「雲散霧消」の意味と使い方とは?雲集霧散との違いや類語と例文も

「雲散霧消」とは、ものごとが跡形もなく消え去ってしまうことを表した四字熟語です。「雲集霧散」など、見た目や読み方が似ている言葉が多いのが特徴ですが、意味は同じものから正反対のものまで含まれています。「雲散霧消」の意味と使い方のほか、類語や対義語なども含めて解説しましょう。

「雲散霧消」の意味とは?

「雲散霧消」とは消えてなくなること

「雲散霧消(うんさんむしょう)」とは、ものごとが跡形もなく消え去ってしまうことを指した四字熟語です。

空一面に広がっていた雲や、前が見えないほど真っ白に垂れこめていた霧が、風や日光によって消えてなくなってしまう様を表したもので、すっきりと消え去ってしまうという意味で使われています。

「雲散霧消」は「雲散」と「霧消」から成り立つ

「雲散霧消」は、「雲散」と「霧消」という熟語から成り立っている四字熟語です。「雲散」とは雲が風に付き散らされて消えてしまうこと、「霧消」とは霧が風や日光によってかき消されることを指します。

つまり、同じような意味を重ねて「ものごとが消えてなくなること」を強調した四字熟語だと言えます。

「雲散霧消」の使い方と例文

「雲散霧消」は心の問題にも使える四字熟語

「雲散霧消」はものごとや物理的な物に対してだけでなく、悩みや不安などの精神的な問題が消えるときにも使うことができる言葉です。

加えて、雲や霧が消えたあとの陽光に満ちた様子から、ものごとや精神的な問題が消えることで気分などが晴れ晴れとなったようなときにも使うことができます。

「雲散霧消」は良い意味と悪い意味どちらにも使える

「雲散霧消」は、ものごとなどの良し悪しに限らず使うことができる言葉です。悪いものが消えて良い結果が訪れるような場合だけでなく、期待していたものや努力してきたものが無に帰してしまうような場合にも使えます。

「雲散霧消」は短期間に消えていくときに使う

「雲散霧消」は雲や霧が晴れていくときのように、短期間のうちに何事もなかったのように消えていく様子を表したものです。

したがって、消そうとして奮闘した末に消えるような場合ではなく、自然にあるいは不可抗力のうちにかき消されていくような場合に使います。

「雲散霧消」を使った例文

  • 長年掛けて築き上げてきた信用と実績が、たった一度の失敗で雲散霧消してしまった
  • 数々の精密検査の結果、良性だったことが判明して不安な気持ちは雲散霧消した
  • 株の大幅な下落で事業拡大計画は雲散霧消したが、これでよかったのかもしれない

「雲散霧消」と「雲集霧散」の違いとは?

「雲集霧散」とは集まっては消えていくこと

「雲散霧消」とよく似た四字熟語に、「雲集霧散(うんしゅうむさん)」があります。雲が集まり霧が散っていくように、多くのものや人が集まっては消えていく様や、それが繰り返されていることを表した言葉です。

四字熟語の由来は、『漢書』を編纂した「班固(ハンコ)」が記した『西京賦(セイトフ)』にあり、水鳥たちが集まっては飛び立っていく様を指して「雲集霧散」と表しています。

「雲集霧散」は消えてもまた集まってくる

「雲集霧散」は、多くの者や人が集まったり消えたりすることを指しているものです。一方「雲散霧消」は、消え去った後に何もなくなってしまっていることを表しています。

つまり、「雲集霧散」は集まっては消えるということがこれからも繰り返されるという状態を指していることに対し、「雲散霧消」は消えてしまったという完了した状態を表しているという違いがあるのです。

「雲集霧散」を使った例文

  • スクランブル交差点では終日、多くの人々が雲集霧散している
  • 貨物ターミナル駅には、毎日色とりどりのコンテナが雲集霧散している

「雲散霧消」の類語とは?

「雲消霧散」は「雲散霧消」の誤りではない

「雲散霧消」とよく似ている「雲消霧散(うんしょうむさん)」は、誤りではなく同じ意味の四字熟語です。

中国の四字熟語には「雲消霧散」がなく、日本でも「雲散霧消」のほうが一般的に用いられているため、誤用ではないかと思われるかもしれませんが、正しい四字熟語として通用します。

「煙散霧消」とは煙や霧のように消え去ること

「煙散霧消(えんさんむしょう)」とは、煙や霧のようにものごとが消えていく様のことを表した四字熟語です。「雲散霧消」の「雲」が「煙」に置き換わったもので、お互いを言い換えとして使うことができます。

また、同様の類語として「雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)」があげられます。「鳥没」とは鳥が飛び然ることを指しており、そこにあった痕跡さえ残さず完全に消えてしまうことを表したものです。

「雲散霧消」の対義語とは?

「雲合霧集」とは多くのものが一時的に集まること

「雲合霧集(うんごうむしゅう)」は、雲や霧が沸き集まるように人や物などが一時的に数多く集まることを指しており、「雲散霧消」の対義語にあたる四字熟語です。

『史記』の「淮陰侯伝」が由来で、英雄の呼び掛けに応じて多くの志ある者たちが集まってくることを記した場面で、「雲合霧集」が使われています。

「雲屯霧集」は「雲合霧集」と同じ意味

「雲屯霧集(うんとんむしゅう)」は、「雲合霧集」と一字違いで同じ意味の四字熟語です。「屯」には「群がり集まる」という意味があり、雲が群がり霧が集まるように人や物がにわかに集まってくる様子を表しています。

まとめ

「雲散霧消」とは、消えてなくなることを表す四字熟語です。良い意味と悪い意味どちらにも使うことができます。類語には「雲消霧散」「煙散霧消」、対義語は「雲合霧集」など複数の四字熟語があげられます。成り立ちや読み方が似ているため、間違えないよう気をつけましょう。