擬態とはどんな意味?使い方や「擬態語」と類語・擬態する生き物も

「擬態」とは、動物や昆虫が他のものに似た姿をしていることを指して使われます。生物の「擬態」には種類がいくつかあり、どれも生きるための戦略を伺うことができます。この記事では、「擬態」の意味や種類のほか、語句の使い方と類語に加え「擬態語」についても紹介しています。

擬態とはどんな意味?

擬態とは「他のものに姿を似せること」を意味する

「擬態(ぎたい)」とは、他のものに姿や様子を似せることを指した言葉です。「擬」という文字は「にせる」「まねる」「もどき」ことを、「態」には「姿かたち」「様子」を表しています。何かの姿かたちをまねる、似せるという意味合いを形成しています。

擬態とは「生き物の生存戦略」のひとつ

「擬態」は、動物や昆虫が自分の姿を隠したり威嚇したりするために、周囲のものや他の動植物に似せることを指しても使われています。

敵に捕食されないためや、獲物に気付かれないために周囲に溶け込むような姿かたちをしたものは、多くみられる「擬態」の事例です。

擬態語とはどんな意味?

擬態語とは「ものごとの状態を音声にたとえた語」

「擬態語」とは、ものごとの状態や人の身ぶりなどを音声にたとえて表した語です。そのものが発する音を表した「擬声語」とは異なり、ものごとの様子を音声で描写しています。

たとえば覇気のない様子を表した「ダラダラ」は、実際にそのような音はしていない状態を象徴的に表現したものです。

「擬態語」はオノマトペのひとつ

オノマトペとは、音でものごとの状態や動きなどを表現した言葉のことです。実際に音として聞こえる「擬声語」のほか、客観的に音として感知されないが感覚的に表現される「擬態語」もオノマトペに含まれます。

たとえば「ゴロゴロ」などは、雷が鳴る音や猫が喉を鳴らす音のほか、物が転がっている様子や特に何もせずに過ごしている様子など、さまざまな状態を表したものです。

「擬態」の使い方と例文

「擬態する」と動詞にして使う

「擬態」は名詞としての用法以外に、後に「する」を付けて動詞として使うこともできます。「熟語+する」のような動詞は「サ行変格活用」と呼ばれるもので、「研究する」「成長する」などもその一例です。

「擬態」を使った例文

  • 攻撃装備を進めているがこれは擬態で、実は間もなく完全に撤退することになっている
  • 飼育ケースの中に擬態している昆虫がいるのだが、誰一人として見つけることができなかった

「擬態」の種類や擬態する生き物とは?

擬態の種類は大きく2つ「隠蔽的擬態」「標識的擬態」

「擬態」には大きく2種類あります。1つは目立たないための「隠蔽(いんぺい)的擬態」、もう1つは目立つための「標識的擬態」の2種類です。

「隠蔽的擬態」の例として、アゲハチョウの幼虫があげられます。若齢時には鳥のフンのような姿、成長すると周囲の葉に紛れる緑色の姿によって鳥の目から逃れているのです。

そのほか「攻撃型擬態」「ペッカム型擬態」と呼ばれる種類もあります。例えば、ハナカマキリのメスは、獲物に気付かれないよう花に擬態して捕食します。

「標識的擬態」にはミュラー型とベイツ型がある

「標識的擬態」は、「ミュラー型」と「ベイツ型」に分けられます。「ミュラー型」とは、毒を持つ生き物が自分は危険な存在であるということをアピールするためのものです。特徴的な警告色をしている種類が多くみられます。

一方「ベイツ型」とは、毒を持っている強い生き物に似せた擬態です。「ミュラー型」の警告色を真似ている事例が多くみられます。これは、自分が危険な生き物であるように見せることで、敵から身を守るというものです。

「ミュラー型」は、スズメバチの警告色(黄色と黒の縞模様)がわかりやすい例でしょう。スズメバチを真似た「ベイツ型」の生き物には、ハナアブがいます。

「擬態」の類語・類義語とは?

「擬態」の類語は「偽装」

「偽装(ぎそう)」とは、事実を偽ってもっともらしく見せかけることを表した言葉で、不当な利益を得るためや、不都合な事実を覆い隠すために相手をだます行為です。

偽装表示は不当競争防止法によって規制されており、違反すると販売差し止めや損害賠償などが科せられたり、有罪になったりすることもあります。嘘偽りはもちろんのこと、誤解を招くような表示も避けるよう注意が必要です。

「擬装」はカモフラージュを意味する類語

「偽装」と同音異字の「擬装」とは、カモフラージュのことです。特に戦場などで行われ、周囲と似た色や形にすることで、姿を見えにくくすることを指しているものです。

「偽装」と同じ意味で使われることもありますが、「偽装」は一般的に法律に触れる行為を指して使われ、「擬装」はカモフラージュという意味で使われるという点が異なります。

まとめ

「擬態」とは、ほかのものに姿や様子を似せるという意味です。動詞「擬態する」や「擬態語」のような使い方もあります。擬態する生き物や昆虫は大きく2種類に分けられ、敵から身を守る「隠蔽的擬態」と自分が危険な存在であることをアピールする「標識的擬態」です。「標識的擬態」には、有毒な生き物の姿を真似た「ベイツ型」も含まれます。