「夏至」はいつを指す?意味や海外の行事と、旬の食べ物も紹介

「夏至」は二十四節気のひとつで第10節目にあたり、1年のうちで日の出から日の入りまでの時間がもっとも長くなる日です。この記事では「夏至」の意味や由来と、世界各地で行われる「夏至」の行事について解説します。また、この頃に旬を迎える食べ物や見頃の花についても紹介します。

「夏至」とは

「夏至」は二十四節気の第10節目

「夏至」は二十四節気(にじゅうしせっき)の第10節目にあたります。読み方は「げし」です。二十四節気は古代中国で考案された暦のことで、太陽の黄道(通り道)の動きに基づいて1年が24分割されているものです。それぞれには時候に合った名前がつけられています。

「夏至」は太陽の通り道が一年の中でもっとも北になるため、北半球では太陽が出ている時間が長くなります。日本では一年で最も昼の時間が長くなり、本格的な夏の到来にさしかかります。

2023年の「夏至」は6月21日

二十四節気は太陽の動きに基づいて決められており、日付は固定されていません。そのため、二十四節気の日付は毎年変動します。「夏至」は例年6月21日ごろで、2023年の「夏至」は6月21日です。

また「夏至」の次に来る二十四節気「小暑(しょうしょ)」までのおよそ15日間を「夏至」ともよんでいます。「夏至」の次の二十四節気は「小暑(しょうしょ)」で、例年7月7日ごろです。一般的にはこの期間の初日にあたる6月21日ごろを「夏至」と指すことが多いです。

「夏至」の意味は?

「夏至」の意味は「夏に至る=夏の盛りへ向かっていく」

「夏至」には「夏に至る」と書き、このころから夏の盛りへと向かっていくとされています。また、「日長きに至る(きわまる)」という意味もあり、日本を含めた北半球では1年のうちで最も昼の時間(日の出から日の入りまで)が長くなります。

ただ、日本においてはこの時期は雨が長く続く「梅雨」にあたり、雨や曇りの日が多いでしょう。そのため、昼の時間の長さは実感しづらいかもしれません。

「夏至」の時期の時候の挨拶は「夏至の候」

手紙やハガキの冒頭で用いる「時候の挨拶」には季節にちなんだ言葉が使われます。「夏至」の時期にビジネスシーンで使える時候の挨拶には「夏至の候(げしのこう)」や「霖雨(りんう)の候」です。「霖雨」とは、雨がしとしとと降り続くさまを表した言葉です。

時候の挨拶の例文

・夏至の候、貴殿におかれましては益々ご健勝のことと存じ上げます。
・梅雨明けが待たれる霖雨の候、平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

「夏至」に行われるイベントは?

スウェーデンの「夏至祭(げしさい)」は重要イベント

「夏至」は北半球では1年のうちで昼の時間が最も長くなることから「太陽の力が最も強まる日」とされており、「夏至祭(げしさい)」を盛大に行う地域が世界各地に多くあります。

中でも、日頃日照時間の短いスウェーデンや北欧では、夏至の頃は太陽が一日中沈むことがない「白夜(びゃくや)」となります。夏至の頃の土曜日は毎年祝日となり夏至祭(ミッドサマー)が行われますが、スウェーデンの人々にとってはクリスマスと同じくらい大切な年間行事。お酒を飲みながら朝まで食事を楽しみ、メイポールとよばれる木の柱を囲んでダンスを踊ります。

スウェーデンでは、この夏至祭を過ぎると夏休みが始まります。

日本では二見興玉神社で「夏至祭」が行われている

日本では「夏至」は田植えのシーズンにあたることから、大きな祭りはあまり行われていません。唯一有名な祭りとしてあげられるのは、三重県伊勢市にある二見興玉(ふたみおきたま)神社で行われる「夏至祭」です。

二見輿玉神社は禊浜(みそぎはま)と呼ばれる二見浦にあり、古くから伊勢神宮へ参拝する人が身を清める場として知られてきました。夏至の前後の時期のみ、「夫婦岩」と呼ばれている2つの並んだ岩と岩の間から朝日が昇ります。この「夫婦岩」に向かって海に入り、身を清める行事が行われています。

「夏至」の頃に旬を迎える食べ物

 

「冬瓜(とうがん)」

「夏至」の頃に旬を迎える食べ物として代表的なものが「冬瓜(とうがん)」です。冬瓜は”冬の瓜”と書くため冬の野菜と思われがちですが、実は夏が旬の野菜。冷暗所で保存すれば冬までもつことから、漢字で「冬瓜」と名付けられたと言われています。

冬瓜は95%が水分で、カリウムやビタミンCを多く含みます。カリウムには余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きがあります。また、むくみの解消にも効果があるとされています。薄味でさっぱりとした食感が特徴で、暑さが増す夏至の時期に適した食材だといえるでしょう。

「水無月(みなづき)」

「水無月(みなづき)」は和菓子の名称で、白い外郎(ういろう)餅の上に小豆が乗った三角形のお菓子です。京都では毎年6月30日の「夏至」にあたる時期にこの「水無月」を食べる風習があります。また、京都ではこの日を「夏越の祓(なごしのはらい)」とよび、無病息災を祈る神事が行われています。

「水無月」の形の由来は、その昔宮中にて行われていた”氷の節句(旧暦6月1日)”で暑気払いのために配られていた「氷のかけら」を模したものとされています。

「夏至」の頃に見頃を迎える花

「紫陽花(あじさい)」

「紫陽花(あじさい)」は「夏至」の時期に咲く代表的な花です。小さな花が集まっているように見える形は非常に可愛らしく、老若男女問わず人気があります。「夏至」はちょうど雨が長く降る梅雨の時期とも重なりますが、色とりどりの紫陽花は雨続きの憂鬱な気持ちを晴れやかにしてくれます。

「夏至」の時期に見ごろを迎える紫陽花は、全国各地の寺や公園などで観覧を楽しめます。

「アヤメ」

「アヤメ」は日本や東北アジア原産の多年草で、花びらに網目模様があるのが特徴的な花です。花の色は鮮やかな紫色や白、黄色などがあり、花言葉は「よい便り」「希望」「メッセージ」などがあります。

まっすぐに立つ葉と茎の様子から、凛としたイメージを持たれる花でもあります。

まとめ

「夏至」は二十四節気の第10節目にあたり、時期は例年6月21日から7月7日頃です。一般的にはこの期間の初日にあたる6月21日頃を「夏至」とよんでおり、1年の中で昼の時間が最も長くなります。日本では「夏至」は田植えの繁忙期にあたるため大きな祭りは行われていませんが、北欧のスウェーデンでは夏至祭(ミッドサマー)が盛大に催されます。