動物のことわざ・慣用句は?有名なものから英語まで一覧で紹介

ことわざや慣用句は、教訓や知識が身近な物事に例えられていて、意味を知るとなるほど、と納得できるものばかりです。なかでも動物が出てくることわざは、イメージが湧きやすく親しみやすいものがたくさん。有名なことわざをはじめ、英語のことわざや海外の珍しいことわざまでご紹介します。

動物のことわざ・慣用句とは

動物のことわざ・慣用句一覧

  • 負け犬の遠吠え
  • 二兎を追う者は一兎をも得ず
  • 狐と狸の化かし合い
  • 窮鼠猫を噛む
  • 鴨が葱を背負ってくる
  • 馬の耳に念仏
  • wolf in sheep’s clothing
  • curiosity killed the cat
  • dog-eat-dog
  • ガレージにいるタコのようである(スペイン語のことわざ)
  • カラスが飛ぶやいなや梨が落ちる(韓国語のことわざ)
  • 私の羊たちのところへ戻ろう(フランス語のことわざ)

動物のことわざ・慣用句の特徴

動物のことわざや慣用句(二つ以上の単語が結びついて特定の意味を表す言葉)には、有名なものがたくさんあります。それぞれの動物が持つイメージと教訓や知識が結びつけられているため、一度意味を知れば納得できることわざ・慣用句が多いのが特徴です。

日本だけでなく、世界にも動物が出てくることわざや慣用句がたくさんあるのは、それだけ古くから動物と人間が関わってきた証拠ともいえるでしょう。

有名な動物のことわざ・慣用句

「負け犬の遠吠え」は臆病な人が影で悪口や負け惜しみを言うこと

「負け犬の遠吠え」は、争いに負けた人や才能・力が相手より下の人が、負けを認めない主張をしたり、影で負け惜しみや悪口を言うことを意味することわざです。

「遠吠え」とは、犬や狼などの動物が、遠くで声を長く引いて吠えることをいいます。弱い犬が強そうな犬や人間に対して遠くで尻込みしながら吠えたり、ケンカに負けた犬が、遠くまで逃げてから吠えたりする様子が「負け犬の遠吠え」の由来になっています。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」は欲張ってはいけないという戒め

「二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず」は、二羽の兎を同時に捕まえようとしても、結局は一羽も捕まえられないという意味があります。同時に二つのことをしようとしても、どちらも成功しない、つまり、欲張れば何の利益も得られなくなるという戒めのことわざです。

もともとは「If you run after two hares, you will catch neither.」という西洋のことわざです。同じような意味のことわざに「虻蜂(あぶはち)取らず」があります。

「二兎を追うものは一兎をも得ず」の意味とは?類語・反対語も解説
「虻蜂取らず」の意味と語源は?使い方の例文や似たことわざも紹介

「狐と狸の化かし合い」は悪賢い者同士が互いに騙し合うこと

「狐と狸の化かし合い」は、悪賢い曲者同士が互いに騙し合うことを意味することわざです。「狐と狸」ともいいます。

狐も狸も、昔話や物語で化けて人を騙したり、嘘を吐いたりするといわれていることが由来です。互いにずる賢い人たちが、策略を使って相手を欺こうしても、相手も同様に策略を持っているという状況を表して使います。

子供向けの動物のことわざ・慣用句

「窮鼠猫を噛む」は弱者も窮地に追い込まれれば必死に反撃すること

「窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)」は、猫を天敵とし、普通ならとても猫にはかなわないネズミでも、追い詰められれば猫にも立ち向かうことから、弱者であっても窮地に追い込まれれば必死に反撃をすることのたとえです。

出典は中国の前漢時代の書物『塩鉄論(えんてつろん)』の一節「死すれば再びは生きず、窮鼠も狸を噛む」だとされています。猫ではなく狸と書かれているのは、古代中国では狸と書いて猫を指していたためです。

「窮鼠猫を噛む」には3つの教えが込められています。1つ目は、弱者も諦めずに強者に反撃をすべきだ、ということ。2つ目は、どんなに弱い相手でも追い詰めれば逆襲される可能性があるため、むやみに追い詰めるべきではない、ということ。そして3つ目は相手がどんなに弱くても、油断をしてはいけない、ということです。

「窮鼠猫を噛む」の意味や由来とは?使い方の例文と類語との違いも

「鴨が葱を背負ってくる」は好都合であること

「鴨が葱を背負ってくる」は、鴨の肉に葱が添えられていれば、すぐに鴨鍋が食べられるということから、狙った相手が利益になるものや望み通りのものを持って来ること、つまり、上手く事が重なり、好都合であることを指すことわざです。「鴨葱」と略される場合もあります。

鴨肉は葱と相性が良く、鴨鍋には必ず葱が使われます。そんな鴨が、自ら葱を背負ってやって来れば、すぐにでも鴨鍋ができる、という都合の良い状況をたとえたことわざです。同じような意味のことわざに「棚からぼたもち」があります。

「棚からぼたもち」の意味と由来とは?例文を紹介!類語や英語も

「馬の耳に念仏」は他者からの意見に耳を貸さないこと

「馬の耳に念仏」は、他者からの意見や忠告に耳を貸さず、まったく効き目がない、ありがたみが理解できないことをたとえたことわざです。

どんなにありがたい念仏を唱えたところで、相手が馬であれば、そのありがたみは理解できません。そのことから、どんなに親身になってアドバイスをしても聞かなかったり、貴重な意見をもらってもまったく効果がない人を馬にたとえたことわざが「馬の耳に念仏」です。

馬の耳に念仏の意味とは?馬耳東風との違いや類義語も(例文つき)

英語の動物のことわざ・慣用句(イディオム)

「Wolf in sheep’s clothing(羊の皮を被った狼)」

「wolf in sheep’s clothing」は、直訳すると「羊の服を着た狼」となるイディオムです。「wolf in lamb’s skin」で「羊の皮を被った狼」ともいいます。親切そうに装っていながら、内心では悪いことを企む人物や、偽善者を指して使います。

新約聖書の「偽預言者に気をつけなさい。彼らは羊の身なりをして近づいてくるが、その内は貪欲な狼です」という一節が語源になっています。

「Curiosity killed the cat(好奇心は猫をも殺す)」

「Curiosity killed the cat」というイディオムは、直訳すると「好奇心は猫を殺した」となり、「好奇心は猫をも殺す」ということわざとして知られています。強すぎる好奇心は身を滅ぼしかねない、好奇心を持つのはほどほどにすべき、という意味があります。

イギリスには古くから「Cat has nine lives(猫には九生あり)」という表現があり、猫は簡単には死なないとされています。そんな猫ですら、好奇心を抱けば危険になる、人間なら更に危険だ、という意味で猫が使われています。

Wake not a sleeping lion.(寝た子を起こすな)」

「Wake not a sleeping lion.」は「寝ているライオンを起こすな」と訳します。これは「寝た子を起こすな」と同じ意味です。

寝ているライオンをわざわざ起こせば、襲われる可能性があります。同じように、寝ている子をわざわざ起こせば、泣いてしまうので宥めるのが大変です。「寝た子を起こすな」は、せっかく静かにおさまっていることに無用の手出しをして、問題を起こすべきでない、という意味のことわざです。

世界の動物のことわざ・慣用句

「ガレージにいるタコのような気分」はスペイン語のことわざ

「ガレージにいるタコのような気分(Encontrarse como un pulpo en un garaje)」というスペイン語のことわざは、「手も足も出ないほどに困って打ちのめされている状況」を意味します。

実際にガレージにいるタコを想像してみるとわかりやすいでしょう。タコには足が8本もあり、海の中では自在に動き回れますが、ガレージにいてはどうにもなりません。それほどまでに困り果てた状況であることを表すことわざです。

「カラスが飛ぶやいなや梨が落ちる」は韓国語のことわざ

韓国語のことわざ「カラスが飛ぶやいなや梨が落ちる(까마귀 날자 배 떨어진다)」には、「同時に二つの出来事が起こった場合、因果関係が必ずしもあるわけではない」という意味があります。たまたま同じタイミングで起こった何の関係もない二つの事柄が、まるで関係があるかのように疑われる時に使われることわざです。

カラスが飛んだことと梨が落ちたことはまったく関係がないのに、梨が落ちた瞬間にカラスが飛ぶのを見た人がカラスを悪く言った、という逸話が由来となっています。

「私の羊たちのところへ戻ろう」はフランス語のことわざ

フランス語のことわざ「私の羊たちのところへ戻ろう(Je retourne à mes moutons.)」は、「本題に戻ろう」という意味のことわざです。

本題から話題が逸れていってしまい、再び本題に戻したい時に使える表現で、15世紀のメートル・パトランの『笑劇』が由来となっています。

まとめ

動物が出てくることわざや慣用句は、日本だけでなく海外にもたくさんあります。動物のことわざや慣用句は、動物が持つイメージを想像すると言葉の意味も理解しやすくなるのが特徴です。ことわざや慣用句をたくさん知って言葉のバリエーションを増やし、会話を豊かにしましょう。