「疑義」の意味とは?「疑念」「疑問」との違いや類義語も紹介

「疑義」は、疑問に思われる点のことを意味する言葉です。やや固い言葉であるため日常生活ではあまり使われていませんが、よく用いられている「疑念」や「疑問」とは違いがあるのでしょうか。この記事は、「疑義」の意味のほか類語・類義語との違いについて紹介しており、語句への疑問点を解消できる内容となっています。

「疑義」とは?

「疑義」の意味は”疑問に思われる点のこと”

「疑義(ぎぎ)」の意味は、“意味や内容がはっきりせず疑問に思われる点のこと”です。

「確かでない・怪しい」という意味の”疑”に、「意味・わけ」ということを示す”義”がついて構成されており、不明瞭な点や納得できない点があるときに用いられています。なお「疑義」の「義」を「議」としないよう、注意が必要です。

「疑義照会」とは薬剤師が処方箋の内容を確認すること

「疑義照会(ぎぎしょうかい)」とは、薬剤師が処方箋の記載に疑問点があった際、処方箋を作成した医師に対して内容の確認を行うことです。

処方箋に疑問点があるときに「疑義照会」を行わずに調剤を続けることは薬剤師法で禁止されており、医師は「疑義照会」に必ず応じなければなりません。

「疑義照会」により処方箋を修正する場合は、記載事項を二本線で消した上に医師の訂正印を押し、正しい内容を記入します。

「疑義」の使い方と例文とは?

「疑義」は定型の用法が多い

「疑義」には、以下のように定型の言い回しが多くあります。

  • 疑義を呈する:疑義を相手に示す
  • 疑義が生じる:疑義が起きる
  • 疑義を抱く:疑義を心中に持つ
  • 疑義を挟む:疑義を心中に持つ/相手の話に割り込んで疑義を示す

「疑義をただす」は漢字に注意が必要

「疑義をただす」も、定型の言い回しとしてよく用いられているものです。「ただす」の漢字表記には「正す・質す・糺す・糾す」などがありますが、「正す」以外は常用外の文字であるため公用文書や新聞などでは使われていません。

しかし意味は以下のようにそれぞれ異なっているため、使い分ける必要があります。

  • 正す:誤りを改め直す
  • 質す:質問して確かめる
  • 糺す/糾す:誤りを追及する

「疑義」を使った例文

「疑義」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 彼の弁明は逆効果だったようで、かえって疑義の念を皆に抱かせる結果となった。
  • このレポートには不明点が多くみられるため、担当者に対して疑義を申し立てた。
  • 相手が疑義を抱いているようならそのままにせず、補足説明を行ってください。

「疑義」と「疑念・疑問」との違いとは?

「疑念」とは疑わしく思う気持ちのこと

「疑念(ぎねん)」とは、本当かどうか疑わしく思う気持ちや考えのことです。「念」には”気持ち・心の中の考え”という意味があり、「疑義」と比べると主観的で内面的な意味合いがあります。

「疑念が生じる・疑念を抱く」のように”疑義”と同じように使うことができる用法がありますが、「疑念をただす」とはいいません。

「疑問」とは疑わしく思うことや事柄

「疑問(ぎもん)」とは、本当かどうか疑わしく思うことや、そのように思える事柄のことです。

「問」という文字が使われていますが「疑問」においては「自問自答」であり、「質問」のように他の人に対して直接問いただすという意味合いはありません。

「疑義」の言い換えとして使うことができる言葉ですが、「疑問」のほうが一般的で日常生活でもよく使われています。

「疑義」の類義語(類語)とは?

類義語①「懐疑」とは物事に対して疑いを持つこと

「懐疑(かいぎ)」とは、物事の意味や価値について疑いを持つことです。「懐」という文字には、”胸の奥に抱く・心の中の考え”という意味があり、熟語の直訳的な意味合いは「疑いを抱く」です。

「疑義」とは異なり、「懐疑」は自他の存在や見解などに対して疑いを持つ場合にも使われます。

類義語②「疑心」とは疑いの心のこと

「疑心(ぎしん)」とは疑いの心のことで、「疑心暗鬼」という四字熟語でもよく知られている言葉です。仏教用語では、煩悩の一つとしてあげられている仏の教えを疑う心のことを指して用いられています。

「疑心」は「疑義」と同様に”疑心を抱く・疑心が生じる”というように使うことができますが、「呈する・ただす」というように外部へ向けては使わないという点が「疑義」と異なります。

類義語③「不審」とは疑わしく思えること・様子

「不審(ふしん)」とは、物事に不明確な点があるため疑わしく思えることやその様子を指した言葉です。

「審」という文字には、”つまびらかにする・明らかにする”という意味があり、名詞や形容動詞について打消しの意味を加える接頭辞「不」をともなって、熟語が成立しています。

「不審な〇〇」や「不審だ」などのように形容動詞としてよく用いられていますが、このような用法は「疑義」にはありません。

なお「不審」の同音異字語である「不信」は、物事や他人を信用できないことを表したものです。

まとめ

「疑義」の意味について、「疑念・疑問」との違いや類義語も交えて紹介しました。「疑義」は議論や会議などで用いられることが多く、客観的な疑問点を明らかにして解決したいときに使われています。

一方「疑念」や「疑問」などは客観性が乏しい場合にも用いられる言葉ですが、日常生活のなかで使いやすい言い回しといえるものです。