「骨子」は、日常会話であまり使われることのない言葉です。しかし、ビジネスや行政など公的な場面ではしばしば用いられているため、意味を押さえておく必要があります。この記事は「骨子」の意味だけでなく、「骨子案」の作り方や「骨子」を使った例文や類語なども紹介しており、語句への理解を深められる内容です。
目次
「骨子」の意味とは?

「骨子」とは提案などの重要な部分のこと
「骨子(こっし)」とは、提案や計画などを構成する重要な部分のことです。物事の中心となるものという意味を持つ「骨」に、音の座りをよくするため語尾に用いられる「子」が付いて「骨子」という熟語ができています。
「骨子」はレポートでいうところの「概要」にあたり、これを見れば全体のポイントがつかめるというものです。
「骨子」は提案などの骨組みのこと
「骨子」は提案や計画を作成する際にまず決めるもので、これに手を加えた草案は文章の下書きにあたるものです。つまり「骨子」とは骨組みとなるもののことで、肉付けや修正を経て提案や計画が完成されていきます。
この意味での「骨子」はレポートの「章立て」のようなものにあたり、これに沿って全体を書き進めていくものです。
「骨子」の英語表現は「outline」
「骨子」は英語で「outline」です。「輪郭線」のほか、「概要」「骨子」という意味でも使われています。
その他の英語訳としては、「骨格」のほか「重要な部分」「骨組み」「概要」を表す「skeleton」もあげることができる言葉です。なお読みをカタカナ表記した「アウトライン」「スケルトン」は、日本語として通用しています。
「骨子案」の作り方

「骨子案」とはたたき台のようなもの
「骨子案(こっしあん)」とは、提案や計画を作るときに最初のたたき台となるものです。骨組みとなる「骨子」の元となるもので、多くは法律や条例などに対して用いられます。
「骨子案」には要点のみが箇条書きされただけの簡単なものもみられ、これを元に最終的な「骨子」が決まっていくのです。
「骨子案」は下書きのようなもの
公表される提案や計画は理路整然としたものですが、最初からそのように整ったものがあったわけではありません。
「骨子案」を練り上げて作成した「骨子」に、さらなる肉付けを行って内容の具体化を図りつつ仕上げていくことが一般的で、「骨子案」は「骨子」の下書きといえるようなものです。
まず構想があってこその「骨子案」
「骨子案」に幾度かの手直しや調整を加えて「骨子」としていきますが、「骨子案」で掲げられたコンセプトは提案や計画へと一貫して受け継がれていくものです。
したがって、「骨子案」を作るときに最も重視されなければならないのは、どのような構想で提案や計画を作ろうとしているのかという点で、この構想があってこその「骨子案」といえます。
「骨子案」の書き方は全体像から
「骨子案」を作成する際には、全体から詳細へ進めていきます。まず、提案や計画の主旨となる全体的な輪郭を示してからブレイクダウンしていくという流れです。
タイトルを決めてから章立てを行うというイメージで作業を進めていくと、主旨から外れることなくスムーズに「骨子案」を作成できます。
「骨子」の使い方と例文

「骨子」はあまり使われない言葉
「骨子」は固い言葉であり、法律・経済・政治など公的なもののほか、思想や芸術などに対して用いられることが一般的です。
したがって日常生活で見聞きする機会は少なく、会話のなかで「君の話は骨子ができていない」などと言ってしまうと嫌味に受け取られかねません。
「骨子」を使った例文
- 「骨子」を見て企画の概略がつかめないようであれば、作り直しを命じられて当然だ。
- この戯曲の「骨子」は人間の絶対的価値であり、カント哲学への入り口としておすすめできる。
- 話題性に目を奪われてしまいがちだが、この問題の「骨子」は報道と人権の兼ね合いに関わるものだ。
「骨子」の類語

「要旨」とは主要な点という意味
「要旨(ようし)」とは、文章などで述べられていることの主要な点という意味で使われる言葉で、この用法では「骨子」の同義語といえるものです。
また、「要旨」は内容のあらましのことを指して用いられることもあり、この場合も「骨子」と同じ意味で使われているケースが見受けられます。
「眼目」とは最も重要な点のこと
「眼目(がんもく)」とは、ものごとの最も重要な点のことです。「眼」「目」ともに、物を見るための器官以外に、「要点」「要所」という意味があり、文字を重ねて意味を強調した熟語となっています。
なお「眼目」に骨組みという意味はないため、「骨子」の言い換えとして使える場面は限られたものです。
「構成」とは複数のものをひとつに組み立てること
「構成」とは、複数の要素をひとつにまとめて組み立てることや、組み立てたそのもののことを表した言葉です。「企画書の構成」と「企画書の骨子」は同じものを指し、企画書全体の骨組みという意味になります。
しかし「構成」は重要な点という意味を持たないため、「骨子」の言い換えとして使える場面は限定的です。
まとめ
「骨子」の意味のほか、「骨子案」の作り方や「骨子」の類語・例文なども紹介しました。「骨子」には「要点」と「骨組み」という二通りの意味があり、いずれの用法であるかは文脈や使用場面から判断する必要があります。
しかし「骨子」が使われるシーンの多くは事前に準備することができるものであるため、心配し過ぎなくてもよいでしょう。