「寓話」の意味とは?日本のおとぎ話との違いやおすすめの作品も

「寓話」は子供向けの物語だと考える人が多いかもしれません。教訓や風刺を含んだ「寓話」は、ビジネスマンや経営者にとっても役に立つ物語なのです。この記事では「寓話」の意味のほか、日本の「おとぎ話」や「童話」との違い、おすすめの作品についても紹介しています。

「寓話」とは?

「寓話」の意味は”教訓・風刺を含む物語”

「寓話」の意味は、“教訓や風刺を含んだ物語”です。擬人化した動物を主人公とするものが多くみられます。

『アリとキリギリス』や『北風と太陽』などでよく知られている『イソップの寓話』が代表的で、イソップ(アイソポス)作と伝えられる古代ギリシャの説話集です。

その他の「寓話」としては、生まれ変わったお釈迦がさまざまな動物として暮らす話を集めたインドの『パンチャタントラ』などがあります。

「寓話」の読み方は”ぐうわ”

「寓話」の読み方は“ぐうわ”です。

「寓話」はビジネスマンが読んでもためになる

身近な動物が登場したり、短い文章でつづられたりしていることから、「寓話」は子供向けのお話のようにみえるかもしれません。

しかし、ソクラテスの弟子のひとりであるクセノフォンなどが著作の中でイソップの寓話に言及していることからもわかるように、現代のビジネスマンが読んでもためになるものなのです。

「イソップの寓話」の日本伝来は16世紀後半

「イソップの寓話」は、16世紀後半に日本に伝わったのは16世紀後半です。キリスト教の宣教師が日本語に翻訳することで広まったと考えられており、江戸時代初期には『伊曾保物語(いそほものがたり)』として出版されています。

明治時代になると「イソップの寓話」は小学校の教科書に採用され、以降広く知られていくようになりました。

「寓話」と「おとぎ話」の違いとは?

「おとぎ話」とは子供に聞かせる架空の話のこと

「おとぎ話」とは、子供に聞かせるための架空の話です。「おとぎ話」は漢字で「お伽話」と書きます。

「伽」という文字が貴人に仕えて退屈を慰めることを意味することから、本来の「おとぎ話」は子供が対象というものではありませんでした。なお「おとぎ話」は、比喩的に「現実離れしていること」を表す場合にも用いられます。

「おとぎ話」とは教訓を意図しないお話

「おとぎ話」は、もともと退屈しのぎを目的とした作り話であり、「寓話」のように教訓を意図したものではありません。

「寓」という文字は「かこつける・ことよせる」ことを指すもので、主人公などにことよせて教訓や風刺を伝える意味を「寓話」という熟語に与えています。

『ウサギとカメ』はイソップの寓話

日本人になじみが深い『ウサギとカメ』は、日本のおとぎ話ではなくイソップの寓話です。貿易が盛んだった16世紀後半に伝来したもので、日本の昔話が元になったものではありません。

明治時代の国語の教科書に「油断大敵」というタイトルで採用されて、一般的に知られるようになりました。

「寓話」と「童話」の違いとは?

「童話」とは子供のために作られたお話

「童話(どうわ)」とは、熟語が示すように子供(童)のためのお話のことで、おとぎ話とほぼ同義で用いられているものです。グリム兄弟がドイツの昔話を編纂した『グリム童話』が、よく知られています。

「童話」には作家によって創作されたものもあり、デンマークのアンデルセンや日本の小川未明がすぐれた作品を残しています。

「寓話」と「童話」の違いは”対象年齢”

「童話」のなかには教訓を含んだ作品もあることから、「寓話」と区別しづらいかもしれません。しかし「童話」は子供を対象としているものですが、「寓話」は大人をも対象としているという点が異なります。

また、「童話」には特定の作家が創作したものがありますが、「寓話」は個人が創作したものではありません。

「童話」は「寓話」に含まれることも

「童話」のなかでも教訓や風刺を意図したものは、「寓話」のようにあつかわれています。忠告を聞かなかったり無防備過ぎたりしたため、危うい目に遭うことになる「赤ずきんちゃん」がわかりやすい例でしょう。

また、真実を受け入れることや多数意見に逆らうことの難しさが語られた「裸の王様」なども、子供向けに書かれたとは思えないほど教訓に満ちたものといえます。

「寓話」でおすすめの作品とは?

おすすめの寓話1:『ガチョウと金の卵』

ガチョウが毎日1個ずつ生む金の卵を待ちきれなくなった農夫が、ガチョウのお腹を裂いてしまうという『ガチョウと金の卵』では、欲張ったばかりにすべてを失ってしまう愚かさを戒めています。

目先の利益に惑わされないことや、コツコツと小さな成果を積み上げていくことの大切さなど、ビジネスマンにとっても役に立つ内容です。

おすすめの寓話2:『三人のレンガ職人』

『三人のレンガ職人』は「寓話」では少数派の、動物が登場しないお話です。ひとりの旅人と三人のレンガ職人との会話から、目的や使命の有無によって本人の幸福感までもが左右されるということが語られています。目的や使命を自ら考えて行動することは、自分らしく生きることにもつながるのです。

まとめ

「寓話」の意味について、日本のおとぎ話や童話との違いやおすすめの作品も含めながら紹介しました。

「寓話」にはさまざまな教訓がこめられていますが、文章そのものは短くて親しみやすいものです。気軽に読めてためになる「寓話」に、もっと親しんでみられてはいかがでしょうか。