「断罪」の意味と使い方とは?類語「処罰」やラテン語・英語も紹介

「断罪」とは、一般的に「罪を裁く」という意味で使われている言葉です。斬首刑という意味もありますが、この記事では「断罪」の意味と使い方を理解するために、例文や言い換えとして使うことができる類語のほか、ラテン語・英語なども紹介しています。

「断罪」の意味とは?

「断罪」とは「罪を裁くこと」

「断罪(だんざい・たんざい)」とは、罪への判決を下すことを表した言葉です。「断」は刃物で切り離すことを表した会意文字で、「たちきる」という大きな意味合いがあります。

「断罪」における「断」は「さだめる」「さばく」という意味をもっていますが、継続してきたものごとを断ち切り決定するということを表したもので、「決断」「判断」などの熟語は、この意味合いがうかがえるものです。

「断罪」には斬首・斬刑という意味も

「断罪」には、斬首・斬刑という意味もあります。この場合の「断」は、漢字そのものの「刃物で切り離す」という成り立ちが由来となったものです。

また「罪」には、「死罪」「流罪」というように刑罰を加えるという意味もあり、「断」という文字とあわさって刃物を用いて首や身体を切ることによる刑罰を表しています。

かつて行われていたフランスでのギロチン刑や日本での打ち首などは、「断罪」の具体例です。

「断罪」の使い方と例文

「断罪される」「断罪する」のように使う

「断罪」には、先に紹介したように「罪を裁くこと」と「斬首・斬刑」の2通りの意味があります。現在では、前出の「罪を裁く」という意味で用いられることが一般的で、「断罪する」「断罪される」のように表現します。

多くの国で銃殺や絞首刑、薬物による方法が用いられており、斬首刑を採用している国はほとんどありません。日本でも絞首刑が採用されていることもあり、「断罪」はもっぱら「罪を裁く」という意味で使われています。

「断罪」を使った例文

  • 一連の生活保護減額は、政府の物価偽装を裁判所が断罪したことにより取り消された
  • A社が行った元従業員に対する損害賠償請求は、「不当訴訟」として断罪に処せられた
  • ブラック企業への断罪が下されたことにより、労働者は安心して働けるようになるだろう

「断罪」の類語(類義語)とは?

「断罪」は「断獄」に言い換えられる

「断獄(だんごく)」は、罪を裁くことやその裁きによって斬罪に処することを表した言葉で、「断罪」の言い換えに使うことができる類語(類義語)です。

「獄」は「言葉」と「あらそう」からなる会意文字で「うったえ」「裁判」という意味があり、「疑獄」や「大獄」という熟語からもその意味合いがうかがえます。この「獄」に「さばく」ことを表す「断」があわさり、「断獄」という熟語を構成しているのです。

なお「断獄」は、日本の奈良・平安時代の律令制度における訴訟制度のひとつのことも意味していますが、一般的ではありません。

「処罰」とは罪に見合う罰を与えること

「処罰」とは、罪に見合った罰を与えることを表した言葉です。「処」という文字には「然るべく決める」という意味があり、訓読みの「処する」には「ものごとをとりさばく」「刑罰を与える」という意味があります。

そのため、熟語の「処罰」も罪に相当する「罰」を与えることを指すものとなっているのです。

「制裁」とは違反者へのこらしめを表す類語

「制裁(せいさい)」とは、法律や規則だけでなく伝統や慣習など、社会規範に違反した者へ加えられる罰や懲らしめのことです。

法律違反に関しては法に基づいて対処されますが、集団の慣習などへ背いた場合には「鉄拳制裁」のような体罰や「村八分」のような不利益が加えられます。

「断罪」のラテン語訳とは?

「断罪」はラテン語で「damnatio」

「断罪」のラテン語訳は、「damnatio」です。古代ローマでは、反逆者とされた人物の記録を抹消する処置が行われており、これが後に「Damnatio Memoriae(ダムナティオ・メモリアエ)」と呼ばれるようになりました。

「Damnatio Memoriae」を受けた人物はその存在がなかったものとされ、肖像画や彫像のほかコインに記された名前などあらゆる痕跡が抹消されたのです。

「damnatio」は英語「damnation」の語源

「damnatio」は、英語「damnation」の語源といわれています。「damnation」は地獄で永遠に罰を受け続けるよう宣告された状態(永遠の断罪)のことを指すもので、「天罰」「破滅」「酷評」を表しています。

フランスの作曲家・ベルリオーズの作品「The Damnation of Faust(ファウストの劫罰)」にも「damnation」という文字がみられますが、日本語の「断罪」は人間が人間に与えるものであることに対し、英語の「damnation」は天が人間に与えるものという位置づけで、一般的にはあまり使われていません。

「断罪」の英語訳とは?

「断罪」の英語訳は「conviction」

「断罪」の英語訳は、「conviction」です。動詞形の「convict」は、強調を表す「com」と征服するという意味の「vincere」を語源とするもので、有罪であると宣言することを指しています。

先に紹介した「damnation」とは違い人間が人間の罪を断定するものです。なお「convict」は名詞としての用法もあり、有罪宣告を受けた囚人や受刑者のことを表します。

「斬首刑」という意味の英語は「beheading」

「断罪」の刑罰の斬首を表す用法での英語訳は「conviction」ではなく「beheading」です。

「頭部」のことを指す「head」に、「off」「away from」という意味を表す接頭辞「be-」がついた「behead」に、名詞や形容詞を作る接尾辞「-ing」がついて構成されています。

なお、解雇するという意味での首を切ることを言いたい場合には、「beheading」ではなく「layoff」や「dismissal」を用います。

まとめ

「断罪」は罪への判決を下すことを表した言葉で、法に基づいて行われます。したがって、仲間内でのちょっとしたトラブルの解決に対しては「制裁」の使用が適切でしょう。いずれにしても罰や懲らしめを受けるようなことは避け、穏便に和解できる程度で抑えるようにしたいものです。