「けったい」の意味とは?けったいな人や方言・医療用語の使い方も

「けったい」「けったいな」は奇妙で怪しげな様子のことを表した言葉です。標準語ではなく方言ですが、どこで使われているものかご存じでしょうか。この記事では、「けったい」「けったいな」の意味と語源・由来のほか、地元での使い方や類義語・対義語なども紹介しています。

「けったい」はどこの方言?意味とは?

「けったい」とは奇妙で怪しげな様子のこと

「けったい」とは、奇妙で怪しげな様子や一般的ではないもののことを指している形容動詞です。「けったいな」という形で用いられることが多く、「けったいな人」や「けったいなやつ」は、ある人物の様子がちょっと変わっていて普通ではないことを表しています。

「けったい」や「けったいな~」は関西の方言

「けったい」は大阪を中心に使われている方言ですが、兵庫や京都でも使われています。関西弁のなかでは比較的よく用いられていて、上方落語や漫才にも「けったい」や「けったいな~」という表現がよく登場しています。

若い人の間では徐々に方言が使われなくなっている傾向があり、「けったい」の使用頻度も中高年の方が高いようです。

「けったい」の語源・由来とは?

「けったい」の由来は占いの言葉

「けったい」は、占いで使う「卦木(かぼく)」の形を表した「卦体(けたい)」という言葉が促音化してできた言葉とされています。

もともとは「卦体が悪い」という言い方で縁起が悪いことを指していましたが、これが縮まって「卦体」のみで使うようになり、さらに促音の「っ」が挿入されて「けったい」というようになったものです。

「けったい」の漢字表記は「怪態」「怪体」など

「けったい」は通常ひらがなで表記されている言葉ですが、「怪態」や「怪体」などと書かれることもあります。先に紹介した「卦体」のように語源や由来に基づくものではなく、意味からの当て字でつくられたようです。

他にも、世にも稀なことという意味の「希代(きたい・きだい)」が変化して「けったい」となったという説があります。

「けったい」と「けったくそ悪い」の語源は同じ

「けったい」と同様に「卦体」が語源となった関西地方の方言には、「けったくそ悪い」という言葉があります。

「卦体が悪い」に悪態をつく語である「くそ(糞)」が入ったもので、「不愉快な」「癪に障る」という意味合いで使われています。

「けったい」の医療用語としての意味とは?

「結滞(けったい)」とは不整脈のこと

「結滞(けったい)」とは不整脈の別名で、医療用語です。心臓は通常、1分間に70回程度規則正しく拍動して、血液を送り出しています。

心臓が1分間に打つ回数のことを指す「心拍数」と、血管が1分間に拍動する回数のことを指す「脈拍数」は、健康な人の場合同じ回数となりますが、「結滞」がある人の場合では必ずしも一致しません。

「結帯動作」とは後ろ手に回す動作のこと

「結滞動作」とは、両手を背後に回す動作のことで「内転結滞」ともいいます。「結滞動作」では肩の関節が内側に回旋しますが、このとき生じる肩の痛みが四十肩や五十肩です。

筋肉の緊張から起こる肩こりとは異なり、老化に伴い肩関節の組織が炎症することが原因とされています。

「けったい」の使い方とは?

「けったい」は否定的な表現とは限らない

「けったい」は奇妙で怪しげな様子を指す言葉ですが、必ずしも否定的な意味合いで使われているわけではありません。特に関西では、ユニークさを愛し排除せずに受け入れる風潮が知られています。相手のユニークさを「けったい」と表現していることもあるため、状況に応じて解釈することがポイントです。

「けったいなやつ」「けったいな人」と使う

「けったい」を使った表現には、「けったいなやつ」「けったいな人」などがあります。「警戒したほうがよい人」という意味のほかに、「変わっていて面白い人」という意味合いでも使われるのが特徴です。

ただし、「けったくそ悪い」は否定的な意味に限定されるため、混同しないようにしましょう。

「けったい」を使った例文

  • あの会社はけったいな物ばかり作っているが、マニアからは絶賛されているようだ
  • 関西では「あんたけったいやな」といわれても、貶されたとは限らないらしい
  • こんなけったいな話は、たぶん誰ひとりとして信じてくれないと思う

「けったい」の同義語と対義語とは

「けったい」の同義語は「風変わり」「奇態」など

「風変わり」とは、状態や様子、雰囲気などが普通のものとは異なっているさまのことです。他のものと比べると少し奇妙に感じられるもので、「けったい」と似た意味合いを持っています。「奇態(奇体)」は、通常のものとは違った感じを与えることやそのさまのことです。

なお「風変わり」「奇態(奇体)」ともに、「~な」を続けた形で「けったいな」と同様の言い回しに使うことができます。

「けったい」の対義語は「標準」「普通」など

「標準」とは、平均的であることを表した言葉です。「普通」はごくありふれていることを示した言葉で、いずれも変わったところがない一般的なもののことを指して用いられます。

「標準」も「普通」も、怪しげでちょっと変わっているものやさまを指す「けったい」とは反対の意味に該当する言葉です。

まとめ

「けったい」「けったいな」は、関西地方の方言です。否定的な意味合いはありますが、完全にネガティブなものでもありません。

「けったい」には語源となった「卦体」や当て字の「怪態」や「怪体」などの漢字表記が存在していますが、通常はひらがなで書かれています。なお、読みが同じ「結滞」は医療用語で、不整脈や両手を後ろに回す動作を表したものです。