「ご参考ください」の意味とは?類語「ご参照ください」との違いも

「ご参考ください」は、ビジネスの場でよく見聞きする言い回しです。考えを決める際、手掛かりにしてほしいものを相手に提示する場合に使われます。「ご参考ください」の意味や「ご参照ください」との違い、言い換え表現についても紹介しましょう。

「ご参考ください」の意味とは

「ご参考ください」の意味は「手掛かりにしてほしい」

「ご参考ください」という言い回しは、ビジネスシーンでよく見聞きされる表現です。提示した意見や情報を、相手の考えを決める際の手掛かりとして使ってほしい、という場面でよく使われています。

「ご参考にしてください」が正しい表現

「ご参考ください」は、厳密にいうと正しい表現ではありません。「参考」は名詞のため、補助動詞「ください」を直接続けて使うことができないためです。

しかし、「参考」に「する」を付けることで動詞のように使える、という特徴があります。「参考する」を丁寧に表現すると「参考してください」、これを違和感のない尊敬表現にすると「ご参考にしてください」となります。

「ご参考ください」もよく見聞きするため、誤用と指摘されることはあまりないでしょう。ただし、改まった場面では「ご参考にしてください」「ご参考になさってください」を使ったほうが安心です。

「ご参考下さい」と漢字では書かない

「ご参考ください」を漢字で「下さい」と書かれていることもあります。「下さい」とは「コーヒーを下さい」のように、物をこちらによこすことを要求する動詞で「くれ」の丁寧語です。

「ご参考下さい」とした場合、「参考」をこちらによこすように要求している意味になってしまいます。「参考」は物理的に受け渡しできるものではないため、メールや文章で書く場合は気をつけましょう。

「ご参考ください」をビジネスで使うときの注意点

「参考」は目上にはあまり使わない

「ご参考ください」の「参考」という言葉そのものが、目上の人に使うものとして適切ではありません。「参考」とは、何らかの行動や考えを決める手掛かりにすることや、そのための材料を表します。

つまり「参考」になるかどうかは相手が判断するもので、こちらから目上の人に対して「参考にしてください」ということは失礼にあたります。

「ください」は相手に要求する意味合いも

「ください」は、命令を表す「くれ」がもとになっている言葉です。正しい敬語表現ですが、相手によっては「要求されている」「上から目線」と感じる場合があります。「参考」と同じく、ビジネスシーンや目上の人には使わないほうがよいでしょう。

「ご参考ください」と「ご参照ください」の違い

「ご参照ください」の意味は「照らし合わせてください」

「参照(さんしょう)」とは、既存の知識と他の資料や情報を照らし合わせることを意味した言葉です。「参」は「比べる・調べる」、「照」は「突き合わせる・見比べる」ことを表し、複数のものを見て比べることを示す熟語となっています。

この「参照」に美化語をつくる接頭辞「ご」と、尊敬語の「ください」を付けると「ご参照ください」になります。「ご参照ください」は「ご参考ください」とは異なり、正しい敬語表現です。

「参考」と「参照」の使い分け方

「参考」と「参照」は、どちらも自分の考えや意見を決める際の「手掛かり」を指した言葉です。「参考」は、周囲の意見や関連情報を手掛かりに考えや意見を決めます。一方「参照」は、図やグラフなどのデータ・文献を照らし合わせて決める、というニュアンスです。

また、「参照」はAとBが合っているかを調べたいときに使うものです。「参照元」や「参照サイト」というように、文章や画像を見て比較しながら整合性の有無を調べることを表しています

「ご参考ください」の類語・言い換え表現

「ご参考ください」と似た意味は「ご覧ください」

よく使われてはいるものの、文法的には誤りである「ご参考ください」の言い換えに使える言葉はあまりないようです。

「ご覧ください」やさらに丁寧な「ご高覧ください」は、「ご参照ください」のように見て確認できる場合に使います。参考にしてほしいものが目に見えるものである場合に限り、「ご覧ください」を言い換え表現として用いることができます。

「ご照会ください」は「問い合わせてください」

「ご照会ください」は、疑問点などについて然るべきところに問い合わせて確認してくださいという意味です。

たとえば、会場に連絡して予約ができているかどうかを確認するような場合、警察が身元確認を行うような場合に使います。したがって、「ご参考下さい」の言い換えとして使えるケースは限定的と言えるでしょう。

まとめ

「ご参考ください」の意味のほか、「ご参照ください」との違いや類語・言い換え表現について紹介しました。「ご参考ください」には文法的に正しくないことや、「ください」という直接的な表現が目上の人に使う場合相応しくないことなどの問題があります。ビジネスでも通用している表現ですが、状況や相手に合わせて言い換えたほうが無難でしょう。