「暗転」の意味と使い方とは?「暗点」との違いや類語・対義語も

「暗転」は舞台で照明を落として場面転換することや、事態が急に悪くなることを指して用いられている言葉です。この記事では「暗転」の意味や例文だけでなく、類語や対義語などを紹介しています。同音異字語の「暗点」や、誤用が多い「明転」についても解説していますので、語句への理解を深めるための参考にしてください。

「暗転」の意味とは?

「暗転」とは舞台を暗くして場面を変えること

「暗転(あんてん)」とは、演劇で一時的に舞台を暗くして、その間に場面を転換する演出の手法のことを指した言葉です。

「暗転」は緞帳の後ろにある黒い幕(暗転幕)を下ろし、場面転換中に舞台装置や役者の移動を観客から見えないようして行うことが一般的ですが、暗転幕がない会場では、照明を落としただけの状態で行われます。

「暗転」とはゲームで画面が一瞬止まる状態のこと

「暗転」とは、ゲームで超必殺技が繰り出された際に一瞬画面が止まる状態や演出のことです。

このとき、両プレイヤーは操作ができなくなりますが、キャラクターのアップや象徴的なシーンのあと、画面が真っ暗になることから「暗転」と呼ばれています。

「暗転」は事態や状況が急に悪くなること

「暗転」は、事態や状況などが急激に悪い方向へ変化することを指しても用いられています。「転」は、車と糸巻きに糸を巻き付ける象形があわさった会意形成文字で、「まわす」「めぐる」という意味を持つ漢字です。

つまり「暗転」は、ものごとが暗い方向へ転がっていく様を表したもので、推理小説などでもよく登場しています。

舞台用語の「暗転」は英語の「dark change」が由来

舞台の照明を落として場面転換させる意味での「暗転」は、英語の「dark change」を日本語に翻訳した言葉です。

「暗転」は西洋の近代演劇である「新劇」の演出技法として明治後期に導入されたもので、新劇の広まりと共に一般化していきました。

「暗転」の使い方と例文

「暗転」には「暗転する」という用法も

「暗転」は、動詞「する」をともなった「暗転する」という用法(サ行変格活用)があります。このような名詞をサ変名詞と呼び、「勉強する」「納得する」などもこの仲間です。

以下の例文でもあげていますが、「暗転する」は名詞の「暗転」と同じようによく使われています。

舞台用語としての「暗転」の例文

  • 暗転は観客の集中力を途切れさせるので、彼はあまり使いたくないようだ。
  • 舞台が暗転したあと、そこにはめくるめく別次元の世界が展開していた。

状況が悪くなる意味での「暗転」の例文

  • ウォール街大暴落をきっかけに、多くの人々の人生は暗転することになった。
  • ダイバーシティの広まりとは裏腹に、対立と分断による社会の暗転が多発している。

「暗転」と「暗点」との違いとは?

「暗点」は目の病気

「暗点」は視野の異常としてあげられるもののひとつで、視野の中に見えない部分がある状態を指します。

「閃輝暗点(せんきあんてん)」は、視野のなかに突然現れた稲妻のような光の波が徐々に広がり、その部分が見えなくなるという症状です。症状は20分ほどで解消されますが、その後片頭痛を生じることがよくあります。

「暗点」はよく見えない箇所という意味合い

「暗点」の「暗」には、「暗い」のほか「よく見えない」という意味があります。特定の場所のことを表す「点」をともなって、良く見えない特定の箇所のことを指した熟語です。

「暗転」は暗い状態に変わるということを指しており、読みは同じですが「暗点」とは意味が大きく異なっています。

「暗転」の類語・同義語

「ブラックアウト」は「暗転」と同義

「ブラックアウト」は舞台用語の「暗転」と同じ意味を持つ言葉です。しかし「ブラックアウト」や、「暗転」の由来・語源となった英語の「dark change」などは現場であまり使われていません。

「舞台を暗くして場面転換する」ことから連想しやすいためか、「暗転」という語句がもっぱら使用されているようです。

「急変」は急激に変化すること

「急変(きゅうへん)」とは、短期間に状況や状態が大きく変化することを指した言葉です。

「急変」は通常、悪い方に変化したときに使い、「天気が急変した」は、今まで晴天だったのに急に雹が降り始めたような状態を表します。同様に「症状が急変した」は、いきなり発作が起きたようなときに使うものです。

「暗転」の対義語

「明転」は明るい中で場面転換をすること

「明転(めいてん)」は、観客から見えるような明るい状態で場面転換をすることです。転換の様子そのものを見せることで、舞台ならではの味わいや楽しみを提供するために行われます。

なお、「暗転」が完了して照明を点けることを「明転」と呼んでいるケースがありますが、これは誤りです。

「好転」はものごとが良い方へ変わること

「好転(こうてん)」は、事態や状況などが好ましい方向へ転換することを指した言葉で、ものごとが悪くなるという意味の「暗転」の対義語にあたります。

しかし、「暗転」が急転直下という意味合いを含んでいることに対し、「好転」には急速によくなるというニュアンスはありません。

まとめ

「暗転」の意味と使い方のほか、「暗点」との違いや類語・対義語も紹介しました。舞台用語ではない「暗転」は、日常生活でも比較的よく見聞きされるものです。

事態が良くなる意味での対義語は「明転」ではなく「好転」ですが、急速によくなるという意味合いはありません。やはりV字回復は、そう簡単ではないということのようです。