「表裏一体」とは「対立する2つの大元が、1つのモノであること」や「切り離せない関係であること」を意味する言葉です。耳にしたことはあるが、使い方がいまひとつ分からない方もいるでしょう。
この記事では「表裏一体」の読み方や例文、類語と反対語を解説します。くわえて「表裏一体」の英語表現も解説しましょう。

「表裏一体」の意味と読み方とは?

「表裏一体」の意味は「切り離せない関係」
「表裏一体(ひょうりいったい)」とは「対立する2つの大元が、1つのモノであること」や「2つの関係が親密で、切っても切れないこと」の2つを意味する言葉です。「表裏一体」の「表裏」は「表と裏」を、「一体」は「1つのもの」を意味します。
1つのコインに表面と裏面があるように、反対の関係にある2つが実は1つのモノであることを表しています。また、表があれば必ず裏があることから、親密で切っても切れない関係という意味で使われるようになったのです。
「表裏一体」の読み方は「ひょうりいったい」
「表裏一体」の読み方は「ひょうりいったい」です。「表裏」は「おもてうら」とも読めることから、「おもてうらいったい」と読まないように注意しましょう。
「表裏一体」の使い方と例文とは?

「表裏一体」は深い関係を表す状況で使う
「表裏一体」には2つの使い方があります。1つ目は「表と裏」のように対立する2つの大元が、1つであることを表す状況です。2つ目は「妻と夫」や「争いと宗教」のように、2つの関係が深く、切っても切れない状況で使用されます。「表裏一体の間柄だ」や「表裏一体をなす」のように使いましょう。
「表裏一体」を使った例文
- 正義と悪が表裏一体なことに、早く気がつくべきだ。
- 生と死が表裏一体の関係にあることを、忘れてはならない。
「表裏一体」の類語と例文

「表裏一体」の類語は「不可分」
「表裏一体」と似た意味をもつ言葉(類語)には「不可分(ふかぶん)」が当てはまります。「不可分」とは「切り離せないほど、親密であること」を意味する単語です。「表裏一体」と「不可分」は「切っても切れない関係」という意味が共通しているため、「不可分の関係」などへと言い換えてみましょう。
ことわざでは「水魚の交わり」と表せる
「表裏一体」と似た意味をもつことわざが「水魚の交わり(すいぎょのまじわり)」です。「水魚の交わり」とは人間関係を「水」と「魚」で例えたことわざで、「切っても切れない関係」を表します。
ただ「水魚の交わり」は、人間同士が深い関係である場合のみ使用されます。「光と影」や「争いと宗教」など、人以外へは適していないため注意しましょう。
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「表裏一体」の類語を使った例文
- 彼女と彼は不可分の関係なのだろう。
- 経済は政治と不可分のものであり、複雑に絡み合っている。
- 亡くなった彼とは、まさに水魚の交わりのような関係だった。
- 水魚の交わりを結んだ2人は、常に連れ立っていた。
「表裏一体」の反対語と例文

「表裏一体」の反対語は「二律背反」
「表裏一体」と反対の意味をもつ言葉(反対語)には「二律背反(にりつはいはん)」が当てはまります。「二律背反」とは「対立する2つの主張が、同程度の妥当性を持っていること」を意味する言葉です。
たとえば「勉強だけでなく遊ぶことも重要だ」と言う父に対し、母は「遊ぶ暇があるなら勉強をしろ」と言うとします。2つの主張は矛盾して成立していませんが、どちらにも同程度の妥当性があります。この状況を「二律背反」と言い、「対立する2つの主張がどこまでも続いている状況」を表しているため「表裏一体」の対義語と言えるのです。
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「表裏一体」の反対語を使った例文
- 湧き上がる二律背反の感情を、どう消化すればいいのだろう。
- 解決策のないこの二律背反に、もうずっと苦しめられている。
「表裏一体」の英語表現と例文

「表裏一体」は英語で「Two sides of the same coin」
「表裏一体」の英語表現には「Two sides of the same coin」が適しています。「Two sides of the same coin」とは直訳すると「コインの表と裏」になり、「切り離せない関係」や「表裏一体」という意味で使われます。「A and B are two sides of the same coin(AとBは表裏一体だ)」のように使いましょう。
「表裏一体」の英語表現を使った例文
- Love and hate are two sides of the same coin.
意味:愛と憎しみは表裏一体だ。
- They are two sides of the same coin.
意味:彼らは表裏一体の関係だ。
まとめ
「表裏一体」とは「対立する2つの大元が、1つのモノであること」や「2つの関係が親密で、切っても切れないこと」を意味する言葉です。人やモノの関係が深く、切り離せない状況で「表裏一体の関係」のように使われます。類語には「不可分」や「水魚の交わり」が当てはまるため、言い換えてみましょう。
表裏一体(ひょうりいったい)