「英雄色を好む」の意味とは?語源や類語・正しい読み方も解説

「英雄色を好む」という言葉がありますが、本当に英雄は色を好むのでしょうか。また、歴史上ではどのように捉えられてきたのでしょうか。ここでは「英雄色を好む」の意味や使い方・類語のほか、語源となった英雄的人物や英雄と男性ホルモンのひとつであるテストステロンとの関連も紹介していきます。

「英雄色を好む」の意味と語源とは

「英雄色を好む」の意味は「好色さは英雄なら許容される」

「英雄色を好む」の意味は「英雄というものは活力がみなぎり、万事にわたって精力的に活動するため好色でもあり、たくさんの女性に手を付けたがるものだ」ということを示す言葉です。

英雄に限らず色を好む人はいますが、英雄の場合は少しばかり度が過ぎても周囲から非難されることはなく、「英雄色を好む」と許容されてしまう傾向があります。

「英雄色を好む」の語源は分かっていない

「英雄色を好む」の正確な語源や出典はわかっていません。ただし、古くからこのことわざが当てはまる人物の話が語り継がれています。「英雄色を好む」のモデルの一説として、ガイウス・ユリウス・カエサル(Gaius Iulius Caesar 紀元前100年~紀元前44年)について触れておきます。

ガイウス・ユリウス・カエサルは、共和政ローマ期の政治家・軍人で、「賽は投げられた」「ブルータス、お前もか」などの名台詞でも有名な人物です。

プルタルコスの『英雄伝』にもカエサルの名が記されており、ドイツ語のカイザーやロシア語のツァーリなどに見られるように皇帝を表す言葉の語源にもなっています。カエサルは複数の妻と愛人を持ち、クレオパトラも愛人のひとりでした。

「英雄色を好む」の読み方は「えいゆういろをこのむ」

英雄をいう熟語を構成している「英」は優れ秀でていることまたは人物のこと、「雄」は優れた人や勇ましいさま、勢いがあることを意味する漢字です。「英」と「雄」が合わさった熟語である「英雄」は、才知・武勇に優れ、偉業を成し遂げた人物のことを意味します。

英雄は集団をまとめる長となり、外敵の脅威から仲間を守り発展へ導いてくれる中心人物であるため、仲間から信頼されるとともに女性の注目を集めてしまうものです。また、権力を持っているので多少のわがままも通ってしまい、結果的に英雄はハーレムの中心人物となる傾向があるのかもしれません。

「英雄色を好む」の正しい使い方とは

「英雄色を好む」は英雄を肯定するもの

「英雄色を好む」は、英雄のありがちな性癖を容認する言葉です。言葉の内容を分析すると、冒頭で対象の人物を「英雄」と確定しています。

つまり「英雄色を好む」といわれる対象は英雄と認められていることになり、単に好色なだけの人物に対しては使いません。したがって、「英雄色を好む」は褒め言葉です。

「英雄色を好む」を自分に使うのは間違い

「色を好む」という評価には、「表立って称賛こそしていないものの、精力的な人物である」ということを表しているため、全体として肯定的なことわざといえます。

なお、英雄とは周囲の者が呼称するものであることから、自分自身の好色さに対して「英雄色を好む」という言い回しをすることは誤りです。

「英雄色を好む」の類語と英語表現とは

「英雄色を好む」の類語は「英傑色を好む」

「英雄色を好む」の類語としては、「英傑(えいけつ)色を好む」がありますが、英雄も英傑も同じ意味の言葉なので、類語というより言い換えといえます。

「英雄色を好む」に似たものとして挙げられるのは、「英雄色に迷う」「英雄酒を好む」です。英雄はエネルギーが満ち溢れているので活力があります。万事精力的にことを行う傾向が強く、常人より並外れた結果となることが多いものです。

そのために色に迷ったり酒を好んだりしたとしても、人並みはずれた能力があるため「英雄色を好む」は周囲に許容されることになります。なお「英雄人を欺く」という言葉もあり、英雄は才知にすぐれているから、常人の意表を突くような行動をするものであるということを指します。

「英雄色を好む」の英語表現の例

・All great men like women.(偉大な男は女を好む)
・Great men are susceptible to feminine charms.(偉大な男は女の魅力に弱い)
・Heroes are amorous.(英雄は多情だ)

また、マルティン・ルターの名言「Who loves not wine, women and song he is a fool his whole life.」(酒も女性も歌も好まない男は一生馬鹿げた人生を送る)も「英雄色を好む」の反語的表現と言えるでしょう。

「英雄色を好む」にまつわる雑学とは

「英雄色を好む」はテストステロンに関係?

テストステロンは男性ホルモンの一種で、筋肉や骨格の発達を促し男性的な身体の特徴を現します。

また、集団のなかで自己主張したり攻撃的な行動をとったりするように働きかけるほか、決断力や判断力およびモチベーションを高める効果もあるホルモンです。

このようにテストステロンは英雄的資質に不可欠な働きをするため、「英雄色を好む」とテストステロンとの間には、関連があるかもしれません。

「英雄色を好む」は集団の安定的維持に必要なこと

英雄もいつかは年をとりますが、このとき誰を跡継ぎにするかで紛糾すると、集団の安定が乱れることにつながります。無用な騒動を防ぐために、跡継ぎをしっかり確保しておくことは英雄の大切な務めでもありました。

徳川家康もたくさんの側室を持ち11男5女もの子供を設け、江戸260年の基礎を磐石にしたのです。つまり、「英雄色を好む」は集団の安定的な維持に必要なものとして、容認されていました。

まとめ

「英雄色を好む」ということわざは、「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」が取りざたされるようになってから許容されにくくなりました。

ことわざも時代に合わなくなると、影が薄くなります。たとえ英雄であっても身を慎まなければバッシングされ、社会的制裁を受けることにもなりかねません。英雄的資質が強い方は、行いに注意した方が身のためです。