「想起」の意味と使い方とは?記憶との違いや類語・例文も紹介

「想起」は、「思い起こす」という意味合いで使われてる言葉です。元々は学術方面や改まった文書で用いられていましたが、徐々に使用範囲が広まっています。この記事では、「想起」の意味・使い方と例文を紹介するとともに、「記憶」との違いや類語についてもふれており、語句理解を深めるために役立つ内容となっています。

「想起」の意味とは?

「想起」の意味は以前あったことを思い起こすこと

「想起(そうき)」とは、過去に経験したできごとやものごとなどを思い起こすことを表した言葉です。

熟語に用いられている「想」という文字には、「心の中の思い・考え」という意味があります。もうひとつの文字である「起」は、「生じる」「起きる」という意味です。

「想起」を文字通りに読み解くと、心の中にある思いや考えを呼び出すこととなり、熟語が持つ「思い起こす」という大づかみな意味合いがみえてきます。

「想起」は「アナムネーシス」の日本語訳

「想起」は、哲学における「アナムネーシス」の日本語訳としても使われています。「アナムネーシス」とはプラトンの認識的理論における概念で、人間は生まれる前からの記憶を持っており、その記憶によって真理を認識するというものです。

そしてイデア(絶対的永遠の実在)の認識とは、以前から持っているものを再び把握すること=アナムネーシス(想起)にほかならないとされています。

「想起」の使い方と例文

「想起」は日常使われることの少ない言葉

「想起」という言葉そのものは、医学や心理学関係などにおいての学術用語として使われることが一般的で、ほかにはビジネス文書や文学作品などで書き言葉として用いられているケースなどが見受けられます。

これまでは通常、限られた世界で使われていた「想起」という言葉ですが、近年では記憶力強化のための手法やマーケティング用語としても使われるようになっています。

「想起」に多い「想起する」という形での用法

「想起」は、「想起する」という動詞の形で用いられることが多い言葉です。他にも使役・指示を表す「想起させる」や受け身を表す「想起される」という形でよく使われており、「想起」のまま名詞として使われている事例は、学術関係以外あまりみられません。

「想起」を使った例文

  • このアイデアは、コロンブスの卵の話を想起することによって浮かんできたものだ。
  • 彼の作品には、印象派の画家たちを想起させるものがあるようだ。
  • この小説を読んでいると、迷宮入りしたあの事件がいやがうえにも想起される。

「想起」と「記憶」との違いとは?

「記憶」とは過去のできごとを覚えていること

「記憶(きおく)」とは、これまでに経験したことを忘れずに覚えていることや、その内容のことを指した言葉です。

「しるす」「おぼえる」という意味を持つ「記」と、「思い」「おぼえる」という意味を持つ「憶」があわさって構成されており、「おぼえる」ということが大づかみな意味合いとなっています。

「想起」は「記憶」の最終ステップ

「記憶」には「記銘・保持・想起」の三過程があります。「記銘」は外からの情報を取り込むこと(インプット)、「保持」は記銘したものを保存しておくことです。

そして「想起」は、保存していた情報を取り出すこと(アウトプット)を表すもので、保持している情報を適切なタイミングと場所で「思い出す」過程のことを指します。つまり「記憶」していたものを思い出すことが、「想起」にあたるものです。

なお、「記憶」と「想起」を連ねた「記憶想起」という語句は、記憶を思い出すプロセスのことを指しています。

「想起」の類語

「回顧」とは過去を思い起こすこと

「回顧(かいこ)」とは、過ぎ去ったことを振り返って思い起こすことを表した言葉です。「回」には「まわす」「もどす」という意味が、また「顧」には「かえりみる」「みまわす」という意味があります。

「想起」とは違い、「回顧」は覚えたことを思い起こすのではなく、自身の体験をふりかえるという意味合いで使われる言葉です。

なお「回顧」は、「回顧録」という用例にみられる過去の事柄を客観的に振り返ることのほか、「後ろを振り返る」という動作そのものを指しても使われます。

「追想」とは過去を懐かしく思い出すこと

「追想(ついそう)」とは、自分が体験した過去のことがらを思い出すことを指して使われる言葉です。

熟語に用いられている「追」という文字に「慕う」という意味合いがあるため、「追想」には過去を情報として取り出すのではなく、懐かしんでしのぶ気持ちで思い出すというニュアンスがあります。

まとめ

「想起」の意味と使い方のほか、記憶との違いや類語・例文も紹介しました。「想起」とは、わかりやすく言い換えると「思い起こすこと」です。

認知機能に関する研究が進められていますが、「想起」つまりアウトプットが正しく行われなければ意味がないことがわかっています。

なお「想起」することによって記憶が定着しますが、誤った「想起」によって記憶が変化することもあるため注意が必要です。