「碩学」の意味と使い方とは?類義語「泰斗」との違いや対義語も

「碩学」とは、広くて深い学問を身に付けたことやそのような人を指して用いられる言葉です。日常生活ではあまり用いられませんが、ビジネスシーンや改まった場で使われることがあります。この記事では「碩学」の意味と使い方、類語「泰斗」との違いや対義語も紹介しています。

「碩学」の意味とは?

「碩学」とは学問が広くて深いこと

「碩学(せきがく)」とは、学問が広くて深いことやそのような人のことを指した言葉です。「碩」という文字には、「大きい」「優れている」「立派である」という意味があります。石偏と人の頭部の象形である頁(おおがい)から成っており、大きくて充実した頭を表すものです。

この「碩」に「学」があわさって、学問が広くて深いことや、そのような学問を修め優れた人物のことを指す熟語となっています。

「碩学大儒」とは大学者のこと

「碩学大儒(せきがくたいじゅ)」とは、学問を究めた大学者のことを表した言葉です。「大儒」はもともと儒学者のことですが、広く学者のことも指して用いられます。

また「五山碩学(ござんせきがく)」は、江戸時代に京都五山のなかの天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺から選ばれて手当を受けていた碩学の僧のことを意味する言葉です。

「碩学」の使い方と例文

「碩学の徒」のように「碩学の〇〇」と使う

「碩学」は名詞ですが、単独で主語として使われるより後に人物を指す言葉をつなげて「碩学の長老」や「碩学の徒」というように用いられているケースがあります。

また、「碩学な」や「碩学だ」というような形容動詞としての用法や、「碩学さ」のような形容詞としての用法もみられます。

「碩学」を使った例文

  • 碩学の長老の話を聞き、自分の未熟さを改めて実感した
  • 彼のように碩学な人物になるためには、不断の努力が必要だろう
  • この道における彼女の碩学ぶりは、誰もが認めるところだ

「碩学」と「泰斗」の違いとは?

「泰斗」とはその道の第一人者として尊敬される人

「泰斗(たいと)」とは、その道の第一人者として高く評価され、尊敬されている人のことを指します。

「泰斗」は「泰山北斗」を縮めた言葉で、中国の山東省にある名山の「泰山」と、「北斗(北斗七星)」のことです。ここから誰もが仰ぎ見る存在を指して「泰斗」と呼ぶようになりました。

「碩学」は実力があり「泰斗」は評価されること

四字熟語の「碩学泰斗(せきがくたいと)」とは「碩学」と「泰斗」があわさったもので、学問を深く修め、かつ高く評価されていることを表しています。

つまり、「碩学泰斗」は実力と評価が両立しているときに使う言葉であり、「碩学」であっても世間に評価されていない場合や、実力以上に尊敬を集めているような場合は使われません。

「碩学」と似た意味の類語(類義語)とは?

「大家」とは優れた見識や技能を持つ人

「碩学」と似た意味の言葉に「大家(たいか)」があります。「大家」とは、ある分野において優れた見識や技能を持つ人を表します。「碩学」との違いは、学問の分野にとどまらず芸術や芸能分野など幅広い分野を対象にしている点です。

また、「碩学の〇〇」という用法に対し、「大家」は「〇〇の大家」のように使われるケースが多くみられます。「大家」を「たいけ」と読んだ場合は、身分の高い家柄やお金持ちの家のことを指し、「おおや」と読んだ場合には家主や母屋、本家という意味を表します。

「博学」とは広い分野の知識を持っていること

「博学(はくがく)」とは、広い分野にわたる知識を持っていることを指した言葉です。熟語に使われている漢字の「博」には「ひろい」という意味があり、知識や学問の幅広さを表しています。

「碩学」は深い学問を修めることやそのような人のことを意味していますが、「博学」は人を指して用いられることはありません。この点が「碩学」と「博学」の違いです。

「碩学」の対義語とは?

「浅学」とは知識や学問が十分でないこと

「浅学(せんがく)」とは、知識や学問が十分ではなく、未熟であることやそのような人のことを表した言葉です。自分に対して使う「浅学菲才」という四字熟語もあります。

「浅学菲才(浅学非才)」は謙遜の意味で使う

「浅学菲才(せんがくひさい)」とは、未熟であることを表した四字熟語で、謙遜の意味で使われるという特徴があります。自分の知識が評価された際に「自分など浅学菲才で…」のように使います。

実際に知識が未熟な場合は、「謙遜」にならないため使えない表現です。また、明らかに専門知識がある人や経験豊富な人が使うと、嫌みとして受け取られる可能性もあるため注意しましょう。なお、「菲才」の「菲」は粗末な食材という意味の文字ですが、当用漢字ではないことから「非才」とも表記されます。

まとめ

「碩学」の意味と使い方や、類語「泰斗」との違いと対義語なども紹介しました。「碩学」は、広く深い知識を修めていることやそのような相手を褒める意味で使います。一方、対義語の「浅学」を使った四字熟語「浅学菲才」は謙遜を表し、昇進の挨拶やスピーチでよく使われるものです。