「テレワーク」と「リモートワーク」の違いとは?意味や在宅勤務も

「テレワーク」は、働き方改革の切り札として期待されているものです。場所や時間にとらわれずに働くことができるため、少子高齢化対策としても活用されています。この記事は「テレワーク」の意味のほか、「リモートワーク」や「在宅勤務」との違いについても紹介しており、語句への理解が深まる内容となっています。

「テレワーク」の意味とは?

「テレワーク」とは場所や時間にとらわれない働き方

「テレワーク」とは、場所や時間を有効に活用した働き方のことです。情報通信技術(ICT/Information and Communication Technology)を活用し、いつでもどこでも仕事ができる柔軟な働き方を指しています。

育児や介護などのためオフィスでの8時間労働が難しいという方でも、場所や時間にしばられない「テレワーク」なら仕事を辞めずにすむところが、働く人にとって大きなメリットです。また、人材不足に悩む企業にとっても、「テレワーク」の導入によって人的資産が確保できるというメリットがあります。

「テレワーク」は働き方改革の切り札

「テレワーク」とは、「tele=離れた場所で」と「work=働く」をあわせた造語です。政府が推奨している働き方改革の中核に据えられています。

少子高齢化問題を解決する「一億総活躍社会」を実現するための切り札として、誰もが働きやすい社会を構築し労働人口が増えることも期待されています。

「テレワーク」は通勤ラッシュ解消にも有効

「テレワーク」には、毎日の通勤ラッシュの解消というメリットもあります。公共交通機関の利用者は通勤時間帯に集中しますが、「テレワーク」を導入することでオフィスに出勤する必要がなくなり、ひいては通勤ラッシュの解消につながるのです。

これまでも通勤ラッシュ解消を目的とする時差出勤が推奨されてきましたが、感染症拡大防止のため緊急事態宣言により「テレワーク」の導入が急速に加速しました。

「リモートワーク」「在宅勤務」の意味とは?

テレワークとリモートワークの違いは「定義の有無」

リモートワークとは「remote=遠隔」と「work=働く」を合わせた言葉です。「テレワーク」と同様に、オフィスから離れたところで働くという意味があります。

一方「テレワーク」は、情報通信技術を活用することによる場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、と一般社団法人日本テレワーク協会によって定義されているのです。

また、テレワークの勤務形態は「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3つに定められています。「リモートワーク」にはこのような定義はなく、オフィス以外で働くこと全般を指して使われているものです。

「在宅勤務」とは自宅で行うテレワーク

「在宅勤務」は自宅を就業場所とするテレワークです。通勤時間が不要となることで、時間の有効活用が可能となっています。また、通勤による身体的負担も解消できます。

なお、自宅でできる仕事として「内職」や「在宅ワーク」があります。「内職」は被雇用者であることや自宅で働くことにおいて「在宅勤務」と共通していますが、単純作業が主である点で異なっているものです。

「在宅ワーク」は自宅で働くという点で「在宅勤務」と同じですが、個人事業主が企業と契約して仕事を請け負うという点が異なります。

「モバイルワーク」とは移動中に行うテレワーク

「モバイルワーク」は、電車や新幹線のほか飛行機の中など、交通機関内で行うテレワークです。また、移動中に立ち寄る飲食店や出張先などで行うものも「モバイルワーク」と呼ばれています。

Wi-Fi環境やノートPC・タブレット・スマートフォンなどモバイル端末の発達により、場所に制限されることなく業務を行うことができるようになりました。外出や出張が多い営業職の方などに、「モバイルワーク」は適したテレワークといえるでしょう。

「サテライト勤務」の意味とは?

サテライト勤務とは「本拠地外でのテレワーク」

「サテライト勤務」は、企業や団体のメインとなるオフィスから離れた小規模な場所で行うテレワークです。「サテライト」のもともとの意味は人工衛星ですが、メインから離れて付属する小規模なものという意味合いで使われています。

「サテライト勤務」では、会社が用意したサテライトオフィスのほか、共用のシェアオフィス、コワーキングスペースなどが使われるケースが多いようです。

従来、シェアオフィスやコワーキングスペースはフリーランスが利用するケースが主でしたが、サテライトオフィスとして活用する場合は企業が契約して社員が利用します。

「サテライトオフィス」は支店ではない

サテライトオフィスは、従来からある支店とは別のものです。支店は本店に準じる営業拠点であり、テレワーク以外の業務も行っています。

また、サテライトオフィスにおいては社員が所属するのではなく一時的に利用するもので、支店のように法務局で商業登記を行う必要もありません。

「サテライト企業」は余剰人員の受け皿となる会社

「サテライトオフィス」と似た名称のものとして、「サテライト企業」があります。余剰人員を放出する受け皿として企業が作った会社を指すもので、多くの場合、「サテライト企業」に移動させられるのは中高年の社員です。

「テレワーク」や「リモートワーク」のデメリットとは?

セキュリティ対策や勤怠管理が難しい

「テレワーク」や「リモートワーク」では、セキュリティ対策に細心の注意を払う必要があります。社外にデータを持ち出すことや公共のWi-Fiなどの利用によって、顧客情報や社外秘資料などの流出・改ざんのリスクが高まるためです。

また、「テレワーク」や「リモートワーク」の問題点として、勤怠管理の難しさも挙げられます。適正な賃金の支払いや過剰労働の早期発見・防止のため、企業には勤怠管理をすることが労働基準法によって定められいるため、労働時間の把握は必須となっていますが、すき間時間やコマ切れ時間は正確に計測できないため、労働時間の把握は困難です。

コミュニケーションの減少も懸念材料

「テレワーク」や「リモートワーク」では、対面でのコミュニケーションを確保しづらいというデメリットもあります。

意思の疎通ができていないと、円滑な業務推進が妨げられるだけでなく、社員の精神衛生上における悪影響も懸念されます。

デメリットは接触機会を増やすことで解消する

「テレワーク」や「リモートワーク」のデメリットは、間接的であってもできるだけ接触の機会を増やすことで解消できます。

たとえば、報告をメールではなくチャットや電話で行ったり、Web会議システムを常時接続してお互いの様子をいつでも見られるようにすることが有効です。また、タスク共有ツールを活用すれば、チーム内の業務の進捗が把握しやすくなります。

まとめ

「テレワーク」の意味のほか、在宅勤務や「リモートワーク」との違いについても紹介しました。「テレワーク」には勤怠管理やコミュニケーションの上でデメリットがありましたが、さまざまなオンラインツールやシステムの開発により解消されつつあります。

通勤時間の短縮や柔軟な働き方が可能な「テレワーク」を活用することで、さらに働きやすい社会になっていくのではないでしょうか。