「惹起」の意味とは?法律用語や医療での使い方と言い換えの例文も

「惹起」とは問題や事件などを引き起こすことを指した言葉で、ビジネスシーンやニュースなどでよく用いられるものです。法律や医療などの分野でも見受けられるため、意味を理解しておく必要があります。この記事では、「惹起」の意味と例文のほか法律や医療分野での使い方に加え、類語なども紹介しています。

「惹起」の意味と例文

「惹起」とは問題を引き起こすこと

「惹起(じゃっき)」とは、事件や問題などを引き起こすこと、また問題になる事柄を引き出すこと表した言葉です。「惹」の字自体は「ひきおこす」「ひきつける」という中立的な意味で、魅力的なものにひきつけられる際の「惹かれる」という表現もあります。

ただし、熟語「惹起」は一般的にポジティブな出来事には使われない表現です。たとえば、戦争・紛争や犯罪などが引き起こされたような場合によく用いられます。

「惹起」を使った例文

  • 過激なデモ活動を惹起しているのは、行き過ぎた政治思想なのかもしれない。
  • 大統領の判断ミスによって惹起された政局の大混乱は、当分収まりそうにない。

「惹起」の使い方とは

「惹起する」「惹起される」のように表現する

「惹起」は「惹起する」や「惹起される」の表現で用いられることが多いです。「惹起する」は問題や事件になるようなことを「引き起こす」「招く」、「惹起される」は「引き起こされる」「誘発される」というニュアンスになります。

「惹起」はビジネスや改まった場面でよく使う

「惹起」という言葉は、日常会話や私的な手紙などで使われることが少ない語句ですが、ビジネスや政治・経済や国際問題についての話題でよく聞かれます。

加えて常用漢字で構成されていることから、新聞のほか公文書などでもよく使われている言葉です。

「関心惹起」は「惹起」のポジティブな用法

一般的にネガティブなものごとに対して用いられている「惹起」ですが、広報活動のある段階として「関心惹起」という用語が使われます。「関心惹起」の意味は「興味・関心をひきおこさせること」です。

広報活動における「惹起」は対象者への行動促進を目的に、情報を認知させた次のステップとして位置づけられています。

「惹起」の法律用語としての使い方

「惹起者」は事件や事故を引き起こした者

「惹起者(じゃっきしゃ)」とは、事件・事故などを引き起こした者のことです。死亡または重症事故を起こしたドライバーや軽傷事故を起こしたドライバーで、当該事故の過去3年間にも交通事故を起こしている者を事故惹起運転者と呼びます。

貨物自動車運送事業者は事故惹起運転者に対して、特定診断の受診や事故惹起運転者教育を行うよう、貨物自動車運送事業輸送安全規則で規定されています。

「混同惹起」「誤認惹起」は不正競争行為

すでによく知られた商品やサービスとの混同を招いたり(周知な商品等表示の混同惹起)、産地・品質を誤認させたりするような表示(原産地、品質等の誤認惹起表示)を行うことは不正競争行為に該当するものです。

これらの不正競争行為は、国民経済の健全な発展を目的とする不正競争防止法により差止や損害賠償の対象となります。

「惹起」の医療分野での使い方

医療分野で「惹起」は病気を引き起こすこと

医学分野においても、「惹起」が何かを引き起こすという意味合いは変わりません。

しかし「惹起」の対象となるものは主に病気・炎症や反応などで、「炎症反応が惹起された」「嚥下反射の惹起が遅延する」などのように使われています。

「刺激惹起性」とは「刺激が起因するもの」

医療分野では、「惹起」に接尾辞「性」が続いた「惹起性」という語句も使われています。一時騒がれた「刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞)」は、刺激によって多性能の獲得が惹起された細胞のことを表した言葉です。

ほかには、化学療法によって引き起こされた末梢神経障害のことを指す「化学療法惹起性末梢神経障害」などもあります。

「惹起」の類語と言い換え表現

「惹起」の言い換え表現「誘発」

「誘発(ゆうはつ)」とは、「あることが原因で他のことを引き起こす」ということを表した言葉で、「惹起」の言い換えに使える言葉です。ひきつけるという意味の「誘」と生じるという意味の「発」により構成されており、「事故を誘発する」「紛争が誘発された」などのように用いられています。

医療分野における「分娩誘発」は、必ずしもトラブル回避のために行われるものではありませんが、一般的に「誘発」は事件や事故などに対して用いられることが多い言葉です。

「誘引」は「誘い導く」を意味する類語

「誘引(ゆういん)」とは、誘い導くことを表した言葉です。「引」という文字には、「引く」「退く」「責任を負う」など多くの意味がありますが、「誘引」のケースでは「先に立って導く」という意味合いで使われています。

つる性植物を支柱などに固定することを指しても用いられますが、「事件を誘引した出来事」のような用法では「惹起」の類語として使用可能です。

まとめ

「惹起」とは、問題や事件になるような好ましくない事柄を「引き起こす」ことを意味します。日常会話で耳にすることは少なくても、ビジネスやニュースのほか法律用語や医療分野でよく用いられる表現です。類語の「誘発」「誘引」などとあわせて覚えておくとよいでしょう。