「綴る」の意味とは?「書く」「書き綴る」との違いや言い換えも

「綴る」には、バラバラのものをまとめるという意味合いがあり、ここからほころびを縫い合わせることや、文章を作成することを意味するようになったものです。この記事は「綴る」の意味のほか、「書く」や「書き綴る」との違い、言い換えに使える類語などを紹介しており、語句への理解が深まる内容となっています。

「綴る」の意味とは?

「綴る」とはバラバラのものをまとめること

「綴る」の読み方は、「つづる」です。大づかみな意味は、バラバラのものを集めてつなぎ合わせ、ひとつにまとめることを表しています。

「綴」は、より糸と糸をつなぎ合わせた象形から構成された会意形声文字です。布と布を縫い合わせたり、破れた部分をつくろったりする様子を示しており、ここから後述する複数の意味が展開しています。

なお、「綴る」には「つづくる」という読み方もあるので注意が必要です。この場合、「つづる」と読むときのように複数の意味はなく、衣類のほころびをつくろうという意味だけになります。

「綴る」とはつなぎ合わせること

「綴る」はつなぎ合わせることや、とじ合わせることを指した言葉です。衣服の裾や袖などのほころびをつなぎ合わせたり、書類を集めてとじ合わせたりするときに使います。

「補綴(ほてい)」は破れなどをつくろうことを表した熟語ですが、歯科治療で詰め物や入れ歯を入れる場合には「補綴(ほてつ)」と読みます。

「綴る」には詩文を作るという意味も

「綴る」には詩歌や文章を作成するという意味もあります。言葉や短文をつなぎ合わせて、文章にしていくという意味合いです。

「綴文(ていぶん・てつぶん)」は「作文」と同じ意味ですが、「綴」が常用漢字外であることもあって、あまり一般的ではありません。

なお、仮名文字やアルファベットなどで単語を書き表すことも「綴る」といいます。また「綴る」には、ものごとや行為を途切れなく続けることを比喩的に表す用法もあります。

「綴る」と「書く」の違いとは?

「書く」とは文字や符号などを記すこと

「書く」には、筆やペンなどの筆記用具を使って、用紙や板などに文字や記号などを記すという意味があります。書類に必要事項を「書く」ことは、日常的によくみられる光景です。

なお、文字や記号ではなく、絵や模様をかく場合には、通常「描く(かく・えがく)」を用いて区別しています。また「書く」には、日記や著作など文章を作るという意味もあります。

「書く」は「綴る」より意味が狭い

「書く」は「綴る」と同様に、文字を記したり詩文を作ったりすることを表しています。しかし、ほころびをつくろったり、書類をとじ合わせたりするというような意味はありません。

「書」という文字は、手に筆記用具を持った象形と台に柴を積んで火を焚くという象形があわさった会意象形文字で、ものごとを集めるという意味合いがあります。

しかし、「書」では用法が文字や文章に特化されていることから、「書く」が「綴る」より狭い意味で用いられているのです。

「書き綴る」は思いに任せて文章を書くこと

「書き綴る(かきつづる)」は、心に浮かんだ言葉を連ねて文章を書くことを表しています。「思いの丈を手紙に書き綴る」や「今の気持ちをそのまま書き綴る」のように、感情や気持ちに任せて書くといった意味合いで使われる言葉です。

一方、論文やレポートのような論理的・客観的な色合いが強い文章を作成するときには、「書き綴る」や「綴る」ではなく「書く」を使います。

「綴る」の類語・言い換え

「繕う」はつなぎ合わせるという意味の類語

「繕う(つくろう)」には、破れたところや壊れたものを補修するという意味があり、「綴る」のつなぎ合わせるという意味での類語や言い換えに使うことができる言葉です。

「繕う」には他に、体裁を整えることやその場をとりなすという意味もありますが、このような意味は「綴る」にありません。

「認める」は文章を書くという意味の類語

「認める(したためる)」は文章を書き記すという意味を持っており、「綴る」の言い換えに使うことができる言葉です。

「認める」は他に、食事をすることや処理すること、支度をすることなど複数の意味を持っていますが、これらの意味は「綴る」にありません。

なお、「したためる」は表外読み(常用漢字表に載っていない読み方)です。そのため「みとめる」と読むことが一般的で、意味も読み方によって変わります。「みとめる」と読む場合には、存在を知覚することや受け入れることとなり、文章を書くという意味合いはないので注意が必要です。

まとめ

「綴る」の意味のほか、「書く」「書き綴る」との違いや言い換えに使える類語も紹介しました。「綴る」はほころびを縫い合わせることや、文章を作成することを表した言葉です。

「つづる」のほかに「つづくる」とも読みますが、読み方で意味が異なっています。また、「書く」や「書き綴る」とは微妙に意味合いが違うので、注意が必要でしょう。