「辞表」の意味とは?「退職届」との違いや書き方・出し方も紹介

転職がまれでなくなった昨今でも、「辞表」を気軽に出すことはできないものですが、「辞表」と「退職届」に違いはあるのでしょうか?この記事は「辞表」の意味のほか、「退職届」との違いや書き方・出し方についても詳しく紹介しており、いざというときに役立つ内容となっています。

「辞表」とは?

「辞表」の意味は”役員や公務員が辞職するときの書類”

「辞表(じひょう)」の意味は、“会社の役員や公務員が職を辞するときに提出する書類”のことです。熟語に用いられている「辞」という文字には、”やめる・しりぞく”という意味があり、明らかにすることを指す「表」がついて”やめることを明らかにする”ことを表しています。

一般の会社員は「辞表」を出さない

映画やドラマなどで、サラリーマンが上司の机に「辞表」を叩きつけるシーンを時折見掛けますが、一般の会社員が会社を辞めるときに「辞表」は出しません。なお刑事ドラマで刑事が仕事を辞める場合なら、「辞表」で正解です。

「辞表」と「退職届」との違いとは?

「退職届」は一般の会社員が退職するときの書類

「退職届(たいしょくとどけ)」とは、会社役員や公務員ではない一般の会社員が退職するときに提出する書類で、「辞表」との違いは書類を提出する人の立場です。

「退職届」は、労働者側から雇用契約を解約するときに提出されるもので、会社側がこれを拒否することはできません。

「退職届」は労働契約の解約に必要な書類

「退職届」は、労働者が労働契約を解約するときに提出する書類ですが、「辞表」は労働者ではない経営者や役員のほか公務員が職を辞するときに提出する書類です。つまり「退職届」を提出できるのは、労働契約によって就労している人(労働者)に限られます。

「退職願」は自己都合退職のときに出すもの

「退職届」を出す前には「退職願」を出すものと思われているかもしれませんが、そうではありません。「退職願」は、自己都合による退職を願い出るときに提出する書類です。

したがって「退職願」を出しただけでは退職とはならず、会社側が退職を承諾するまでの間であれば撤回することができるのです。

なお、リストラのような会社都合で退職する場合に「退職願」を提出してしまうと自己都合退職扱いとなり、失業保険の支給開始までの期間や受給日数などに大きな違いが生じます。

「辞表」の書き方とは?

「辞表」はフォーマットどおりに

多くの職場では、提出が必要となる書類のフォーマットがあらかじめ用意されているので、「辞表」の場合もそのフォーマットどおりに作成すれば問題ありません。

もし決められたフォーマットがない場合には就業規則を参照しますが、目安として以下のような内容が必要な記載事項とされています。

記載事項の例
  • 退職日と退職の意思表明
  • 辞表を届け出る日
  • 自分の所属と署名・捺印
  • 会社名と代表取締役の名前(辞表の提出先)

「辞表」は縦書きが主流

「辞表」はビジネス文書にあたるものですが、特に指定がなければ縦書きで書きます。手書きの場合は白い便箋に黒色の万年筆かボールペン、パソコンで作成する場合はA4用紙を用いることが一般的です。

封筒のサイズは用紙を三つ折りにして入れやすいものを選びますが、茶封筒ではなく白無地のものにします。そして封筒の表中央のやや上寄りに「辞表」と書き、裏面左下に所属部署とフルネームを書きます。

英語の「辞表」は提出日時から書く

「辞表」の英語表現は、「resignation」です。「辞表」を英文で書く場合には、ビジネスレターの形式にしたがい冒頭の提出日時に続けて宛名を記載します。

その後退職の意思表明と退職日、感謝の言葉や引継ぎなどの情報を書き、最後に署名して完了です。

「辞表」の出し方とは?

「辞表」をいきなり出してはいけない

「辞表」を提出する前に、あらかじめ直属の上司に退職の意思を伝えておきましょう。法律では退職の2週間前に申し出ればよいとされていますが、最低でも1ヵ月前には伝えたいものです。

有給休暇を消化したいときにはその日数も見込んで退職時期を決めますが、就業規則に時期が決められている場合はそれにしたがいます。

「辞表」は直接手渡しで提出

「辞表」は通常の場合、直属の上司に直接手渡しで提出しますが、手続きが就業規則で決められているのであればそれにしたがいます。

「辞表」は会社員の「退職届」にあたるもので、提出した後に撤回することはできません。一時的な感情で「辞表」を出してしまってから後悔することにならないよう、「辞表」の提出は慎重に行いましょう。

「辞表」は郵送可能な場合も

「辞表」をメールで出すことについて、就業規則に反していなければ法的に問題はありません。しかし、社会人としての常識を疑われかねないので、書類を作成して提出することをおすすめします。

もし何らかの事情で職場に行けないような場合であれば、「辞表」を郵送することは可能です。封筒に入れた「辞表」より一回り大きい白封筒の表面に宛名を書き、左下に赤ペンで「親展」と記載します。裏面の左下に自分の住所と名前を書き、封をして「〆」と記して郵送すれば完了です。

まとめ

「辞表」の意味について、「退職届」との違いや書き方・出し方も紹介しました。「辞表」はビジネスにおいて重要な書類であり、必要な項目を満たしていなければ受理されません。円満に退職するためにも、「辞表」に関する知識は持っておいて損はないでしょう。