敬語「いらっしゃる」の意味と使い方は?「おられる」との違いも

「いらっしゃいませ」は、お店に入ったときなどによく掛けられる挨拶ですが、この言葉の元である「いらっしゃる」は、敬語であることに加え複数の意味があるため、使い方に注意が必要です。この記事では敬語「いらっしゃる」の意味と使い方のほか、「おられる」との違いや尊敬語・謙譲語の類語も紹介しています。

「いらっしゃる」の意味とは?

「いらっしゃる」は3つの意味を持つ敬語

「いらっしゃる」は、「行く」「来る」「居る」という3つの意味を持った敬語です。「入ってくる」ということを表す「入らせらる(いらせらる)」が語源で、敬語のなかの尊敬語にあたる言葉です。

「いらっしゃいませ」はデパートや会社を訪れたときなどによく聞かれる言葉で、「いらっしゃる」の連用形に助動詞「ます」の命令形「ませ」がついた言葉です。

もともとはお客を呼び込むときに用いられた表現でしたが、現在では客に対する歓迎の気持ちを表す言葉として広く使われています。

「いらっしゃる」は「ある」「いる」の尊敬語

「いらっしゃる」は、動詞の連用形や形容詞・形容動詞の連用形に接続助詞「て」が続く形で、「ある」「いる」を表す丁寧語や尊敬語としても用いられます。

たとえば「座る」の場合なら「座っていらっしゃる」、「美しい」なら「お美しくていらっしゃる」「元気だ」なら「お元気でいらっしゃる」となります。

「いらっしゃる」の使い方

「いらっしゃる」は自分や身内には使わない

「いらっしゃる」は敬語のなかの尊敬語にあたる言葉であるため、自分や身内に対しては使いません。

たとえば職場への来客に伝える場合なら、「間もなく課長がいらっしゃいます」ではなく、「課長が参ります」あるいは「課長が伺います」というように謙譲語を用いて対応します。

「居らっしゃる」と書くと誤り

「いらっしゃる」に「居る」という意味があることからか、「居らっしゃる」と書かれている事例を時おり見掛けます。

しかし先に紹介したように、「いらっしゃる」は「入らせらる」が語源であるため、「居らっしゃる」は誤りとなるのです。

「いらっしゃる」の意味合いは文脈で判断

たとえば、「連休はどこにいらっしゃるのですか」とする場合、「どこに行くのですか」だけでなく「どこに居るのですか」という意味にも受け取ることができます。

また、「〇〇様はいらっしゃいますか」とする場合には、「居ますか」だけでなく「来ますか」と尋ねられているとも考えられるのです。

したがって正しい意味は文脈から判断する必要があり、よくわからない時には別の言葉に代えて確認することをおすすめします。

「いらっしゃる」と「おられる」との違い

「おられる」は「おる」の尊敬語

「おられる」は、存在するという意味の「おる(居る)」の未然形「おら」に、尊敬を表す助動詞「れる」がついたものです。

「先生はこちらにおられますか」というように、尊敬語として使うことができますが、「おる」という言葉そのものは「いる(居る)」の謙譲語です。

そこに「れる」を続ける用法は二重敬語にあたるという指摘もあるため、改まった席などでは「いらっしゃる」を用いたほうが無難でしょう。

「おられる」は「ある」「いる」の尊敬語

「おられる」は「いらっしゃる」と同様に、「ある」「いる」を表す丁寧語や尊敬語としても使うことができます。

動詞の連用形や形容詞・形容動詞の連用形に接続助詞「て」を続けて用い、「持つ」の場合なら「持っておられる」とすることで「持っていらっしゃる」と同じ意味を表すことができるのです。

「おる」+「ます」は謙譲語

「おる」に助動詞「ます」を続けると、謙譲語として使うことができます。「担当の〇〇は、終日社内におります」「私には兄弟がふたりおります」というように、自分や身内のことをへりくだって述べることで、相手への敬意を表すことができるのです。

「いらっしゃる」の敬語での類語・例文

「行く」の意味での類語と例文

  • 尊敬語
    • 行かれる:先週開店したばかりのライバル店へのは、いつ視察に行かれますか。
    • おいでになる: 先生は毎週、ドライブを兼ねてご実家へおいでになるそうです。
  • 謙譲語
    • 伺う:弊社のメンテナンススタッフは、日曜・祝日にも伺っております。
    • 参る:今すぐそちらに参りますので、今しばらくお待ちください。

「来る」の意味での類語と例文

  • 尊敬語
    • おいでになる:ご招待したお得意様は、先ほどおいでになったばかりです。
    • お見えになる:今日あたりお見えになるのではと、お待ち申し上げておりました。
    • お越しになる:先生がお越しになるまでに、準備を整えておくようにしてください。
  • 謙譲語
    • 伺う:御社にはたびたび伺っていますが、いつも活気があふれていますね。
    • 参る:担当の職員は外出しておりますので、代わりに課長がこちらに参ります。

「居る」の意味での類語と例文

  • 尊敬語
    • おいでになる:大統領は当分の間、終日ご自宅においでになる予定です。
    • おられる:今日は雨の予定だから、先生は研究室におられるはずだ。
  • 謙譲語
    • おる:週末は必ず店長が店におりますので、ぜひお越しくださいませ。

まとめ

敬語の「いらっしゃる」について、意味と使い方のほか「おられる」との違いや類語などを紹介しました。

「いらっしゃる」はどこで使っても恥ずかしくない尊敬語ではありますが、複数の意味があります。また、場面によっては表現が回りくどく感じられることもあるため、使用の際には配慮が必要です。