「健気」とは褒め言葉?意味と使い方や類語・対義語も例文で解説

「健気」とは、心掛けがよくしっかりとしたさまのことを表した言葉です。「健気」という言葉自体は褒め言葉ですが、誰に対しても使ってもよいのかという疑問もあります。この記事は「健気」の意味と使い方を例文を使いながら解説、類語や対義語も紹介していきます。

「健気」の意味とは?

「健気」とは心掛けがよくしっかりとしたさま

「健気(けなげ)」とは「心掛けがよくしっかりとしたさま」を表した言葉です。一般的に、子どもや女性など体力的に弱者とされる人に対して、困難に立ち向かっているさまや気丈にふるまうさまを指して用いられています。

なお、「健気」には健康であるさまを指す用法もありますが、現在ではほとんど使われていません。

「健気」の読み方の由来は「けなりげ」

「健」という文字は「ケン」や「すこやか」という読み方が一般的で、「けな」という読みはありません。「けなげ」と読む理由は、「健気」が他のものとは違って優れていることを表す古語「けなり(異なり)」に由来するためです。

この「けなり」に「~らしい様子」を表す接尾辞「げ」がついた「けなりげ」が語源となって、健やかで強い様子を指した「健気」という熟語になりました。

「健気」とは褒め言葉?

「健気」は本来「褒め言葉」

「健気」は本来、心身ともに強靭なさまを表した「褒め言葉」です。しかし、現在では「弱くてかわいそうな状態にある者ががんばって困難を乗り越える」というニュアンスが強くなっています。

そのため、恵まれた立場にある者からそうではない者にむけた言葉として受け取られる場合もあり、誰もがうれしいと感じるわけではないことを押さえておきましょう。

「健気」は目上の人には使わない

「健気」は褒め言葉に分類できる言葉ですが、目上の人には使わないようにしましょう。前述したように、「健気」には弱い者がめげずに頑張っていることを評価する、という意味合いがあり目上の人に使うと失礼にあたるからです。

そもそも、評価すること自体が上位から下位に向けた行為であるため、目上の人を褒めるような物言いはしない方が無難といえます。

「健気」を使った例文

  • 貧困のなかでも健気に生きる子どもたちの姿には、涙を禁じえないものがある。
  • 残念ながらうちの犬には、ハチ公のような健気さはみじんもなさそうだ。

「健気」の類語とは?

「いじらしい」とは痛々しくてかわいそうなこと

「健気」の類語として使える言葉に「いじらしい」があります。「いじらしい」とは、弱い者が懸命に頑張っている様子が痛々しくてかわいそうに思えるほどの様子を表した言葉です。

「いじらしい」は「いじらしげ」や「いじらしく」「いじらしさ」などの形でもよく用いられており、「健気」と同じ意味で言い換えに使うことができるでしょう。

「殊勝」とは心掛けや態度が良いこと

「殊勝(しゅしょう)」とは心掛けや態度が他の者より優れていることを指した言葉で、「健気」の言い換えに使える表現です。「殊」という文字には「とりわけ」という意味があり、語源である仏教用語の「殊勝」は仏の教えが文字通り「とりわけ優れている」ことを表しています。

本来の「殊勝」は感服するという意味でしたが、「健気」と同様に、現在では目上の人に対して使うと失礼になるため注意が必要です。

「神妙」とは態度が素直でおとなしいこと

「健気」の類語には「神妙(しんみょう)」もあります。「神妙」とは、態度が素直でおとなしいことや様子を表した言葉です。

ほかにも「心掛けや行いが立派で優れていること」や「人知を超えた不思議なこと」という意味もあります。「健気」と同様に目上の方への褒め言葉として使うと失礼にあたるため気をつけましょう。

「健気」の対義語とは?

「ふてぶてしい」とは開き直って図太いこと

「ふてぶてしい」とは、憎らしいほどに開き直って平然としているさま指した言葉です。弱くて不利な立場にあっても懸命に努力しているさまを表した「健気」の対局にある言葉で、対義語として使うことができます。

漢字表記として「太太しい」「不敵不敵しい」「不貞不貞しい」などがあげられますが、いずれも当て字であるためひらがなで表記したほうが無難です。

「姑息」とはその場しのぎの間に合わせ

「姑息(こそく)」とは、その場しのぎの間に合わせという意味の言葉です。弱い者が真面目に努力する「健気」とは反対の意味合いを持っています。

なお「姑息」に「卑怯(ひきょう)」という意味はありませんが、姑息なやり方で逃げようとすることが「卑怯」とみえることは少なくありません。

まとめ

「健気」は本来「心掛けがよくしっかりしている」という意味の褒め言葉です。主に、女性や子どもなど力が弱い立場の人によく使われます。

褒めることは一般的に良いこととされていますが、評価するという行為そのものが上位にある者から下位の者に対して行うものです。したがって、目上の方に対しては使わないほうが無難でしょう。