「名は体を表す」という言葉があります。よく知られたことわざですが、「体」とは具体的にどういうことを指すのかでしょうか。
この記事では「名は体を表す」について、意味や例文のほか類語や反対語の紹介や、「名は体を表す」が本当なのかについて記述しています。「名は体を表す」を使うときの参考にしてください。
「名は体を表す」の意味・読み方・例文
意味は「名前がそのものの実体を表すものである」
「名は体を表す」の意味は、「名前がそのものの実体を表すものである」です。
「名は体を表す」ということわざで、名が表しているものはそのものの実体であることが知られているためか、「体」ではなく「態」と書き表してしまっている事例が見受けられます。
「態」は「体」と同様にありさまや様子を意味しているものであることが、書き誤りを招きやすい原因です。「実態」は状態や様子を指すときに使われる言葉で、「実体」は物や人物の本当の姿を指すときに使われる言葉であるということを押さえておくと、誤用を避けることができます。
読み方は「なはたいをあらわす」
「名は体を表す」の読み方は「なはたいをあらわす」です。「体」は「からだ」ではなく「タイ」と音読みされます。「からだ」と読む場合、体は主に手足や胴のことを指すものです。一方「タイ」と読む場合には、ありさまや本性という意味合いが加わります。
「名は体を表す」を使った例文
「名は体を表す」を使った例文を紹介します。
- 彼の名前は清正というが、「名は体を表す」を地で行く清廉潔白な人物だ。
- 新しい会社に、名は体を表すようなそのものズバリの社名が付けられた。
- 新製品の名前は消費者の誤解を招かないように、名は体を表すものにしよう。
- ネーミングに凝りすぎて、名は体を表すものとはいえないものになってしまった。
「名は体を表す」の類語
「名は体を表す」の類語は「看板に偽りなし」
「名は体を表す」の類語として「看板に偽りなし」があります。売られている物やサービスが看板どおりであるということから、外見と中身が一致していることを指しており、「名は体を表す」と同じ意味合いを持つことわざです。
安くて旨いと標榜しているラーメン店で、本当に美味しいラーメンが安く提供されていれば、「この店の豚骨ラーメンは看板に偽りなしで、本当に安くて旨い」といえます。
「名詮自性」は四字熟語の同義語
「名詮自性」は「みょうせんじしょう」と読みます。「詮」は明らかにするという意味を持つ漢字で、「名詮自性」を読み下せば「名は自ずと性を詮らかにする」となり、「名は体を表す」のと同じ意味の四字熟語です。
他には「名実一体」や「名実一致」が「名は体を表す」の同義語で、どちらも名と実が同じであることを意味しています。
「名は体を表す」の反対語
「名は体を表す」の反対語は「名前負け」
「名は体を表す」の反対語として、ストレートでわかりやすいものが「名前負け」があります。名前にその物や人物が負けていて、名と体が合っていないことをいう慣用句です。
「名前負け」に似たものとして「看板倒れ」があります。「看板に偽りなし」を裏返しにしたもので、立派な看板に商品やサービスが見合っていないことを指すものです。
「名は体を表す」の反対語としては、「名所に見所なし」や「名物に旨い物なし」も挙げられます。どちらも名前が轟き渡っている割に、実際の場所や食べ物はそれほどのものではなく期待外れであることをいうことわざです。
四字熟語にもある「名は体を表す」の反対語
「名は体を表す」の反対語で四字熟語としては「有名無実」があります。立派な名前はあれどもそれに見合った実体はないという意味で、名が体を表していないことをいっているものです。
「羊頭狗肉」も同様の意味を持つ四字熟語です。看板に羊の頭を掲げておきながら、狗肉つまり犬の肉を売っていることを示すもので、「看板倒れ」と似た状態を表しています。
「名は体を表す」は本当なのか?
「体」を表す「名」の事例
「名は体を表す」といわれますが、本当かどうか気になります。そこで一般によく知られている名前から、「名は体を表す」の実例を2つ紹介します。
ディープインパクト(競走馬)
ディープインパクトは英語で書くと Deep Impact、直訳すると「深い印象・衝撃」です。2005年に皐月賞・ダービー・菊花賞を無敗で達成、日本競馬史上6頭目の三冠に輝き、前人未到の通算3700勝を挙げました。
圧倒的な強さと飛ぶような走りで、その名のとおり深い印象と衝撃を与えてくれた名馬です。
通勤快足(ビジネスシューズ)
通勤快足はアサヒシューズが製造・販売しているビジネスシューズです。福岡県久留米市の自社工場で生産した製品は、高い品質が評価されています。
雨の日に履いても滑りにくく、防水性と蒸れにくさを両立しています。衝撃吸収性にも優れ、名前のとおり通勤中の足を快適に保つことができる靴です。
まとめ
「名は体を表す」について解説しました。「名は体を表す」ことになるのか「名前負け」になるのかは、名付けた人にも名付けられた人にも分かりません。しかしその名が周囲に受け入れられ、認識され続けるにつれて「名は体を表す」ようになっていくのは自然な流れです。
今でも赤ちゃんの名前をお披露目する命名式が行われているように、名前は大切なものとして扱われています。この記事が「名は体を表す」の意味を考える機会になれば幸いです。