「ビリジアン」とは「青色を帯びた緑」を意味します。絵の具の定番色ですが、なぜ緑の代わりにビリジアンが使われているのでしょうか。
この記事では、「ビリジアン」のカラーコードや由来、毒性について解説します。加えて、「ビリジアン」と「緑」「ビリジアングリーン」の違いや、和名・英語表現も紹介しましょう。
「ビリジアン」の意味とは?
「ビリジアン」の意味は「青色を帯びた緑」
「ビリジアン」の意味は「青色を帯びた緑色」です。濃い緑色にやや青みが混じっており、暗くくすんだ印象を与えます。「ビリジャン」や「ヴィリディアン」と呼ぶこともありますが、「ビリジアン」が一般的です。
「ビリジアン」のカラーコードは「#006B35」
「ビリジアン」のカラーコードは「#006B35」です。カラーコードとはWeb上で色を表す数値のことで、シャープと6桁の16進数で構成されます。ちなみに、「ビリジアン」の類似色には、「ハンターグリーン(#00633A)」や「深緑(#005942)」があります。
「ビリジアン」の補色は「ワイン色」
「ビリジアン」の補色は「ワイン色」や「ガーネット」です。どちらも暗く濃い赤紫色で、「ビリジアン」の緑を目立たせます。
「ビリジアン」は9月4日の誕生色
「ビリジアン」は9月4日の誕生色です。「好奇心」や「自発的」が色言葉に定められており、物事を客観的に見る性質があるといわれています。
ビリジアンの由来・語源と毒性とは?
「ビリジアン」の由来は「ラテン語」
「ビリジアン」の由来はラテン語にあります。ラテン語の「Viridis」には「緑の」という意味があり、音が変化して「ビリジアン」になりました。
「ビリジアン」は毒性が低い顔料
「ビリジアン」は毒性が低い顔料です。ビリジアンは19世紀に作られますが、それまでは「シューレグリーン」や「パリスグリーン」という緑が人気でした。しかし、2つの原料には人体に害のあるヒ素が使われおり、中毒症状に悩まされていたのです。
そこで、毒性が低い「ビリジアン」が誕生し、さまざまな緑に変わる色として世界各地で使われるようになりました。
「ビリジアン」と「緑」の違いとは?
「緑」との違いは「色の濃さ」
「ビリジアン」と「緑」の違いは色の濃さです。「ビリジアン」は青みを帯びた濃厚な緑であり、暗くくすんだ色味をもちます。一方で「緑」は同量の青と黄が混ざった色で、「ビリジアン」のような暗さやくすみはありません。
また、「緑」は色の系統をさす言葉でもあり、「ビリジアン」も「緑」の1つに当てはまります。
「ビリジアングリーン」との違いは「青の割合」
「ビリジアングリーン」は「緑色をおびた明るい水色」を意味します。「ビリジアン」と比較すると緑色の割合が少なく、「ビリジアングリーン」のほうが透明感のある色味です。
「ビリジアンブルー」は商品の色として使われる
「ビリジアンブルー」は商品の色として使われます。色の定義はメーカーにより異なり、「ビリジアングリーン」と同色であることもあれば、「ターコイズブルー」のような明るい水色を指すこともあります。
「ビリジアンブルー」と呼ばれる色はあるものの、定義は曖昧であることを覚えておきましょう。
「ビリジアン」はなぜ絵の具に使われるの?
「ビリジアン」を使う理由は作りにくいから
販売されている絵の具セットには、「緑」ではなく「ビリジアン」が採用されています。その理由は、「ビリジアン」という色の作りにくさにあります。
緑色は「黄色+青色」や「ビリジアン+黄緑」で作ることが可能です。しかし、ビリジアンという色は簡単には作れません。そのため、作るのが難しい色を優先してセットに収めているのです。
絵の具として1960年以前から使われている
「ビリジアン」が絵の具セットの一色として使われはじめたのは、1960年よりも前だといわれています。ほかにも、藍色や朱色などの作りにくい色がセットとして販売されています。
「ビリジアン」の和名と英語表現とは?
「ビリジアン」に適した和名はない
日本特有の呼び名である「和名」が付いていない色は複数あり、「ビリジアン」も和名のない色に当てはまります。似た色をもつ伝統色には「深碧(しんぺき)」があるものの、ビリジアンよりもさらに深い緑色をしています。
「ビリジアン」は英語で「Viridian」
「ビリジアン」の英語表現は「Viridian」です。ギネという人物が生み出したことから「ギネ・グリーン」とも呼びますが、英語では「Viridian」が主流です。
まとめ
「ビリジアン」の意味は「青色を帯びた緑色」です。作りにくい色であることから、緑の代わりとして絵の具セットの一色に選ばれています。「緑」や「ビリジアングリーン」と似た色をもつものの、濃さや青の割合が異なります。
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彼は珍しいビリジアンの瞳をもつ。
中世ヨーロッパではビリジアンが流行していた。