「等々」は、日常生活でも見聞きされる身近な言葉です。しかし、読み方による使い分けや「等」との意味の違いなど、はっきり理解できていない部分もあるのではないでしょうか。この記事は「等々」の意味のほか、「等」や「etc」との違いや正しい読み方なども紹介しており、語句の使い方まで理解できる内容となっています。
「等々」の意味とは?
「等々」の意味は”「等」を強調した言葉”
「等々」の意味は、“同種類のものがまだたくさんあることを強調した言葉”です。「等」に「々」が付いてできた言葉です。「等」は名詞などの後に続けて用いる接尾後で、例としていくつかあげたもののほかに、まだ同種類のものがあることを示しています。
同じ漢字を重ねるときに用いられる記号である「々」が付いた「等々」は「等等」を表すもので、同種類のものがまだたくさんあるということを強調したものです。
「等々」に”ついに”という意味はない
「等々」を「とうとう」と読んだ場合、「ついに」という意味の「とうとう」と混同されるケースがあるようです。しかし「等々」に「ついに」という意味はありません。
「ついに」という意味の「とうとう」は「到頭」ですが、動詞・形容詞・形容動詞を修飾する副詞であり、「等々」とは用法がはっきり異なっています。なお、読み方についての詳細は次章をご覧ください。
「等々」の正しい読み方とは?
「等々」の正しい読み方は”とうとう”
「等々」は”などなど”と読むケースが多くみられますが、正しい読み方は「とうとう」です。「等々」の元になっている”等”の読み方には、「とう・ひと(しい)・など・ら」があります。
これらのなかで「など」と「ら」は表外読み(常用漢字表にない読み)となっており、漢字ではなく平仮名で表記することが慣例となっているのです。
したがって新聞や雑誌などで「等」と記載されている場合は「とう」と読み、「など」と読ませたいときには平仮名で「など」と記載されています。
「などなど」は平仮名表記が適切
「等々」を”などなど”と読ませたい場合、平仮名で記載することが望ましいといえますが、「などなど」と読んでも誤用にはあたりません。
特に話し言葉では「とうとう」より「などなど」のほうが聞き取りやすいため、「などなど」のほうが広く一般的に用いられています。
「等々」の使い方と例文とは?
「等々」は列記した後に使う
「等々」は接尾語であるため、単独で用いることはできません。「AやB、C等々」というように、いくつかの物事を並記したあとに続けて使います。
なお、例としてあげるものの数が多すぎると読みづらくなるため。4個以下が適切でしょう。また、3つ以上並記するときの「や」の位置は最初にあげた例の次で、英語の「and」とは逆となります。
「等々」は残りのものがないと使えない
「等々」は、例としてあげたもののほかにまだ残っているものがある場合でなければ使えません。たとえばメンバーが3人しかいない場合に「A君、Bさん、C君等々」とすると誤りとなります。
また「A君、Bさん等々」という表現は、A君とBさん以外にまだたくさんの人がいるという印象を与えることがあるので、注意が必要です。
ビジネスで「等々」はほどほどに
「等々」は、明示されているもの以外にもそれに類するものがあることを示しているため、あいまいさが残る言葉といえます。
すべてのものをあげると煩雑になりますが、ビジネスではあいまいさはできるだけ避けたいものです。特に書面で「等々」を用いたい場合には、必要に応じて詳細な内容を記載した別添資料を添えることをおすすめします。
「等々」を使った例文
「等々」を使った例文をご紹介しましょう。
- 最近注目されているペットは爬虫類で、ヘビやヤモリ、トカゲ等々が人気です。
- 防災グッズとして必要なものは水や非常食のほか、懐中電灯、ラジオ等々たくさんあります。
- 用紙やプリンターインク、付箋等々、切らすと困る備品をリストアップしておこう。
「等々」と「等」の違いとは?
「等」は読み方で意味が変わる
「等」を「とう」と読む場合と「など」と読む場合では、意味が違うケースが多くありますが、以下に示すように、同じ意味合いとなるのは「とう」と読む場合の4と、「など」と読む場合の1のみです。
- ひとしい
- くらい(例:高等)
- 序列を表す(例:一等賞)
- ほかにも同種のものがあることを示す
- ほかにも同種のものがあることを示す
- 婉曲さを表す(例:お茶等いかが?)
- へりくだる気持ちを表す(例:私等にはもったいない)
- 強調を表す(例:嘘等決して言わない)
「等々」は”ほかにもあること”だけを示す言葉
「等(とう・など)」にはそれぞれ複数の意味がありますが、「等々(とうとう・などなど)」は”ほかにも同種のものがあること”を強調して示す以外の用法はありません。
したがって、「等々」は「等」に置き換えて使うことはできますが、「等」を「等々」に置き換えることができるケースは限定的です。
「等々」の類語「etc」とは?
「etc」は英語”etcetera(エトセトラ)”の略
「etc」は”等々”と同じ意味合いで使われている言葉で、正確には「etc」ではなく後ろにピリオドを付けて「etc.」とします。英語の「etcetera」を短縮したものですが読みは「エトセトラ」で、「イーティーシー」ではありません。
文中で使用する際には、「A, B, C, etc.」というように列記したものの後にカンマとスペースを入れますが、「etc.」は略式の語句となるため「and so on」を用いて「A, B, C, and so on」としたほうが望ましいといえます。なお「etc」や「etcetera」は、カタカナ語の「エトセトラ」として日本でも使われています。
まとめ
「等々」の意味について、「等」や「etc」との違いや正しい読み方も交えながら紹介しました。「等々」は、ほかにもたくさんあるということを伝えることができる言葉ですが、その他のものを一括りに省略するものでもあります。
省略部分の中身についてはあいまいな状態になっているので、ビジネスの現場ではひんぱんに使わないようにしたほうが無難でしょう。