「青田買い」とは?意味や使い方、「青田刈り」との違いも解説

採用活動を行う側がより良い人材を確保するための「青田買い」ですが、似た言葉の「青田刈り」が同じ意味で使われている事例も見掛けます。この記事は「青田買い」と「青田刈り」の意味と違いだけでなく、類語や不動産業界での使い方についても紹介しており、語句の理解に役立つ内容です。

「青田買い」の意味とは?

「青田買い」の意味は”早期内定のこと”

「青田買い(あおたがい)」の意味は、“新入社員の採用期間より前に優秀な人材に対して採用を内定する”ことです。つまり通常の収穫時期にあたる採用期間以前の「青田」状態のときに人材の能力を見積り、「買い」にあたる早期内定を行うということです。

「青田買い」によって企業の採用活動に不公平が生じたり、学生が本来の学習・研究に充てる時間が確保できなくなったりすることが懸念されています。

オタク用語では価値が出る前に手を付けること

「青田買い」は、オタク用語としても用いられているものです。これから成長・発展しそうな人物や物品にいち早く着目したり、購入したりすることを指しています。

この用法は、まだ価値が定まらない時期にその可能性を見越して入手するという、本来の意味合いから転じたものです。

「青田買い」の由来・元々の意味は”米の先物取引”

「青田買い」とは、元々“米の先物取引”という意味です。稲がまだ実っていない段階で米を先買いすることを表した言葉です。

「青田」とは稲が青々としている田んぼのことを指し、まだ稲は実っていません。この段階で米の収穫量を見積もって買うことが、「青田買い」という言葉の由来です。

「青田買い」と「青田刈り」の違いとは?

「青田刈り」は”青田買い”の誤用が広まったもの

「青田買い」と「青田刈り」は全く意味の異なる言葉ですが、読みが一字違うだけであることから、「青田買い」と「青田刈り」は混同されるケースが多くみられます。

優秀な人材を採用するため、企業間では熾烈な争奪戦が繰り広げられることから、「買う」よりアグレッシブな「刈る」のほうがイメージに合うためか、実際に「青田買い」ではなく「青田刈り」が正しいと認識する人が増えているのです。

正しい「青田刈り」の意味は、次の3つです。

「青田刈り」の意味①:戦国時代の作戦

「青田刈り」とは、まだ実っていない稲を刈り取ってしまうことを指すものです。

戦国時代に行われた作戦のひとつで、敵の城周辺にある田んぼの稲を収穫できないようにして食糧を減らすことが目的でした。

「青田刈り」の意味②:生産調整のために行う行為

「青田刈り」は戦国時代だけでなく、現代でも行われることがあります。米価格の下落を防ぐことを目的に、収穫前の稲を刈り取って生産調整を行うことを指すものです。

この場合の「青田刈り」は採算面からみれば正しい行為となりますが、手塩にかけて育てた稲を収穫前に自ら刈り取ることになるため、農家の方にとっては苦渋の選択と言わざるを得ないでしょう。

「青田刈り」の意味③:人材の早期確保

採用活動における「青田買い」は、将来のために価値が見込める人材を先んじて確保をしておくための行為です。一方「青田刈り」は、人材の優劣に関係なく早期のうちに多数採用することを指しています。

つまり両者の違いは、「青田買い」では優秀な人材を対象とするという点、「青田刈り」では人材の優劣は問わないという点にあるのです。

「青田買い」の不動産での使い方とは?

不動産での「青田買い」は未完成物件を買うこと

「青田買い」は、不動産業界でも用いられています。不動産業界での「青田」は、まだ完成していない新築物件や宅地のことを指し、「青田買い」は出来上がった物件を見ることなく購入することなのです。未完成の物件には、事前に受けた説明と実物が異なっていることがあり、リスクが伴います。

「青田売り」とは未完成物件を売ること

「青田売り」は「青田買い」の対義語で、不動産業者が未完成物件や宅地を販売することを表した言葉です。人生最大の買い物といわれる不動産ですが、完成品を見ずに売買が行われることは少なくありません。

マンション業界では竣工前の新築物件を販売することは一般的で、建売住宅の販売も「青田売り」といえるものです。なお「青田売り」は、経済的にひっ迫した農民が生活費を工面するために収穫前の青田を売ったことが語源です。

「青田買い」の類語とは?

「青田買い」の類語①:先物買い

「先物買い」は金融・証券用語として使われている言葉で、今は良くないが将来の値上がりを期待して安いうちに買っておくことを指します。

いずれ価値が高くなると見込まれるものを早めに手に入れるという意味で、「先物買い」は「青田買い」の類語といえる言葉です。

「青田買い」の類語②:唾を付ける

「唾を付ける」とは、ほかの人に先を越されないようにするため、あらかじめ手を打っておくことを指す言葉です。いくらおいしそうな食べ物があっても、他人の唾がつけられていたら誰も手を出しませんが、本当に唾をつけるわけではありません。

「青田買い」では欲しいものを確保するために他人より早く契約・購入することを指しますが、「唾を付ける」でも同様に何らかの手を打つことで、目的のものをキープするのです。

まとめ

「青田買い」の意味と「青田刈り」の違いについて、類語や不動産での使い方もふくめて紹介しました。誤用が広まって正式な言葉以上に市民権を得ることは少なくありませんが、「青田買い」の場合なら青いうちに刈ってしまうと台無しになるから「青田刈り」は誤りと覚えておくとよいでしょう。