「詰める」の意味と使い方は?言い換えやビジネスでの用法も解説

「詰める」という言葉には、物をすき間なく詰めること以外にも数多くの意味があります。また、ビジネスにおいても様々な意味合いで用いられている言葉です。この記事では「詰める」の意味のほか、「追い込む」との違いやビジネスでの用法について解説しています。

「詰める」の意味とは?

「詰める」の意味①:すき間なく入れる

「詰める」の意味は、“容れ物やすき間などに物をぎっしりと入れること”です。「重箱におせち料理を詰める」や「スーツケースに荷物を詰める」などのように、日常生活でもよく使われる用法です。

用法としては、一ヶ所に大勢の人がいっせいに集まることを指す「詰めかける」や、相手のすぐそばまで迫ることを指す「詰め寄る」などもあります。

物などでいっぱいになることを表す用法は日本独自のものですが、漢字の「詰」本来の意味は「責める・調べる」などです。

「詰める」の意味②:短くする

「詰める」には、“長さを縮めて短くする”という意味もあります。「丈を詰める」は、スラックスなどの丈を身体に合わせて縮めることを指す言い回しです。

また、文章の行間を狭くすることを表す「行間を詰める」という用法や、行列が長くなりすぎないようにするために「前に詰めてお並びください」と呼びかけるような事例もあります。

「詰める」の意味③:節約する

生活費や経費など費用を節約して抑えることを表したいときにも、「詰める」や「切り詰める」が用いられます。

具体的には冗費を削ったり、削れない場合には安価なものに代替したりすることで全体の額を抑えますが、需要の減少につながるためデフレが長引く要因にもなっているようです。

「詰める」の意味④:充分に検討して結論に向かわせる

「詰める」は、充分に検討し尽くしてものごとが決着に向かう段階になるようにするときにも用いられます。

「話を詰める・議論が煮詰まる」というように表すものですが、「煮詰まる」を”壁に突き当たって前に進めない”という意味で使うことは誤用です。

「詰める」の意味⑤:掛かり切りになる

そのことに掛かり切りになることも「詰める」といい、「根(こん)を詰める」という言い回しがよく用いられます。

似た言葉として「息を詰める」というものがあり、「息を詰めて見守る」というように使われますが、この場合は”呼吸を止める”という意味合いです。

「詰める」の意味⑥:待機する

「詰める」には、ある場所に出向いて待機するという意味もあります。「首相官邸に記者が詰める」といった場合は、首相官邸に集まった記者たちが首相の動きに備えて待機している状態です。

「被疑者の自宅近くに詰める」という場合は、被疑者をマークするために捜査官などが被疑者宅の近くで待機している状態を指します。

「詰める」を特定の意味で使う例とは?

将棋の「詰める」は勝ちを決めること

将棋では最終的に相手の「玉(ぎょく)」を取ったほうが勝ちとなり、玉を取るためのる手を「王手」といいます。

「詰み」は「王手」を防ぐことができない状態を指しますが、「詰める」は相手に対して「詰み」を行うことを指すものです。

「詰める」は関西の方言で”はさみ込む”

ドアなどのすき間に指をはさんでしまうことを意味する「指を詰める」は、関西地方の方言です。

なお、「指を詰める」という表現からイメージされやすい任侠世界の業界用語とは関係がないとされています。

「詰める」の類語とは?

「詰める」は”追い込む”と言い換え可能

「詰める」の用法として、”追い詰める・問い詰める”というものがあります。いずれも逃げ場や弁明の余地がない状態に相手を追いやることを表した言い回しで、「追う・問う」などの動詞の連用形に「詰める」を続けてできた語句です。

これらの語句から動詞の連用形を省いた「詰める」には”追い込む”という意味合いがあり、お互いに似た意味を持つ言葉といえるものです。

「詰める」とは逃げ場がない状態にすること

「詰」という文字そのものが持つ意味合いとして、「責める・調べる」があります。「詰問(きつもん)」や「詰責」という熟語からもわかるように、相手を責めて追い込むことを指す文字です。

また将棋で用いられる「詰める」も、玉から逃げ場を奪って追い込むことを指していることから、動詞の連用形を省いた「詰める」という形が、「追い込む」と同じ意味で用いられている事例をよく見聞きするようになりました。

ビジネスにおける「詰める」の使い方とは?

ビジネスで相手を「詰める」ことは避ける

ビジネスは真剣勝負の場であり、ミスが致命傷になることもありえます。そのため、相手のミスを指摘して改善させるようにしなければならない場合もあるでしょう。

しかし、「なぜできないのだ」というような言い方は「詰める」行為にあたり、パワハラと受け止められたり喧嘩になったりしかねないので注意が必要です。

「詰める」とは抜け落ちがないようにすること

ビジネスにおける「詰める」の用法には、「この案やよく詰まっている・中身をもっと詰める必要がある」というものもあります。

この場合の「詰める」はパワハラではなく、内容に抜け落ちがなくしっかりしていることを表すものです。

仕事を詰めすぎると健康を害する

ビジネスでの「詰める」の用法には、長時間残業や休日返上で仕事をするというものもありますが、仕事を詰めすぎ健康を害するようなことは避けたいものです。

働き方改革によって残業が減ったという声がある一方、そのしわ寄せでかえって忙しくなったという声もあり、仕事からムリ・ムラ・ムダを省くことは難しいといえます。

まとめ

「詰める」のさまざまな意味のほか、「追い込む」との違いやビジネスでの用法について解説しました。ものごとには加減が大切で、「詰める」ときにもある程度のゆとりが必要でしょう。

熱心なあまり近視眼的になり過ぎたり、相手に無用な圧迫感を抱かせたりしないように注意したいものです。