ビジネスワードでカタカタ語が増えていますが、意味が分かりづらいケースも多くあります。「アイドルタイム」もそのひとつで、直訳すれば「アイドルの時間」となりますが、ビジネスワードにふわさしい意味ではありません。ここからは「アイドルタイム」の意味と由来のほか、対義語や飲食店での使い方を解説していきます。
「アイドルタイム」とは?
「アイドルタイム」の意味は”仕事をしていない時間のこと”
「アイドルタイム」の意味は、”仕事をしていない時間のこと”です。無作業時間・遊休時間のことです。具体的に説明すると、生産施設が稼働しておらず労働力が無駄に費やされている時間のことや、休憩時間のほか手待ち時間やトラブルによる一時的な休業状態などを指します。
「アイドルタイム」は流通業界の場合だと物資の待機時間のことを表し、飲食店をはじめとする接客業では、客が来ないためやるべき仕事が何もない時間のことを表します。
「アイドルタイム」にもコストが発生
「アイドルタイム」の期間には、収益を生み出す仕事は行われていません。それでも、社屋・施設や設備・機械などに対する賃貸料や人件費などの固定費は、常に掛かっているのです。
アイドルタイムの期間に発生する経費を「アイドルコスト」と呼びますが、この「アイドルコスト」はコスト削減が叫ばれる昨今では見落とせない要因となっており、できるだけ圧縮するための方策が必要です。
アイドルタイムの由来や対義語とは?
「アイドルタイム」の由来は英語の「idle」
「アイドルタイム」で使われているアイドルは、人気のあるタレントのことではなく、「偶像」や「憧れの対象」という意味を持っている英語の「idol」から来た言葉です。
「アイドルタイム」の由来となっているのは「idle」で、自動車のエンジンなどを空回りさせて動力を伝えていない状態を指す「アイドリング」も同じ由来です。最近の自動車は、信号待ちなどの際にエンジンを自動的に止めるアイドリングストップ機能が採用されているものが増えています。
「アイドルタイム」の対義語は「ピークタイム」
「アイドルタイム」の対義語は「ピークタイム」です。「ピーク」とは山の頂上や、物事の最高潮・絶頂期という意味で、「ピークタイム」を直訳すると「最高潮の時間」となります。
具体的には、お店などが混んでいて忙しい時間帯や、工場などで機械や作業がフル稼働している時間のことを指しており、それこそ猫の手も借りたいような状態です。
アイドルタイムへの飲食店での対策とは?
飲食店で「アイドルタイム」は無くせない
「アイドルタイム」と「ピークタイム」の差を縮めることは、従業員にとっても経営者にとっても理想的な状態です。製造業ではQC活動を積極的に進めたり「カイゼン」を取り入れたりすることで、一定の平準化を実現しています。
しかし食事の時間が固定的である飲食店においては、客数の平準化など望むべくもないもので、「アイドルタイム」と「ピークタイム」は厳然として存在しています。
「ピークタイム」の仕事をすませておく
飲食店での「アイドルタイム」を無くすことはできませんが、「アイドルタイム」にこそできる仕事を行い、無為に過ごす無駄な時間を効果的に活用できるように転換することはできます。
飲食店の場合、「ピークタイム」には注文をさばくだけで手一杯になるものです。そこで、「アイドルタイム」には次の「ピークタイム」に備えて、清掃や下準備などを集中的に行うことをおすすめします。
「アイドルタイム」に「ピークタイム」の客を迎える準備をすませておけば、「ピークタイム」の仕事を減らすことができるからです。
「アイドルタイム」を販促活動に充てる
「ピークタイム」の仕事を先にすませておくことに加え、未来への種まき作業も「アイドルタイム」にしておきたい仕事です。具体的には、近隣にチラシを配布したり顧客名簿を作成したりするなどの販促活動が挙げられます。
作成した名簿から顧客を選別して、属性に合ったサービスを案内するDMを送付すれば、これまで以上にリピート率の向上が期待できます。
「アイドルタイム」にこそ新メニューを開発
また、飲食店ならではの「アイドルタイム」の活用法として、新メニューの開発があります。従業員にまかないを提供する際に新メニューの試食を行い、感想を述べ合ったりアイデアを出し合ったりしてはどうでしょうか。
本来無駄な空き時間に過ぎなかった「アイドルタイム」を、有意義な新製品の企画会議に変えることができます。
まとめ
「アイドルタイム」の意味および由来や対義語と、飲食店での「アイドルタイム」対策について解説しました。「アイドルタイム」は、業種によっては大幅に削減することが可能です。
しかし、飲食店を含む接客業ではどうしても避けきれないものがあります。無くせないなら発想の転換で、マイナスをプラスに転じてみませんか。皆で協力して知恵を出し合い、「アイドルタイム」を有効に活用する対策を探してみてはいかがでしょう。