「ドクトリン」の意味とは?ソ連・アメリカやビジネスでの使い方も

「ドクトリン」は、政治・経済や軍事関係のニュースで耳にする機会が多い言葉ですが、歴史の教科書でも目にすることができるものです。また不況下の昨今、ビジネスにも「ドクトリン」を掲げる事例もみられます。この記事では「ドクトリン」の意味のほか、ソ連・アメリカやビジネスでの使い方も紹介しています。

「ドクトリン」の意味と語源

「ドクトリン」の意味は「基本原則」

「ドクトリン」とは、政策や外交などにおける基本原則のことを指した言葉で、軍事では「戦闘教義」のことです。提唱者や内容を冠した「〇〇ドクトリン」という用法が、よく見受けられます。

日本では日本国憲法の制約下、軍事的な安全保障をアメリカ合衆国に依存し経済の成長・発展を最優先する「吉田ドクトリン」が有名ですが、この名称は当時の内閣総理大臣・吉田茂にちなんで名づけられました。

「ドクトリン」とは英語「doctrine」のカタカナ表記

「ドクトリン」は英語「doctrine」の読みをカタカナ表記したもの。「ドクトリン」の元の意味は「教理」、宗教上の教えのことです。基本的な意味合いは「前提とするもの」で、信仰の前提となる宗教的真理に基づいて「教義(ドグマ)」が体系化されました。

日本における「ドグマ」は、「独断的な説・意見」や「教条主義」という意味合いでの用法が多くみられます。

「ドクトリン」の語源はラテン語「doctrina」

「ドクトリン」の語源はラテン語「doctrina(教え)」で、教理や理論、公式宣言、主義などの意味があります。

なおIT用語の「Doctrine」は、Webアプリケーションのフレームワーク「Symfony」で利用されている、データベース(RDB)から取得した情報をオブジェクト化する仕組み(ORM)のことです。

ソ連での「ドクトリン」とは

ソ連軍の「ドクトリン」は縦深戦闘

軍事における「ドクトリン」は「戦闘教義」で、ソ連軍の「ドクトリン」としては縦深戦術理論が知られています。縦深戦術理論とは、陸上戦での攻撃に関する戦闘教義をさし、前線だけでなく後方に展開する敵部隊までを連続的かつ同時的に攻撃するものです。

機動力のある機械化歩兵部隊や機甲部隊に加え長距離火砲や航空部隊も導入し、これらを統合的に運用する縦深戦術理論は、近代的な統合作戦の構想として大変有効なものでした。

ソ連崩壊後は「ドクトリン」も変容

ソ連時代の「ドクトリン」は西側を脅威とする認識が大きく、全面的な武力衝突を考量したもの。しかしソ連崩壊後は、地域紛争の防止と拡大防止に重点をシフトしました。

加えて、ロシアの国益と同盟国の利益を擁護するために、経済や対外政策などもふまえたものとなっています。

アメリカでの「ドクトリン」とは

「モンロー主義」は孤立主義が基本

「モンロー主義(Monroe Doctrine)」は、1823年に第5代アメリカ合衆国大統領のジェームズ・モンローが示した外交理念で、20世紀前半までアメリカの外交政策の基本として継承されたものです。欧州と米州間での内政不干渉を提唱したもので、「不干渉主義」とも呼ばれています。

アメリカでは初代大統領のワシントンをはじめ、アメリカ独立宣言の起草者でもある第3代大統領のジェファーソンも同盟に否定的な見解を表明しており、国際的な中立姿勢は建国以来のものでした。

モンローは従来の中立姿勢に加え、南北アメリカ大陸における欧州の植民地化を牽制するために「モンロー主義」を提唱したのです。

「トルーマンドクトリン」は対共産主義

「トルーマンドクトリン(Truman Doctrine)」は、第33代大統領のハリー・S・トルーマンが1947年3月に議会への特別教書演説で述べたものです。

ギリシャやトルコなどの共産主義に抵抗する政府への軍事・経済支援として、4億ドルを援助しました。これによってアメリカがイギリスに代わって世界の覇権国となるとともに、以後半世紀にわたる冷戦時代の幕開けとなったのです。

「ドクトリン」のビジネスでの使い方

「ドクトリン」はビジネスでの勝ちパターン

「ドクトリン」は政治・外交・軍事だけでなく、ビジネスにも活用されています。生き残りを賭けて持てる力を尽くすという点においてはビジネスも軍事と同様で、「軍事ドクトリン」や兵法に学ぶビジネスマンや経営者は少なくありません。

限りあるリソースをいかにして効果的に活用するか、ライバル企業とどのように対峙するかなど、勝ちパターンとして「ドクトリン」は重要視されます。

「ショックドクトリン」はいわば便乗商法

「ショックドクトリン」とは、「フリードマンドクトリン」や「惨事便乗型資本主義」とも呼ばれるものです。

徹底した自由市場主義を主張するシカゴ学派の経済学者、ミルトン・フリードマンが提唱したもので、政変・戦争や災害などの危機的状況下において過激ともいえる市場原理主義を導入することにより、徹底した経済改革や利益追求を行います。

まとめ

「ドクトリン」の意味について、ソ連とアメリカでの事例やビジネスでの使い方についても紹介しました。「ドクトリン」は「必殺技」のように効果的なものですが、それだけに方向転換が難しいものでもあります。

したがって早めに次の手を準備しておくことが必要ですが、多くのケースで状況が変化してからの着手になっているようです。