「サルベージ」の意味とは？医療・IT・料理など業界別の使い方も

「サルベージ」は、沈没船の引き揚げという意味でよく知られている言葉です。しかし医療やIT業界だけでなく、ゲームや料理関係でも「サルベージ」という用語が登場しています。この記事は「サルベージ」の意味や業界別の使い方などを紹介しており、語句の持つ幅広い意味合いへの理解を深めることができるものです。

「サルベージ」の意味とは？

「サルベージ」は、英語の「salvage」の読みをカタカナ表記したものです。「salvage」の語源はラテン語の「salver（救出する）」で、名詞としての意味は（海難）救助・救出、他動詞としての意味は、「引き揚げる」「救い出す」「回収する」となっています。

もともとは沈没や転覆、座礁した船舶の引き揚げや曳航作業のことを指しており、「サルベージ船」は、サルベージを行うためのクレーン船のことです。

「サルベージ」はIT業界でも使われている用語で、海難関係と区別して「データサルベージ」とも呼ばれているものです。

破損など不具合が発生してデータを読み込めなくなったり、データを誤って削除してしまったりしたパソコンのハードディスクなどの記憶装置から、目的のデータを取り出すことを指しています。

（データ）サルベージ」は水没・故障した端末なども対象で、「salvage」の語源どおり、取り出せなくなったデータを救出するというものです。また、故障や破損ではなく、大量のデータに埋もれて探せなくなってしまったファイルなどを見つけ出すことも、「（データ）サルベージ」と呼んでいます。

ゲームでの「サルベージ」は、「取り戻す」「回収する」という意味で使われています。トレーディングカードゲーム（トレカ・TCG）などで、捨て札置き場にある自分のカードをもう一度自分の手札として回収する行為を指すものです。

「サルベージ」には、遭難した人命や積荷などを救出するという意味が転じて、「廃品の再利用」のことを指して用いられることもあります。

食材を使い切ってフードロスを減らすための「サルベージ料理」や「サルベージレシピ」のほか、車や船などを解体して鉄のリサイクルを行う「サルベージ企業」などです。

医療の世界においても、「サルベージ」という用語が用いられています。「サルベージ治療」あるいは「サルベージ療法」と呼ばれているものです。

主に造血器悪性腫瘍（血液・骨髄・リンパ節が侵されるがんの総称）で他の処置では治療の効果が見られなかった場合や、再発した場合に行う治療のことです。

通常の処置では期待する効果が得られなかったわけで、いわば「最後の一手」という意味合いで使われています。

「サルベージ手術」とは、がん治療のための放射線や薬物療法では消失しなかったり、一度は消失したものが再燃したりした場合に、完全切除を目的として行われる外科治療のことです。

放射線化学療法の後は、放射線の影響が強く残っていることから、「サルベージ手術」は合併症などのリスクが高いものです。なお、外科治療以外の治療法がない場合の手術のことも「サルベージ手術」と呼んでいます。

「サルベージ経路」とは、体内の核酸を分解して生じた塩基やヌクレオシドを再利用してヌクレオチドを合成する経路のことです。この場合の「サルベージ」は、再利用という意味で用いられています。

ヌクレオチドはDNAやRNAを構成する単位で、アミノ酸などを材料としてヌクレオチドを新しく生合成する「デノボ合成」でも作られているものです。

金融関係でも「サルベージ」は、「回収する」という意味で用いられています。詐取されて他人に渡ってしまった手形を回収することを指すのですが、これを専門とする「サルベージ屋」と呼ばれる悪徳業者もいます。

手数料を取って詐欺にあった手形を取り戻すのですが、そもそも手形詐欺と共謀しており、手数料を受け取った段階で行方をくらますという悪質なケースもあります。

「サルベージ」は、経営破綻した会社を再建することを指しても使われています。会社更生法や民事再生法などを活用して、再建を目指すものです。

資産売却や返済計画だけでなく、主力業務を立て直すことを主軸に考えながら経営改善計画を進めていきます。

「サルベージ」の意味のほか、医療・IT・料理など業界別の使い方も紹介しました。「サルベージ」はさまざまなシーンで用いられるようになっていますが、語句の基本的な意味である「回収」「救出」をしっかりと押さえておけば、理解しやすくなるでしょう。