「事物」の意味とは?「物事」「事象」との違いや使い方も紹介

「事物」とは事柄や物のことを指した言葉ですが、日常生活ではあまり見かけることはありません、一方熟語の文字を入れ替えた「物事」はよく使われていますが、意味合いには少し違いがあるのです。この記事では「事物」の意味と「物事」や「事象」などの類語との違いのほか、使い方なども紹介しています。

「事物」の意味とは?

「事物」とは事柄や物のこと

「事物」とは、さまざまな事柄や物のことを表した言葉で、読み方は「じぶつ」です。ある事柄のなかのできごとというよりは、形のある「物」にウエイトが置かれます。たとえば「衝動買いした洋服」や、「壊れたエアコン」などが「事物」に該当するものです。

法律用語の「事物」は事件とその目的物のこと

法律用語としての「事物」には、訴訟にかかわる事件とその目的物をいう意味があります。同じく法律用語の「事物管轄」とは、第一審の民事訴訟事件でその管轄裁判所を地方裁判所と簡易裁判所とに分けるもののことを指したものです。

なお、所在地が異なる同種の裁判所間でどこの裁判所が審判するかを定めたものは「土地管轄」といいます。

「事物」は英語で「things」

「事物」を英語でいうと「things」で、有形の物という意味の「thing」の複数形です。英語でも「matter(物事・事柄)」ではなく「things」というように、「事物」は「物」がメインの意味合いを占めています。

「事物」の使い方と例文

「事物」はできごとにはあまり使われない

「事物」は通常、できごとそのものに対しては使わない言葉です。先に紹介した「衝動買いした洋服」を「事物」ということができますが、「衝動買い」というできごとに対しては使いません。

同様に「壊れたエアコン」は「事物」に該当しますが、「壊れた」というできごとを指すものではありません。

「事物」は日常では使われない

「事物」はもっぱら法律用語や学術用語として使われており、日常ではほとんど使われていません。とくに会話で使われることはまれで、一度聞いただけですんなりと意味が理解されることはなさそうです。

つまり「事物」はかなり硬い言葉で、通常は専門的な分野において用いられているものといえます。

「事物」を使った例文

  • これらはすべて、今回の研究対象として選ばれた事物です。
  • 二つの事物の関係性については、調査結果を待たなければ何とも言えない。
  • 具象的でない事物こそが、学問の対象としてより相応しく思われる。

「事物」と「物事」との違いとは?

「物事」とはさまざまな物と事柄のこと

「物事(ものごと)」とは、さまざまな物や事柄のことです。物とできごとの総称として用いられますが、「事物」とは反対に、ある事柄のなかの物ではなくできごとのほうに重点が置かれています。

前出の「衝動買いした洋服」や「壊れたエアコン」を例にあげると、「衝動買い」や「壊れた」のような現象に該当するものに対して、「物事」が使われる傾向が多くみられます。

「物事」は「事物」より広範囲に使われる

「事物」が日常では使われることが少ない硬い言葉であることに対し、「物事」は話し言葉としてもよく使われている平易な言葉です。

また、「物事」は「事物」を包含する意味合いを持っていることから、より幅広い意味合いで使うことができます。なお、「物事」には法律用語としての「事物」のような意味はありません。

「物事」を使った例文

  • 彼には物事を軽く考える癖があるため、重要な仕事を任せることはできない。
  • 物事には順序というものがあり、それを無視すると大概はうまくいかない。

「事物」の類語と意味の違い

「事象」とはさまざまな物事や現象のこと

「事象(じしょう)」とはさまざまな物事や現象のことで、「物事」に近い意味を持っている言葉です。

また「事象」は数学での確率分の用語として、試行によって起こり得る結果のなかである条件に当てはまるもののことを指して使われています。

「事項」は物事のなかの個々の事柄

「事項(じこう)」とは、ある物事のなかに含まれる個々の事柄の箇条を指して使われている言葉です。

「事項」という言葉が単独で使われることは少なく、「連絡事項」や「特記事項」というように他の言葉とともに使われることが一般的です。

「事事物物」とはあらゆる物事のこと

「事事物物(じじぶつぶつ・じじもつもつ)」とはあらゆる物事という意味で、「事々物々」と書くこともある四字熟語です。

二字熟語の漢字を重ねた四字熟語には意味を強調するものが多く、「子子孫孫・子々孫々」や「平平凡凡・平々凡々」などが同じパターンとしてあげられます。

まとめ

「事物」の意味のほか「物事」や「事象」との違い、使い方などを紹介しました。「事物」と「物事」は似た意味合いを持っていますが「事物」は物、「物事」はできごとにウエイトが置かれたものです。

また「事物」は日常生活ではあまり使われないため、具体的な名称や他の類語など分かりやすい言葉で言い換えることをおすすめします。