「暖簾に腕押し」の意味は?例文や「糠に釘」など類義語も紹介

一般家庭で暖簾を目にすることは少なくなりましたが、「暖簾に腕押し」という言葉は日常会話の中で耳にすることはまだまだあります。しかし、意味を取り違えて使われていることもあるようです。

ここでは「暖簾に腕押し」の正確な意味と例文や類義語を解説していますので、参考にしてください。



「暖簾(のれん)に腕押し」の意味

「暖簾に腕押し」の意味は張り合いのないこと

「暖簾に腕押し」は「のれんにうでおし」と読みます。最近の住宅は洋風の設えが多くなり、家庭の中で暖簾を見かけることは少なくなりました。しかし、飲食店や旅館のほかスーパー銭湯などには、屋号や商品名が染め抜かれた暖簾をしばしば目にします。

暖簾は仕切りとして使われるものですが、切れ目の入った布が下げられただけのものです。そのため暖簾をくぐるときに腕で押しても、抵抗を感じることはありません。

このことから「暖簾に腕押し」は、手応えや抵抗がないことやもののたとえとして使われています。

「腕押し」は腕相撲という説も

「腕押し」が、腕で押すことではなく腕相撲のことを指す言葉だという説もあります。腕相撲の際、双方とも力が拮抗していると張り合いがありますが、暖簾のように力が入っていない状態の人を相手にすれば、あっという間に勝負がついてしまうのです。

この意味でも、「暖簾に腕押し」は、暖簾と腕相撲をするように張り合いがないことを意味し、

「暖簾に腕押し」は「効果がない」という意味も

「暖簾に腕押し」しても、暖簾は抵抗しませんが、だからといって暖簾が破れてしまうわけでもありません。さらりと受け流されてしまって、いくら「暖簾に腕押し」しても暖簾は元の状態のままです。

そのため、こちらがいくら働き掛けても効き目がないことや無意味なさまを指す言葉としても、「暖簾に腕押し」が使われます。

「暖簾に腕押し」の例文


「暖簾に腕押し」が使われるシチュエーション・例文とその状況の解説を以下に挙げます。いずれも相手の反応が芳しくなく、こちらの頑張りは空回りに終わりそうな気配が漂っています。

  • 「彼女にアタックしているが、暖簾に腕押し状態だ」
    → 頑張ってアタックしているのに、相手に受け流されている
  • 「欠勤の多い社員に何度か忠告してみたが、暖簾に腕押しだ」
    →相手は反抗こそしないけれど、忠告を受け入れるつもりもない
  • 「彼に問いただしても暖簾に腕押しできちんと答えてくれない」
    →何度も質問しているが、正直に答えてくれない
  • 「企画をいくつか提案してみたけれど、暖簾に腕押しだった」
    →企画に魅力が感じられないか、はじめから受け入れる気がないのか、いずれにしても受け入れる気がない

「暖簾に腕押し」の類義語

「暖簾に腕押し」の類義語は「豆腐にかすがい」「糠に釘」

「暖簾に腕押し」の類義語は、以下のようにたくさんあります。

  • 豆腐にかすがい
  • 糠に釘
  • 沼に杭
  • 石に灸

豆腐にかすがいを打ち付けても崩れてしまうし、糠に釘を打ってもキリがありません。いずれの言葉も、こちらの行動に対して期待した反応や効果が得られないというパターンになっているもので、「暖簾に腕押し」と同じ状態です。

「馬の耳に念仏」も類義語

「馬の耳に念仏 」は、馬にいくらありがたい念仏を聞かせてやっても理解できないことから、いくら言って聞かせても全く効き目のないことを指すたとえで、「暖簾に腕押し」と同じ意味合いです。

爽やか吹き渡る春風に対して、馬は何も感じないことを指す「馬耳東風 」や、顔に水がかかっても全く頓着しないことを指す「カエルの面に水」も、「暖簾に腕押し」の類義語です。いずれも他人の忠告や意見などを気に留めることがなく、全く反省しないことのたとえです。

「柳に風」は用法が異なる

「暖簾に腕押し」やここに挙げた類義語と似たものに、「柳に風」があります。吹き付ける風をサラサラと受け流す柳の様から、何事も気にしないで受け流すことのたとえとして使われる言葉です。

似た言葉ではありますが、「暖簾に腕押し」や「馬の耳に念仏」などは、こちらの働きかけを受け流した相手に対してマイナス評価を下すときに使います。

一方「柳に風」は、つまらないことに対していちいち気に留めない賢い態度という意味合いがあり、プラス評価が与えられます。用法を間違えて無用なトラブルを招かないように、注意が必要です。

まとめ

「暖簾に腕押し」や「糠に釘」「馬の耳に念仏」という言葉には、指し示す対象へのマイナス評価が含まれています。この点を忘れて不用意に使ってしまうと、相手を怒らせてしまうことになりかねません。

何気なく使ってしまいがちなことわざですが、意味するところをしっかり押さえて正しく用いることが大切です。