「ポリコレ」の意味と使い方とは?日本・海外の反応や事例も紹介

「ポリコレ」とは「ポリティカル・コレクトネス」を省略した言葉で、世界的に広がっている価値観です。政治面だけでなく、企業や社会生活においても重要であるため、正しい意味を知っておく必要があります。この記事は「ポリコレ」について、意味と使い方や国内外の反応・事例をあげながらわかりやすく紹介したものです。

「ポリコレ」とは?

「ポリコレ」の意味は”政治的な正しさ”

「ポリコレ」の意味は、“政治的な正しさ”です。「ポリティカル・コレクトネス(political correctness)」を縮めたものです。

直訳すると「政治的公正」や「政治的適正」となり、社会の特定のグループに属する人たちに、不快感や不利益を与えないように配慮された言語表現や政策・対策のことを指します。

「ポリコレ」とは社会から差別をなくすためのもの

「ポリコレ」とは、社会における言語表現や制度などから差別をなくしていこうという概念で、政治に限らず様々な場面で重視されているものです。

主に、人種・性別・宗教などの違いによる偏見や差別を感じさせない表現や用語を用いることを目指しており、ビジネスにおいても広告や採用などにおいて配慮が必要となっています。

「ポリコレ」の使い方と例文とは?

「ポリコレ」は言語表現でよくみられる

「ポリコレ」の言語表現における事例としては、かつて用いられていた職業名の「看護婦・スチュワーデス」が、性差を含まない「看護師・キャビンアテンダント」に変更されたことがあげられます。

ビジネスでよく使われていた「ビジネスマン」も、”ビジネスパーソン”という呼称が一般的なものとなり、英語圏においても消防士が「fireman」から”firefighter”、警察官が「policeman」から”police officer”に変更されました。

「ポリコレ」が行き過ぎると”ポリコレ棒”に

差別的な表現をしないことを目指した「ポリコレ」ですが、「ポリコレ」に反対する発言者に対して過剰に反応したり、「ポリコレ違反」としてバッシングしたりする事例がみられるようになっています。

「ポリコレ」が本来の目的から離れて他者を攻撃するために使われることを、人を叩く棒にたとえて「ポリコレ棒」と呼ばれています。

「ポリコレ」を使った例文

「ポリコレ」を使った例文をご紹介しましょう。

  • ポリコレに反する用語を使用していたため、配布資料はすべて回収された。
  • パワハラ問題に発展しかねないので、ポリコレを念頭に置いた発言をしてください。
  • 合コンで保守的な結婚観を吐露したら、ポリコレ棒で思いっきり叩かれてしまった。

「ポリコレ」の日本での事例とは?

「肌色」や「美白」もポリコレ違反

日本における「ポリコレ」は、人種や性別のほか身体的特徴などに重きが置かれているようです。

たとえば色を表す「肌色」は以前から存在するものですが、人種や個体で異なる肌の色を規定するものとしてポリコレ違反とされるようになりました。

同様に「美白」という表現も、白い肌に価値を置くものとみなされ、使用しない方向に進んでいます。

企業へのダメージにつながるポリコレ違反

「ポリコレ」への配慮を欠いた広告やネーミングは、企業にダメージを与える恐れがあります。

ポリコレ違反の指摘を受けて商品を回収したり、CMを差し止めたりするなどの事例もあり、言葉遣いや映像などの表現に対して「ポリコレ」を意識せざるを得なくなっているようです。

ゲームや映画などにも「ポリコレ」は必要

ゲームや映画などのエンタメにおいても、「ポリコレ」への配慮が求められるようになっています。

登場人物の人種や性別が偏らないようにしたり、差別的と受け取られないような設定にしたりするなど、制作側は工夫を重ねています。

しかし「ポリコレ」へ配慮するあまり、作品としての魅力が乏しくなったという意見もあり、全てのファンを満足させることは難しいようです。

「ことわざ」や「決まり文句」も要注意

日本で古くから使われている「ことわざ」や「決まり文句」にも、ポリコレ違反とみなされるものがあります。

たとえば「女心と秋の空」や「男勝り」などは、性別による差別と受け取られるかもしれません。

また、雨の日の来客に対する決まり文句の「足元のお悪い中~」という表現も、気分を害されるケースがあるとして使用を差し控える傾向がみられるようです。

「ポリコレ」の海外での反応とは?

海外では食材も「ポリコレ」の対象に

海外では、特定の食材を摂らないという人が少なくありません。日本では単なる好き嫌いで片づけてしまいがちですが、これは宗教上や健康上の理由によるもので、軽視するとポリコレ違反となります。

料理は多様性に満ちたものですが、多様性を押し付けることは「ポリコレ」に適応した行為といえないのです。

「ポリコレ」が”キャンセルカルチャー”に進展

「キャンセルカルチャー」とは、ある言動や存在を糾弾して排除しようとする動きを表した言葉です。特定の言動や存在が「ポリコレ」に反するとみなされた場合、「キャンセルカルチャー」にまで進展することがあります。

具体的には、人種差別に関連する歴史的人物の銅像が破壊されたり、メーカーが公開した動画が差別的であるとして不買運動が展開されたりするような事例が報道されています。

まとめ

「ポリコレ」の意味と使い方について、日本・海外での反応や事例もふくめて紹介しました。

「ポリコレ」に抵触した場合、SNSで一気に拡散されて炎上する現象がしばしば見られるようになっています。また、訴訟にまで進展することもあり、ビジネスパーソンの立場であっても「ポリコレ」に対する意識を高めておく必要があるようです。