「白露」の意味とは?時期や読み方、過ごし方と旬を迎える食べ物も紹介

「白露」とは季節を表す言葉で、俳句の季語としても用いられていますが、具体的には一体いつ頃をさすのでしょうか。この記事では「白露」の意味や読み方、具体的な時期について解説します。また「白露」の時期に行われる行事や風習、旬を迎える食べ物や見ごろを迎える植物などについても詳しく紹介します。

「白露」とはいつ?

「白露」は二十四節気の15番目

「白露」とは季節を表す「二十四節気(にじゅうしせっき)」の一つで、「白露」と書いて「はくろ」と読みます。

二十四節気とは古代の中国で考案されたもので、1年を四季(春夏秋冬)に分け、さらにそれぞれを6等分したものです。それぞれの節には季節を表す言葉がつけられており、「白露」は「立秋」から始まる秋の季節に位置し、1年で15番目にあたります。

「白露」の時期は9月7日~9月22日ごろ

「白露」の時期は例年9月7日~9月22日ごろにあたり、年によって多少前後します。日にちが多少前後する理由は、二十四節気が太陽黄経(太陽が天球上を通る経路を等しく分割したもの)によって定められているためです。

「白露」は太陽黄経が165度にあたるときと定義されていますが、年によって日がずれることがあります。

「白露」の次の二十四節気は「秋分」

「白露」の次の二十四節気は「秋分(しゅうぶん)」です。「秋分」は昼と夜の長さがほぼ等しくなる時期で、この日を境に日の出が遅く、日の入りが早くなっていくため、夜の時間が長くなっていくのを感じられる時期でもあります。

「白露」の意味は?

「白露」は「草花に朝露がつき白く光り輝くように見える頃」のこと

「白露」は、「草花に朝露がつき白く光り輝くように見える頃」を意味します。

この時期になると、日中はまだ暑い日も多いものの、徐々に秋の気配を感じられるようになります。とくに朝晩は気温が下がることも多くなり、夜中に大気が冷やされることで朝には露が草花に宿ります。この様子を「白露(しらつゆ)」と表したことから、この時期をあらわす言葉になりました。

「白露」は秋の季語

「白露」は秋の季語でもあります。「白露」は朝の光で白くきらきらと輝く露の美しさを表しており、同時に秋の訪れを感じさせる言葉として短歌や俳句、時候の挨拶で用いられています。

「白露」を時候の挨拶で用いる時期は二十四節気の「白露」の期間と同じです。およそ9月7日から次の二十四節気の「秋分」の前日までの間、使うことができます。

時候の挨拶は「白露の候」が一般的ですが、「白露のみぎり」「白露の折から」といった形容でも使われます。

「白露」の期間の行事と過ごし方は?

「重陽の節句」(9月9日)

「白露」の期間にあたる9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」です。重陽の節句は平安時代に中国から伝わったもので、子孫繫栄や家族の健康を願うことが起源とされています。

「重陽」とは「陽が重なる」という意味です。中国では奇数が縁起のよい「陽の数」だとされています。中でも奇数の中で一番大きい「9」は大変めでたく、9月9日は大変幸運な日。このことから9月9日を「重陽の節句」と呼ぶようになりました。

重陽の節句のころは菊の花が美しく咲くころでもあるので、「菊の節句」とも呼ばれています。中国では菊は邪気を払い、長寿の効能があると考えられているため、菊の花の香りを移した「菊酒」を飲むと長寿になるといわれています。

「敬老の日」(9月の第3月曜日)

「白露」の期間にある祝日は「敬老の日」です。「敬老の日」は日本の国民の祝日の一つで、2002年(平成14年)までは毎年9月15日が制定されていました。しかし2001年(平成13年)からは祝日の一部を月曜日にして連休とする「ハッピーマンデー制度」が導入されたことから、2003年(平成15年)に毎年9月の第3月曜日に変更されました。

この日は祖父母や年配者へプレゼントを贈ったり食事会を開いたりと、日頃の感謝の気持ちを伝え長寿を祝うイベントが行われます。

「秋の彼岸」(秋分の日を中心とした前後3日間)

仏教行事のひとつ「彼岸(ひがん)」は、お墓参りなどを行って先祖の供養を行う期間です。彼岸は春と秋の年2回行われますが、秋の彼岸は秋分の日を中心とした前後3日間の合計7日間です。

「白露」の時期は「秋分」の前にあたるため、彼岸の前半がちょうど「白露」の時期と重なります。彼岸に入ることを「彼岸の入り」、彼岸が終わることを「彼岸明け」と呼びます。

この時期には仏壇の掃除や手入れ、お墓参りを行います。また、おはぎや彼岸団子をお供えする風習があります。

「白露」の期間に旬を迎える食べ物は?

「秋茄子(なす)」

「白露」の時期に旬を迎える食べ物は「秋茄子(なす)」です。

茄子は1年中スーパーで目にする機会が多く、夏が旬の野菜として知られていますが、6月から8月の夏に収穫されるものと9月から10月の秋に収穫されるものがあります。この9月から10月に収穫されるものを、秋茄子と呼んでいます。

夏の茄子と秋の茄子の品種に違いはありませんが、昼夜の温度差や直射日光の当たる時間といった気候による差で、味や食感が異なります。夏の茄子は皮が厚く水分が少なめなのに対し、秋の茄子は皮が柔らかく甘みや旨みが濃くなります。

「里芋(さといも)」

「里芋(さといも)」も「白露」の時期にちょうど収穫を迎えます。里芋は縄文時代の頃から人の手で栽培されるようになった野菜です。それまで山で自生していた山芋と区別するため、”里で栽培される芋=里芋”と呼ばれるようになりました。

里芋の特徴は、独特のぬめりのある食感です。ぬめりが生じるのは、ガラクタンとムチンという水溶性食物繊維が含まれているから。他のいも類よりもカロリーが低いのも特徴です。

「梨(なし)」

「梨(なし)」も「白露」の時期に旬を迎える食べ物です。梨は秋に旬を迎える果物の代表的な存在。弥生時代には食べられていたとされており、日本で栽培される果物の中でも古い歴史があります。

梨は8割が水分でできており、りんごやバナナと比較すると低カロリーです。また、体のむくみ解消に効果があるとされる「カリウム」が含まれています。

「白露」の期間に見ごろを迎える植物は?

「ススキ」

「ススキ」は秋を象徴する日本の植物です。古くから野原に自生するイネ科の植物で、高原や草原、空き地や道端でも見かけることができます。

ススキは夏から秋にかけて花穂をつけ、光に当たると銀色や金色に輝いているように見えます。群生するススキは美しく、全国各地に”ススキを楽しめる絶景スポット”があり、白露の時期から11月上旬にかけて見ごろを迎えます。

「コスモス」

「コスモス」は秋の花として有名な花で、日本では「秋桜」と呼ばれています。これは”秋に桜のように群生して咲くから”という説と”花の形が桜に似ているから”という説の2つがあり、はっきりとは分かっていません。

コスモスはちょうど「白露」の時期に見ごろを迎えます。風に揺れるように咲くのが特徴で、花の色はピンクや赤、白、黄色など様々な色合いがあります。

まとめ

「白露」は季節を表す二十四節気の一つで、例年9月7日~9月22日ごろが当てはまります。この時期になると、日中はまだ暑いことも多いものの、朝晩は気温が下がることも多くなり、徐々に秋の気配を感じられるようになります。

「白露」の期間には敬老の日や秋の彼岸、重陽の節句といった行事があります。比較的過ごしやすい気候のため、お出かけにも最適な時期といえるでしょう。