「渉外」の意味と類語とは?「営業」などの役職との違いも解説

「渉外」は日常生活で使うことが少ない言葉ですが、ビジネスにおいてはよく見聞きされます。業務内容に「営業」や「広報」と似ているところがあるため、使い分けのポイントを押さえておく必要があるようです。この記事では「渉外」の意味と類語をはじめ、「営業」や「広報」などの役職との違いも解説しています。

「渉外」とは?

「渉外」の意味は”外部と連絡・交渉をすること”

「渉外」の意味は、“外部の人や組織と連絡や交渉を行ったり、駆け引きをしたりすること”です。

「渉」という文字には”かかわる・関係する”という意味がありますが、「交渉」や「干渉」などの熟語からもその意味がうかがえます。

「渉外」の読み方は”しょうがい”

「渉外」の読み方は“しょうがい”です。

法律での「渉外」は外国が関係する事項

「渉外」は法律の世界でも用いられ、ある法律事項が国内だけにとどまらず外国にも関係することを指します。

二ヵ国以上にわたる契約(渉外契約)などのように外国が関係する業務や、外国法が関わる案件を専門に扱う弁護士は、渉外弁護士または国際弁護士と呼ばれています。

「渉外」の英語表現は”public relations”

「渉外」を英語で表すと、“public relations”となります。「public relations」は一般的に「PR」と省略されて用いられますが、読みをカタカナ表記した「ピーアール」は、日本では「宣伝・広告」という意味で使われる言葉です。

したがって、英語と日本のカタカナ語では「PR」の意味が異なっていることを知っておく必要があります。

「渉外」の使い方と例文とは?

「渉外」は役職名として使われる

「渉外」は日常生活で用いられることはあまりなく、銀行や百貨店などの業界で「渉外担当」や「渉外業務」などのように役職名として使われるケースが多いものです。

なお百貨店業界では「渉外」を「外商」と呼ぶことが多く、「渉外担当」が受け持つ特別な顧客である「外商顧客」は売上に大きく貢献しています。

「渉外」を使った例文

「渉外」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 彼が渉外職の法人担当を希望する理由は、地元企業の事業発展をサポートしたいからだ。
  • 英語力を強化しなければ、渉外弁護士としてよい仕事をすることは難しい。
  • 代理店と販売元の両方に顔が利く彼女は、渉外担当に最適な人材だろう。

「渉外」の類語とは?

類語①「折衝」とは利害が一致しない相手と駆け引きをすること

「折衝(せっしょう)」とは、利害が一致しない相手と話し合ったり駆け引きを行ったりして、折り合いをつけることです。

敵対関係にある相手との話をまとめ、双方の要求をすり合わせてお互いに納得できる落としどころを探ります。ビジネスだけでなく外交や政治の場でもよく使われる語句です。

類語②「談判」とは決着をつけるために話し合うこと

「談判(だんぱん)」とは、事件やもめごとなどの決着をつけるために相手方と話し合うことを指す言葉です。間に人を入れずに直接談判することを「直談判(じかだんぱん)」といいます。

「渉外」とは違い「談判」はもめごとが起きていることが前提で、「折衝」より身近な問題で行われるものです。

類語③「取引」とは利益を目的に行う交渉

「取引(とりひき)」とは、金銭の授受を伴う物やサービスの売買という意味で使われる言葉です。ビジネスシーンにおいては、利益を得られるよう交渉することを指します。

また会計用語としての「取引」は、簿記上で資産・負債・資本・損失・利益に増減を生じるさせるものです。

「渉外」と「営業」などとの違いとは?

「営業」は「渉外」より顧客層が広い

「渉外」と「営業」の業務は似ていて、いずれも顧客に対する営業活動を行うものです。違いは対象となる顧客の層で、「営業」は幅広い層の顧客を対象としますが、「渉外」での顧客は海外など限られた層が対象となっています。

また、「営業」では売上アップや新規顧客の獲得が主な目的となっていますが、「渉外」では既存顧客との関係性を高めることが大きな目的です。

業界によっては「渉外」=「営業」

銀行や百貨店などの業界では、「営業」の役職を「渉外」と呼ぶケースが多いようです。銀行の「渉外」では個人・富裕顧客・法人などの対象があり、それぞれ業務内容や販売商品が異なります。

百貨店での「渉外」においては特定の顧客を担当する「外商部門」が置かれることが多く、特別な商品の提案やアフターフォローなどを行っています。

「広報」は自社のピーアールを行う役職

「広報」とは、メディアに情報を発信し自社の活動内容を社会に向けて知らせていくことを業務とする役職です。具体的には、プレリリースを出したりマスコミからの取材に対応したりすることなどを行っています。

これらの「社外広報」以外にも、自社の社員に向けての商品情報の提供や、社内報の発行など「社内広報」の業務も行います。

「社外広報」は「渉外」と似た面がありますが、「広報」は対象を限定せずに情報発信を行うもので、特定の顧客を対象に交渉を行う「渉外」とは業務内容が異なるものです。

まとめ

「渉外」の意味と類語のほか、「営業」「広報」などの役職との違いも解説しました。「渉外」の業務内容や対象顧客は業界によって異なりますが、商品知識や交渉力など幅広いスキルが必要です。自社において「渉外担当」に求められるものを把握し、蓄積していく努力が大切でしょう。