「良心」の意味と類語・対義語とは?使い方がわかる例文も紹介

「良心」という言葉は日常的に見聞きする機会が多いためか、深く意味合いを考えることはあまりないかもしれません。この記事は「良心」の意味をよりよく知りたい方に向けて、意味のほか類語・対義語や使い方がわかる例文などをあげており、語句への理解を深めるために参考になる内容となっています。

「良心」とは?

「良心」の意味は”良き行いをしようとする心”

「良心」の意味は、“善悪や正邪を判断したうえで自身の行為を正しく選び取ろうとする心の働きのこと”です。「良心」にしたがって良き行いをなし悪しき行いを避けることができれば、自己への肯定感が得られます。

「良心」は人間に生まれながら備わっている徳目であるとする考え方と、後天的な努力・修養によって獲得されるものであるという考え方があります。

「良心」の読み方は”りょうしん”

「良心」の読み方は“りょうしん”です。

「良心」の英語訳は”conscience”

英語の「conscience」は、”良心・道義心・善悪の観念”ということを表した言葉ですが、「良い心」という意味合いは”conscience”に含まれていません。

「conscience」は「science」などの根源にあるラテン語の動詞 「scire(知る)」で、強意の接頭辞「con-」が付いた「conscire」は”意識している・気付いている”ということを指します。

「良心」にしたがいたいのは自然な心

世の親の多くは子供たちの「良心」を養育しようとし、子供たちはその教えに反したときに心が痛みます。

また、大人であっても「良心」に反する行いをしようとすると、叱られる前に後ろめたく感じるものです。そして「良心」にしたがった行いを選択できなかった場合には、自分を責める気持ちを抱きます。

つまり、「良心」は社会規範によって強制されるものではなく、自発的な人間の心の働きといってよいものです。

「良心」の使い方とは?

定型句で用いられる「良心」

「良心」は”良心の呵責(かしゃく)”や”良心がとがめる”というように、定型句として用いられている事例が多くあります。

「呵責」とは”厳しく叱り責める・咎めだて苦しめる”ことを、「とがめる」は過ちや罪を指摘して非難することを指す言葉です。

「良心の呵責・良心がとがめる」は、いずれも悪を犯したことに対して自らの「良心」が厳しく叱責することを表しています。

「良心」を使った例文

「良心」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 商品には不備があったけれど、店舗の対応がとても良心的だったので好印象が残った。
  • 心ならずも彼を見捨てることになって以来、ずっと良心の痛みを感じ続けている。
  • 配慮が足りず周囲に迷惑を掛けてしまったことに対し、今更ながら良心がとがめている。
  • 幼いながらもいたずらが過ぎたことに気付いた息子は、両親の呵責を覚えているようだ。

「良心」の類語とは?

類語①「道徳心」とは善を行おうとする心

「道徳心(どうとくしん)」とは、ものごとの善悪を判断して善を行おうとする自発的な心のことです。

「道」とは人が従うべきルールのことを、徳はそのルールを守る意思がある状態のことを表していることから、「道徳心」は「良心」の言い替えとして使うことができる言葉といえます。

類語②「道義心」とは正しくあろうとする心

「道徳心」とともに「道義心(どうぎしん)」も、「良心」の類語として用いることができる言葉です。「義」という文字は、道理を尊重するという意味を持っています。

「道義心」は、人間として行うべき正しい道を大切にしそうあろうとする心を表し、罪に問われるか否かで判断するものではありません。

類語③「モラル」とは社会生活上守るべき基準

モラルとは英語の「moral」の読みをカタカナ表記したもので、社会生活上守るべき基準としての倫理や道徳意識のことです。

社会生活を営むうえで必要となる道徳的に正しい行動を指しており、社会常識やマナーとは違う普遍的な基準であり、法的根拠に左右されるものではありません。

「良心」の対義語とは?

対義語①「悪心」とはよこしまな心のこと

「悪心(あくしん)」とは、恨みを持ち悪いことをしようとするよこしまな心のことで、正しいことをしようとする「良心」の対義語です。

なお、「悪心」を「おしん」と読んだ場合には吐き気のことを表し、意味がまったく違ってきますのでご注意ください。

対義語②「悪意」とは他人に害を加えようとする気持ち

「悪意(あくい)」とは、他人を憎んで害を加えようと思うことを表した言葉で、「悪意を抱く」という言い回しでよく用いられます。

「悪意」は「良心」と反対の意味を持っていますが、「善意」の対義語として認識されている言葉です。なお「良くない意味」のほか、事情を知っていることを表す法律用語としても用いられています。

対義語③「邪心」とは他人を陥れようとする悪い心

「邪心(じゃしん)」とは、他人を陥れてでも自分だけは利益を得たいという悪い心のことです。「邪」という文字には、「いつわる・あざむく」という積極的な悪という意味合いを持っています。

「邪心」は、正しくありたいと思う「良心」と反対の意味を持っていますが、「正心(せいしん)」の対義語として位置づけられている言葉です。

まとめ

「良心」の意味と類語・対義語のほか、使い方がわかる例文も紹介しました。「良心」に反することをせずにすめば、心穏やかな日々を過ごせそうです。

しかし、心ならずも「良心」が痛むようなことをせざるを得ない場合もあります。理想と現実のはざまで苦悩することは、人生において避けられないことなのでしょう。