • 8月:初月(はづき)・秋風月(あきかぜつき)・草津月(くさつづき)
  • 9月:玄月(げんげつ)・色取月(いろどりづき)・菊開月(きくさきづき)
  • 10月:神去月(かみさりつき)・小春(こはる)・時雨月(しぐれづき)
  • 11月:神楽月(かぐらづき)・神帰月(かみきづき)・霜降月(しもふりづき)
  • 12月:除月(じょげつ)・弟月(おとうづき)・親子月(おやこづき)

「異名」の類語とは?

類語①「二つ名」とは本名以外の呼び名

「二つ名(ふたつな)」とは正式な名称以外の呼び名のことで、「異名」と同じ意味で用いられています。

特に対象を特徴づける端的な呼び名のことを指し、戦国武将の「独眼竜(伊達政宗)」や「蝮(斎藤道三)」などは、本名以上に本人の特徴を言い得たものといえるでしょう。

類語②「通称」とは一般に通用している呼び名

「通称(つうしょう)」とは、正式名称ではない呼び名で世間一般に通用しているものを指す言葉です。「異名」や「二つ名」と同じ意味で用いられますが、改名せずに本名とは別の名を用いたい人が使う名前も該当します。

また「通称」は人名だけでなく地名にも使われ、「羽田空港(東京国際空港)」や「坂東太郎(利根川)」などがよく知られています。

まとめ

「異名」の意味と使い方のほか、有名人や月の異名と語句の類語も紹介しました。本名がつけられるとき、その人がどのような人物になるのかは誰にもわかりません。

しかし「異名」はその人の評価を反映したものが与えられます。「異名」が本名よりその人らしさを表しているのは、当然のことといえるでしょう。