「檀家」の意味とは?お布施や付け届けの費用とやめる方法も紹介

「檀家」とは、仏事一式を任せている寺院を経済的に支えている家のことです。その寺院にお墓があるケースが一般的ですが、継承者がいないなどの理由で「檀家」をやめたいという声が増えています。この記事では、「檀家」の意味とお布施や付け届けなどの相場のほか、檀家をやめる方法についても紹介しています。

「檀家」の意味とは?

檀家とは「寺院を経済的に支えている家」

「檀家」とは、葬儀や法要など仏事一式を任せている特定の家で、寺院の財政を支えています。「檀家」の読み方は「だんか」です。サンスクリット語の「ダーナパティ」の音を表した「檀那(だんな)」が語源になっていて、お寺の僧を供養するという意味を持つ言葉でした。

「檀家」となっている寺院には先祖の墓があり、お彼岸やお盆などには墓参りをしていることが一般的で、寺院の信徒になってお布施などを行います。

「檀家」は江戸時代から始まった制度

「檀家」という制度は江戸時代に始まったもので、キリスト教を排除するために幕府が制定した「寺請制度(てらうけせいど)」が由来とされています。

キリシタンではないことを明らかにするため、寺院の檀家となりその証明書を提出するというもので、その代わりに代々その寺院を支えるという義務が生じました。

「檀家」は浄土真宗では「門徒」と呼ぶ

「檀家」の呼び名は、浄土真宗の「門徒(もんと)」や浄土宗の「信徒(しんと)」のように、宗派によって違いがあります。ほかにも「檀家」としての付き合いが長い人を「門徒」、新しい人を「信徒」として区別しているところもあるようです。

また「檀家」には「総代(そうだい)」と呼ばれる、檀家のまとめ役をしている人もいます。

「檀家」のお布施や付け届けの費用

「檀家」になるための費用は10~30万円

「檀家」は、お布施や寄付などさまざまな費用によって寺院の財政を支援しています。

まず「檀家」になるための初期費用として「入檀料」があります。宗派や寺院によって違いがありますが、相場として10~30万円ほど掛かるものです。なお、位牌を安置する位牌堂のための費用などを別途納める場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

「護持会費」は年額1万円程度から

寺院の「檀家」になると、毎年「護持会費」が発生します。年会費のようなものですが金額は1万円から2万円程度が相場で、年払いが一般的です。

「護持会費」はその名の通り大切に守り保つための会費で、寺院の維持・管理費などにあてられていますが、「護持会費」とは別に「管理費」が掛かる寺院もあります。

「付け届け」とは寺院の行事へのお布施

金額や支払いのタイミングが決められている「入檀料」や「護持会費」とは別に、「付け届け」というものもあります。「付け届け」とは、春秋の彼岸会や夏の盂蘭盆会のほか、浄土宗の十夜法要や浄土真宗の報恩講など、各寺院行われる宗派の行事へのお布施のことです。

お布施はサービスへの対価ではなく、感謝の気持ちを示すためのお金であるため本来金額に決まりはなく、支払いの義務もありません。目安としては1万円前後といわれていますが、宗派や行事によって違いがあるため、予め確認しておけば安心です。

「寄付」は大規模な修繕・改築への費用

「護持会費」は寺院の日常的な維持・管理のための費用にあてられるもので、大規模な修繕や改築・新築などへの費用は「寄付」でまかなわれます。

「檀家」ではない一般の参拝者へも、瓦一枚3千円などの「寄付」を呼び掛けるなどしていますが、「檀家」に対しては「一口1万円・〇口以上」というように、まとまった額の「寄付」が求められることが一般的です。

葬儀のお布施は数十万円

葬儀や法事などで戒名や読経を授かる際にも、お布施をします。通夜・葬儀には15~30万円程度、四十九日や初盆、一回忌などには3~5万円程度のお布施が相場ですが、葬儀の規模や僧侶の人数や位によって大幅に変動するものです。

戒名にはランクがあり、30万円程度の信士・信女から100万円以上もする院居士・院大姉位まで幅広く用意されています。他に、僧侶が会席に参加しない場合の「御膳料」や交通費としての「お車代」が必要となることもあります。

「檀家」をやめる方法

檀家をやめる手続きは「離檀」

「檀家」になるときに「入壇」という手続きを行いましたが、この契約は「離壇」によって破棄することができます。まず、寺院に「離壇」の意志を伝えて離壇料(5~20万円程度)を支払います。寺院に墓がある場合には、お墓の閉眼供養(3~10万円)をしてから墓石を撤去して更地に戻さなければなりません。

費用の相場は20万円ですが、寺院によっては業者が指定されていることもあるため、事前に確認しておく必要があります。

改葬には行政手続きが必要

お墓を引き上げたあと改葬する場合には、役所で「改葬許可証」の交付を受けなければなりません。

この手続きには「埋葬証明書」「受け入れ証明書」を添えて「改葬許可申請書」を提出します。なお、行政手続きに必要な金額は千円程度です。

まとめ

「檀家」とは仏事一式を任せている特定の家のことで、寺院の財政を支えています。すでにお墓があり継承していきたい場合は、経済的負担はあるものの檀家を続けた方が安心です。しかし、経済的負担が重く感じられたり継承者がいない場合は、檀家をやめることや墓じまいを検討するのもよいでしょう。