「悪運」の意味や誤用とは?「不運」との違いや類義語と対義語も

「悪運」は運が悪いことを指していますが、逆の意味合いでも使われる言葉です。この逆の意味は褒め言葉ではないため、誤った用法もみられます。この記事では、「悪運」の意味と使い方のほか、類義語との違いや対義語も細切しています。また、悪運を断ち切るコツも紹介していますので、お役立てください。

「悪運」の意味とは?

「悪運」とは運が悪いという意味

「悪運」には不幸なめぐりあわせ、運が悪いという意味があります。「運」とは、幸・不幸を支配する人間を超越した働きを指して用いられる言葉で、単に「運」という場合には、良いめぐり合わせのことを表しています。

「悪運続き」「悪運が重なる」という言い回しは、不幸なめぐりあわせに連続して見舞われている状態を指したものです。

「悪いことをしているのに運が良い」という意味も

「悪運(あくうん)」とは、悪いことをしているにもかかわらず、報いを受けないばかりかかえって恵まれるような運のことを指して使われている言葉です。

「悪運が強い」「悪運が尽きる」という形でみられることが一般的ですが、悪いことをしているということが前提となっているため、褒め言葉にはなりません。

「悪運」の使い方と例文

「悪運」の意味合いは用法で決まる

正反対とも思える2つの意味を持つ「悪運」ですが、用法によって意味合いは限定されています。先の章で紹介したように、「悪運が強い」「悪運が尽きる」とういう場合の悪運は、悪いことをしても報いを受けない運という意味です。

一方「悪運続き」「悪運が重なる」という場合の悪運が、悪いことをしても報いを受けない運という意味で使われることはありません。

「悪運」の誤用しやすい使い方

「悪運」を「悪いことがあったのに助かった」という意味で使っている事例を見掛けますが、この用法は誤用です。

たとえば、大事故に巻き込まれたのに無傷ですんだような場合に、「悪運が強いですね」などと言ってはいけません。「悪運」には「悪いことをしているにもかかわらず」という前提があるため、運が強いという意味では使わないほうが無難でしょう。

「悪運」は気持ちの切り替えで断ち切れる

「悪運」が続き、ツキから見放されたような気分になったとき、大切なことは気持ちを切り替えることです。気持ちが沈み、「次もまたうまく行かないかも」あるいは「もう駄目かも」などと考えていると、ますます運が悪くなっていきます。

もう変えられない過去にひきずられるのではなく、好ましい未来に気持ちを向けることが、「悪運」を断ち切るコツです。

「悪運」を使った例文

  • 弱り目に祟り目、泣きっ面に蜂を絵に描いたような悪運続きで、ほとほと嫌になった。
  • 法を悪用してきた彼もとうとう悪運が尽きたようで、操作の手が伸びているらしい。
  • 阿漕な商売をしているにもかかわらず大繁盛している彼の悪運は、相当強いとみえる。

「悪運」の類義語とは?

「不運」とは運が悪いことを意味する類義語

「不運(ふうん)」は、運が悪いことを指した言葉で、「悪運」の類義語として言い換えに使うことができるものです。

「不」には否定を表す意味のほか、「よくない」「悪い」という意味もあり、「不運」と同じ用法として「不況」や「不調」などがあげられます。なお、「不運」には「悪運が強い」というときのような意味合いはありません。

「非運」とは運がないことを表す類義語

「非運(ひうん)」は、運がないことを表した言葉です。努力しているのに運が開けない、悪いことをしているわけでもないのにうまく行かないといったニュアンスで使われています。

「非」には正しくないことや誤りという意味のほかに、物事がうまく行かないという意味もあり、「非運」の「非」はこの意味で使われているものです。

「不運」と同様に「非運」にも、「悪運が強い」というような用法はありません。なお「非運」と同音異字語の「悲運」には悲しい運命という意味があり、悲しい状況がわかる言葉を伴って使われるケースがよくみられます。

「悪運」の対義語とは?

「幸運」とは運が良いことを意味する対義語

運が悪いという意味の「悪運」の対義語は、「幸運」です。運が良いことという意味で、「幸運に恵まれる」という言い回しでよく用いられています。

「恵まれる」ということからもわかるように、「幸運」は努力して勝ち得るようなものではなく、与えられるものだと理解されているようです。

「好運」は「幸運」と同じ意味

「幸運」の同音異字語で同じ意味で使われている言葉として、「好運」があります。熟語に使われている漢字の「幸」は、海の幸・山の幸というように「もたらされるもの」という意味合いを持つものです。

一方の「好」には「このましい」「のぞましい」という意味を持っています。したがって両者のニュアンスは微妙に異なってはいますが、どちらを使っても問題はありません。

「強運」とは運が強いこと

「強運(きょううん)」とは、運が強いことを指して使われる言葉です。ピンチに見舞われたときに思わぬ助けを得て盛り返すことができるような人や、ここ一番の大勝負に実力以上の成果をあげることができるような人のことを、「強運の持ち主」と呼ぶことがよくあります。

「悪運が強い」と「強運」はいずれも運を味方につけている状態ですが、悪事を伴っている「悪運が強い」とは異なり、「強運」の場合は褒め言葉として問題なく使うことができます。

「盛運」とは上げ潮に乗っていること

「盛運(せいうん)」とは、上げ潮に乗っているようにものごとが栄える方向に進んでいることや、発展の流れの中にいることを表した言葉です。

「盛運」にうまく乗ることができれば、やることなすことが当たり繁栄発展していきます。「強運」と同様に「盛運」も、褒め言葉として使えるものです。

まとめ

「悪運」の意味のほか、「不運」「強運」との違いや悪運を断ち切る方法も紹介しました。

「運」という言葉そのものには、「良いめぐり合わせ」という意味があります。そして「悪」には「悪い」という意味のほか、「正しくない」という意味があります。

「悪運が強い」という場合の「運」は本人にとっては良いものであるが、周囲から見ると好ましくないということを表しているようです。