「清明」は”清く明らかなこと”という意味でも用いられる言葉ですが、特定の季節・時期をあらわす「清明」としての意味もあります。この記事では季節をあらわす「清明」がいつのことなのか、意味やその期間に行われる行事について解説します。この時期に旬を迎える食べ物についても紹介しますので、参考にしてください。
「清明」とはいつのこと?意味は?
「清明」は二十四節気の5番目の節気
「清明」は「二十四節気(にじゅうしせっき)」の1つで、第5節目にあたります。読み方は「せいめい」です。二十四節気とは1年を四季の4つに分け、さらにそれぞれを6つに等分したもので、各時期の季節をあらわす言葉がつけられています。
「清明」がある季節は春で、春の節気は「立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨」の順です。「清明」の時期はおよそ4月5日か6日にはじまり、次の二十四節気「穀雨」の前日までの約15日間が該当します。
「清明」の意味は「清浄明潔」の略
「清明」は”清く明らかなこと”という意味の言葉としても用いられますが、季節をあらわす「清明」としての意味は「草木や水が清く明らかで、風の心地よい季節」です。また、「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」を略した言葉でもあります。
「清浄明潔」という言葉は、江戸時代に書かれた「暦便覧(こよみべんらん)」という書物に
と記されています。これは”花のつぼみがふくらみ、咲きほこる季節への移ろい”を意味しており、この時期の様子を形容した言葉です。
「清明」は過ごしやすい時期
「清明」の時期は気温が少しずつ上がり暖かくなります。湿度も低いので1年の中でも過ごしやすく、お出かけにも適した季節です。お花見のシーズンにも入り、桜をはじめとした様々な草花が咲くのを楽しむことができます。
ただ、日中は暖かくても夜になると急に冷え込むこともあり、1日で温度差が激しいのもこの時期の特徴。温度差が大きいと体調を崩しやすいため、夜に屋外へ出かける際にはマフラーやストール、上着などを持っておくとよいでしょう。
「清明」の時期にはどんな行事がある?
「始業式」や「入学式」などの新生活がスタートする
「清明」の時期は、日本ではちょうど新年度が始まったばかりにあたります。この時期に始業式や入学式が行われるところが多く、新生活に向けての準備を始める人も多いでしょう。
新入生や新入社員だけでなく、クラス替えや人事異動なども行われる時期のため、多くの人が新しい環境に緊張感を覚えることになります。
仏教行事の「灌仏会(かんぶつえ)」がある
「清明」の時期にあてはまる4月8日はお釈迦様の誕生日といわれています。そのため、この日にはお釈迦様の誕生を祝う仏教行事「灌仏会(かんぶつえ)」が行われます。灌仏会は「花まつり・花祭り」ともよばれています。
灌仏会では、色とりどりの花で小さなお堂を飾りつけた「花御堂(はなみどう)」を作り、その中の仏像(お釈迦様)に小さなひしゃくで甘茶をかけます。甘茶をかける理由は、お釈迦様が誕生したときに竜が天から降りてきて香水(お香を混ぜた水)を注ぎ洗い清めた、という言い伝えから。この日に甘茶をいただくと、無病息災で過ごせるとも言われています。
中国では「清明節」がある
「清明」の時期、中国や台湾、香港では「清明節(せいめいせつ)」とよばれる行事があります。清明節には日本のお盆のように、祖先の墓参りや墓の掃除を行いお供えをします。ただ、日本のお盆と異なるのは、墓参りのあとに行う宴会の場が墓の前や周りだということ。そのため、墓のまわりは宴会用としてもともとスペースが広めに取られていることが多いそうです。
清明節は例年4月5日前後となることが多く、前後の2日間を含めた3日間が休日に定められます。
沖縄では「清明祭(シーミー)」がある
清明節は中国だけでなく日本の沖縄にもあり、「清明祭(シーミー)」とよばれています。沖縄の清明祭の期間や内容は中国で行われる清明節とほぼ同じで、先祖への感謝と供養が目的です。沖縄では年中行事のなかでも重要なものの1つとされ、道路渋滞も発生するほど。この渋滞は”清明祭渋滞”といわれています。
清明祭の日には墓の前に親族が集まり、食事をいただきます。墓の前でにぎやかに過ごすのが一般的だとされています。
「清明」の時期に旬を迎える食べ物は?
「タラの芽」
「清明」のころに旬を迎える代表的な食べ物が「タラの芽」です。タラの芽はウコギ科のタラノキ”の新芽をさし、山菜の王様”ともよばれています。
桜が咲くころがタラの芽が出るころと同じだと言われており、清明の時期には多くの料亭や料理店でタラの芽の料理が楽しめます。中でも「タラの芽の天ぷら」は人気の高い食べ方で、タラの芽が持つ独特の苦味や香りを堪能できます。
「新じゃがいも」「新玉ねぎ」
春から夏にかけて「新じゃがいも」や「新玉ねぎ」といった、「新」の名のつく野菜が出回ります。「新じゃがいも」とは日本で春から夏にかけて収穫されるじゃがいもを指し、普通のじゃがいもと比較すると小ぶりで皮が薄いのが特徴。皮をむかずに調理しても美味しくいただけます。
「新玉ねぎ」も「新じゃがいも」と同様の時期に出回る種類です。玉ねぎは通常、収穫してから日持ちをよくするために1か月ほど乾燥させますが、新玉ねぎは乾燥をせず収穫後すぐに出荷します。そのため皮が通常のものよりも薄く、みずみずしいという特徴があります。また辛みも少ないため、生のままサラダにしても食べやすいです。
「デコポン」
柑橘類の「デコポン」は、”清見(きよみ)”と”ポンカン”をかけあわせてできたもので、ヘタの部分が盛り上がっている見た目が特徴的なフルーツです。熊本県が主な産地で、他には愛媛県や和歌山県でも栽培されています。
デコポンは甘みと酸味のバランスがよく、種もほとんど入らないため食べやすいことから人気の高い柑橘類です。また、デコポンには疲労回復効果が期待できるクエン酸が多く含まれています。さらにミカンよりもビタミンCが多く含まれており、ビタミンCがもつ抗酸化作用によって風邪の予防も期待できます。
まとめ
「清明」とは「草木や水が清く明らかで、風の心地よい季節」を意味する季節の言葉です。また、「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」を略した言葉でもあります。「清明」の時期は過ごしやすくお出かけにも最適ではありますが、朝晩の寒暖の差が激しい時期でもあります。このころに旬を迎える食べ物を食して、体調管理に努めたいものです。