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「リアリスト」とは?意味や特徴と対義語「ロマンチスト」も解説

「リアリスト」とは、現実主義者のことです。実務能力の高い人によく見られますが、同時に冷たい人と思われる傾向もあるようです。この記事では、「リアリスト」の意味や類語・対義語のほか、冷たい人と思われる原因となっている特徴についても紹介しています。

「リアリスト」の意味とは?

リアリストとは「現実主義者」という意味

「リアリスト」とは、現実主義者のことです。ものごとを現実に即して考え、処理する人を指して用いられています。

「リアリスト」の由来・語源は英語「realist」です。形容詞「現実の・実際の」や名詞「現実・実体」という意味で使われている単語「real」に、「専門家」「主義者」「人」という意味がある接尾辞「-ist」がついています。

芸術における「リアリスト」は写実主義者のこと

芸術の分野において「リアリスト」が使われる場合は、「写実主義」を表します。19世紀中頃のフランスを中心に広がったもので、従来の宗教・神話ではなく庶民の生活や日常の光景をテーマとした作品が描かれるようになりました。

このような様式をフランス語では「レアリスム」と呼び、これが後の印象派につながっていくのです。

「リアリスト」は哲学で「実在論者」「実念論者」

哲学の分野で「リアリスト」が使われる場合の意味は、実在論者もしくは実念論(観念実在論)者のことを指します。

「実在論」とは、意識や主観を超えた客観的実在があり、このような実在をとらえることで認識が成立するとするものです。たとえば唯物論での実在は物質、客観的観念論での実在は理念となります。

なお「実念論」は、中世スコラ学での実在論です。プラトンのイデア論に立脚し、イデアを実在として個物はその陰であるとしています。

「リアリズム」とは政治を力学で考えるもの

政治学の一分野である国際関係論においての「リアリズム」とは、国際関係をパワーによって分析・予測する理論です。

この場合のパワーとは軍事力に裏付けされた権力のことで、軍事力をバックに他国と交渉し自国の利益を増大させようという考え方です。

「リアリスト」とは冷たい人?

「リアリスト」の特徴は感情に流されないこと

「リアリスト」は、現実に即して物事を判断・処理するため、実務能力に優れている人が多いようです。

一般的に利害や結果を重んじ、何事にも私情を挟まず冷静に対処する傾向がみられます。また、場の空気や感情に流されたり、精神論をふりかざしたりするようなことは嫌いです。

「リアリスト」は冷たい人だと思われやすい

「リアリスト」の性格が冷たいというわけではありません。しかし、場を和ませたり相手の気持ちをほぐしたりするようなことではなく、結果に直結することにエネルギーを注ぐため、打算的にみられたり冷たい人のように思われたりするだけなのです。

ビジネスでは結果を出すことが優先されるため、「リアリスト」は貴重な存在といえますが、嫌われることのリスクという現実については「リアリスト」の関心が薄いという傾向もみられます。

「リアリスト」の類語・類義語とは?

「実利主義者」とは現実の利益を重視する人のこと

「実利主義者(じつりしゅぎしゃ)」とは、現実の利益を重視・追及する人のことです。この場合の利益とは具体的には金銭に帰結するものであり、企業経営における合理的な判断や態度のベースにもなる考え方といえます。

金銭は現実的に数字で表せるものであるため、「リアリスト」が求める結果と合致することが多くみられます。

「不可知論者」とは究極的実在は人知で測れないとする人

「不可知論者(ふかちろんしゃ)」とは、絶対者や神といった究極的実在は人知を持って測り知ることはできないと考える人のことです。無神論のように絶対者の存在を認めないとするものではなく、存在は認めるが認識はできないとしています。

つまり絶対者が存在することも、存在しないことも証明できないとする考え方であることから、「不可知論者」は現実に即してものごとを考える「リアリスト」に近いものです。

「リアリスト」の対義語・反対語とは?

「リベラリスト」とは自由・平等を重視する人のこと

「リベラリスト」は、自由主義者と訳されます。思想的には個人の権利や男女平等、言論の自由などを支持するもので、政治的には社会的公正や多様性を重視するものです。

具体的な例をあげると、アメリカ合衆国の民主党がリベラルな政党で、リベラリストに支持されています。したがって「リベラリスト」は、保守派と訳される「リアリスト」の対義語といえる言葉です。

「ロマンチスト」とは空想家のこと

「ロマンチスト」とは、現実離れした空想を好む人のことです。また、芸術方面での「ロマンチスト」は「ロマン主義者」を指します。

「ロマン主義」とは、19世紀前後にヨーロッパで勃興した芸術上の思潮で、古典主義や合理主義に対して感情や個性を尊重したものです。

なお、「ロマンチスト」の語源はロマンチックな人(romantic+ist)であるため、「ロマンチスト」ではなく「ロマンチシスト」が正解です。

まとめ

「リアリスト」は必ずしも冷たい人ではありませんが、感情より現実を重視するため誤解されることが少なくありません。

ビジネスにおいては、感情論や精神論にとらわれていると判断を誤ることになります。「リアリスト」を冷たい人だと決めつけて嫌う傾向がみられますが、「リアリスト」をうまく活用できる人が本当の「リアリスト」といえるでしょう。