人事異動で別の部署に「いどう」することになり、この場合の「いどう」は「異動」か「移動」のどちらが適当かと迷ったことはありませんか。この記事では「異動」の意味のほかに、「移動」や「転勤」との違いを解説します。また異動が決まった時に送る挨拶メールの書き方や、返信の仕方も文例と併せて紹介します。
「異動」の意味とは?
「異動」の意味①職場で地位などの勤務状態などが変わること
「異動」の意味は、“職場での地位や勤務地など勤務状態などが変わること”です。人事異動の略語として使われています。
人事異動には、社員の昇格や降格などの地位の変更、配置転換、職場が変わる転勤の他にも、新入社員の採用や退職も含まれます。
- 課長が部長に異動になった。
- 部長は大阪支店から東京支店へ異動する。
「異動」の意味②前の状態と違った動き
「異動」には“物事が前の状態とは違った動きがあること”という意味もあります。例えば、昨日と今日の出来事を比べたときに違う出来事が起こった場合に「異動がある」と表現しますが、現在ではあまり使われない意味です。
「異動」の意味③保険内容の変更
保険業界において「異動」とは、契約者の申し出により“契約している保険の内容を変更する”という意味で使われています。保険そのものの条件だけでなく、契約者の住所や支払い方法が変えるときにも「異動」を使います。
「異動」と「転勤・移動」との違いとは?
「転勤」とは”引越しを伴う異動”
「転勤」とは勤務地が変わることという意味の言葉です。しかし実際の使い方として、引越しを伴う勤務地の変更を「転勤」と呼び、引っ越しを必要としない勤務地の変更は「異動」と呼ぶことがあります。
- 同じビル内で別のフロアに移動した場合 →「異動」
- 大阪から東京へと勤務地が変わった場合 →「転勤」
- 元の事務所から徒歩で行ける近くの事務所に変わった場合 →「異動」
「移動」とは”場所が移ること”
「移動」とは場所や位置などの物理的な移動のことという意味です。例えば、家から職場まで行くことは「移動」です。
一方、「異動」は、地位や勤務地が変わった場合に使う言葉ですが、勤務地は変わったものの地位や職務内容など勤務地を除いて労働条件が同じままなら「移動」を使います。なぜなら単に働く場所が変わっただけだからです。
「異動」と「移動」の違いがわかる例
例えば、「本社に”いどう”になった」という文があった場合、「本社に異動になった」ならその人は本社以外の勤務地から本社へと変わり、地位や職場などの勤務状況も変わったことを指します。
一方「本社に移動になった」なら、働く場所を除いて、地位や職務内容などの勤務状況は変わりません。
「いどう」が”異動”と”移動”のどちらの意味で使われているのかは、その文の前後に語られる内容から判断するしかありません。
「異動」の挨拶メールの書き方とは?
異動時のメールの内容はお礼・異動内容・後任者の紹介
異動の辞令を受けたら、社内や社外の関係者に個々に会って挨拶したほうがいいのですが、忙しいビジネスマンはメールで挨拶することもあるでしょう。
異動の報告をするメールでは、相手へのお礼や感謝の気持ちの他に、異動する日付や新しい部署名など具体的な異動内容を伝えます。また後任者も紹介しておくと、読み手も安心するでしょう。
件名はわかりやすく「人事異動のご報告」など
たくさん受け取るビジネスメールの中から挨拶メールがすぐ見つけられるように、わかりやすい件名を付けるようにしましょう。「人事異動のご報告」や「人事異動に伴う業務引き継ぎについて」などその内容が推測できるような件名が良い件名です。
異動の挨拶メールの例文
ここでは、社内の個人に宛てた異動報告をするメールの例文を紹介します。お礼や感謝の気持ち、異動内容など異動の挨拶メールに書くべき事柄に併せて、メールでの連絡になることをお詫びする一文も書き添えます。個別に挨拶するべきところをメールで代用するのですから、それに対する謝罪があると社会人としてのマナーがある挨拶メールになります。
また送り先の人数が多いため一斉メールで送る場合には、「To」には自分のアドレス、「Bcc」に宛先を入れて個人のアドレスが流出しないようにしましょう。
件名:異動のご報告
〇〇部××部長
お疲れ様です。〇〇部の××です。
この度、人事異動に伴い、〇月〇日付けで▢▢部へ異動することになりました。
〇〇部在籍中は××部長には何かとお力添えをいただき心より感謝しております。
今後はお会いする機会は少なくなりますが、もしもまたお仕事を一緒にできれば幸いです。その際にはどうぞよろしくお願いします。
なお、4月からは△△が業務を引き継ぎますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、本来ならばお伺いするべきところ、メールでのご連絡になりましたことをお詫び申し上げます。
参照:「異動の挨拶」はどうする?社内・社外の対応方法とメール文例
送信のタイミングは内示の段階ではまだ早い
挨拶メールを出すタイミングは、異動の内示を受けた段階では早すぎます。内示は会社と本人との間でだけ取り交わされる内輪な通達だからです。
異動について正式な辞令として出された後に、挨拶メールを送るようにしましょう。
参照:「内示」の意味とは?拒否や取り消し・いつ出るかについても解説
「異動」の挨拶メールへの返信はどうする?
返信メールはできるだけ早く
異動を報告するメールをもらったら、24時間以内を目安に早めに返信をします。送信者がメールは届いているのかどうかと心配になる前に返信するのがマナーです。
メールの内容はお礼と相手を気遣うメッセージ
返信メールでは、移動報告のメールをいただいたことのお礼と、これまでお仕事を一緒にさせていただいたことへの感謝、最後に相手を気遣うメッセージで締めくくります。
文体は送られてきたメールの文体に合わせて、短いメールなら短いメッセージで返すようにして相手とのバランスを取るようにしましょう。
返信先に注意
メールを返信するときには、返信先を間違えないように気を付けます。一斉メールで送られている場合もあるので、正しい宛名かどうかを確認してから送るようにしましょう。
「異動」の英語表現とは?
「異動」は英語で”transfer”
「異動(人事異動)」は英語で“transfer”と言います。「transfer」はものを移すという意味の動詞で、人事を動かすという意味合いから「異動」も”transfer”を使います。
「transfer」を使うときのポイントとして、異動する人を主語として英文を作った場合、transferを受け身にすることを忘れないようにしましょう。
“He will be transferred from a branch office to the company headquarters.”
「彼は支社から本社へと異動になる」
まとめ
「異動」とは、”人事上で地位や職場などを変わること”を意味しています。状況によっては「移動」と間違えやすいので、人事上での異動があった場合には「異動」で、単に職場の場所が変わっただけならば「移動」だと覚えておきましょう。
また「転勤」は引越しを伴う勤務地の変更の場合によく使われる言葉なので、引越しの有無を基準にして「異動」と使い分けましょう。