「深紅(しんく)」は落ち着きや気高さが感じられるカラーですが、「真紅」や「赤」「朱」との違いが分からない方も多いでしょう。
この記事では「深紅とはどんな色なのか?」を解説するため、読み方や意味、名前の由来を紹介します。くわえて、「深紅」のカラーコードや補色、真紅・赤・朱との違いも紹介しましょう。
「深紅」とはどんな色?
「深紅」とは「濃い紅色」を意味する
「深紅」とは「濃い紅色」を表す言葉です。紅色は「鮮やかな赤」を指すことから、深紅は「深みのある鮮やかな赤」を表します。
「深紅」の読み方は「しんく」
「深紅」の読み方は「しんく」です。「紅」は音読みで「こう」とも読むため、「しんこう」という読み方もできます。ただし、「しんこう」という読み方を記載していない辞書もあるため、「しんく」と覚えておいたほうがよいでしょう。
また、現代は「しんく」という読みが浸透していますが、古くは「ふかきくれない」や「こきくれない」と読まれていました。
「深紅」のカラーコードは「#A22041」
「深紅」のカラーコードは「#A22041」です。カラーコードとは、指定の色を表すために使われる用語で、「#」と6桁の16進数で表されます。
深紅と似た色には、「ワインレッド(#b33e5c)」や「えんじ色(#b94047)」があります。
「深紅」の補色は「花緑青」「コバルトグリーン」
「深紅」の補色には「花緑青(はなろくしょう)」や「コバルトグリーン」など、青みがかった緑色が当てはまります。
補色とは、色相環(しきそうかん)と呼ばれる図で反対側に位置する色のことです。お互いの色味を引き立たせる効果があり、配色の参考にされます。
「深紅」の歴史・名前の由来
「深紅」は平安以降の禁色だった
「深紅」は、平安時代以降に定められた「禁色(きんじき)」に当てはまります。「禁色」とは、天皇や貴族のみが使用を許された色です。そのほかの人々は「赦色(ゆるしいろ)」と呼ばれる淡い色を使用していました。
深紅以外にも、濃い紫色の「濃紫(こきむらさき)」、鮮やかなオレンジ色の「黄丹(おうに)」が禁色に該当します。
「深紅」の由来は染め方にある
「深紅」という名前は染め方に由来します。真紅は紅花(べにばな)というキク科の植物を原料としており、鮮やかな赤色に染めるためには大量の紅花が必要になります。当時は高価な染料として取引されていたため、なかには茜(あかね)や蘇芳(すおう)などと混ぜて染めることもありました。
そこで、紅花のみで染めたものと、茜や蘇芳と混ぜて染めたものを区別するため、「正真正銘の紅色」という意味で「真紅」と名付けられます。さらに「深紅」という表現に転じ、色の1つとして浸透したのです。
「深紅」と「真紅」「赤」「朱」の違い
「深紅」と「真紅」は同じ色
「深紅」と「真紅」は同じ色を差します。「真の紅色」であることから「真紅」という単語ができ、さらに「深紅」へと転じたのです。ただ、「深紅」は「しんこう」とも読めるのに対し、「真紅」は「しんく」としか読めません。
「深紅」はいくつもの名称をもつ色で、「真紅」のほかに「唐紅(からくれない)」や「韓紅(からくれない)」とも呼ばれます。「唐」や「韓」は紅花の原産地である中国に由来しています。
「深紅」と「赤」の違いは鮮やかさ
「深紅」は「赤」より鮮やかな色です。紅花を使った特有の鮮やかな色を「深紅」と呼び、赤色より深い色味になります。
また、「赤」は「赤色系」「赤みがある」のように色の傾向も指す言葉です。「深紅」は「赤」に含まれる色
「深紅」と「朱」の違いは明るさ
「深紅」と「朱」の違いは明るさです。「深紅」は鮮やかで深い色味をもつのに対し、「朱」はやや黄色みを帯びた明るい色味をもちます。また、「朱」は縄文時代から親しまれている古い色で、鳥居や朱肉など、権力を表すときに使われます。
「深紅」の例文と英語表現
「深紅」を使った例文
- 深紅のドレスを纏った彼女のことが忘れられない
- 彼の頬は夕日に照らされ、深紅色に染まっていた
- 深紅色の宝石では、ルビーやガーネットが有名だ
「深紅」の英語表現は「crimson」
「深紅」は英語で「crimson」と表します。「深紅」や「あかね色」を意味する単語で、モノや体などが赤く染まるときに多く使われます。また、「deep red」や「rich red color」も深紅の英語表現です。
まとめ
「深紅」とは深みのある鮮やかな赤色を差します。「真紅」や「韓紅」とも表し、高価なことから平安以降には禁色に定められていました。似た色として「赤」や「朱」があげられますが、鮮やかさや明るさに少しの違いがあります。
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