「エポックメイキング」というカタカナ語は、斬新さを感じさせるとともに耳目をひく響きがあります。本来フランス語だった「エポック」でしたが、英語化した「エポックメイキング」ではどのような意味合いになっているのでしょうか。この記事では、「エポックメイキング」の意味や使い方の例文ほか、類語も紹介しています。
「エポックメイキング」の意味とは?
「エポックメイキング(epoch-making)」の意味は「新時代を開く」
「エポックメイキング」とは、「新時代を開く」という意味のカタカナ語です「epoch-making」というつづりの英語としても使われています。
「エポック(epoch)」の意味は「時代」
「エポック」という単語自体も英語・フランス語として存在しています。本来「時代」という意味の単語でしたが、これまでになかった革新的・画期的な時代や、新時代を開くほどの意義を持つ事柄のことを指すようになりました。
「メイキング」は本来作ることという意味で、「エポックメイキング」では新しい時代を作り上げる、革新的な事柄・事象を起こすことを指しています。
「エポックメイキング」の使い方と例文
「エポックメイキング」は新しい地平に立つこと
「エポックメイキング」には、時代を作ったといえるほどの新規さが必要です。「エポックメイキング」とされる事象やものごとが登場する前と後では、全く時代が変わってしまい、明確に線引きされるほどの違いが認められるほどであるときに用いられます。
色に例えると、グラデーションのように徐々に変化していくようなものではなく、そこだけ切り取ったようにくっきりと、完全に塗り分けられた状態を思い浮かべると理解しやすいでしょう。
誇大表現に注意したい「エポックメイキング」
「エポックメイキング」は、「エポックメイキングな発明」という形でよく用いられます。「エポックメイキング」をちょっとした改良や改善程度で用いると、誇大な表現に受け取られてしまいかねないので注意が必要です。
「エポックメイキング」を使った例文
「エポックメイキング」を使った例文を紹介します。
- 数あるエジソンの功績の中で最もエポックメイキングな発明は、白熱灯だろう。
- T型フォードは自動車産業だけでなく、人々の暮らしそのものを大きく変えたエポックメイキングな車だ。
- 活版印刷は、キリスト教を二分するほどの大改革を牽引したエポックメイキングな技術だ。
- 織田信長が長篠の戦いで見せた三段撃ちは、戦のスタイルを革新したエポックメイキングなものだった。
「エポックメイキング」の類語
「新次元を開く」は異次元レベルの変化
「エポックメイキング」の類語として、「新次元を開く」が挙げられます。次元とは、数学的には座標の数で定義される空間の広がりの程度などを表す指標であり、物理的には長さ・時間・質量の積の形で表したものです。
日常的には、物事を考えたり行ったりする時のレベルを示す概念のことに対して使われます。「新次元を開く」において用いられている次元は、日常的な用法での意味合いで用いられており、これまでになかった概念を創造することを表しています。
「革命的」は変化が急激なこと
「エポックメイキング」の時代を変えるほどの変化という意味での類語は、「革命的」です。「革」には改めるという意味があります。天命を表す「命」と合わさってできた「革命」は、もともと王朝が変わることを表した言葉です。
中国では王朝と権力が一体となっていたため、天下が完全に入れ替わり、革命における変化の急激さはとても大きなものでした。つまり「革命的」は、変化が非常に激しいことや様子を指した「エポックメイキング」の類語として使える言葉です。
「最先端」はもっとも新しいこと
これまでになかった新しさを有しているという意味で、「最先端」は「エポックメイキング」の類語といえる言葉です。
「最先端」は時代の流れの最も先を走っているさまを表していますが、あくまで現時点でのことであり、今後さらに新しいものが登場することで陳腐化することも充分考えられます。
「エポックメイキング」は後の時代からみても、画期的で革新的であり続けるほどの変革を起こしたものであり続ける存在であることを考えると、「最先端」は若干違った意味合いを持つ言葉といえます。
「アバンギャルド」は芸術の傾向性
フランス語の「アバンギャルド」は、芸術分野におけるエポックメイキングな傾向を表す言葉です。もともとは最前線に立つ少数精鋭部隊のことを指す軍隊用語でしたが、政治に転用されて、革命運動の指導部や革命政党を意味するようになりました。
その後、伝統や権威に逆らい表現形式の新境地を目指す芸術の運動や傾向を称して、「アバンギャルド」が用いられるようになったのです。
まとめ
「エポックメイキング」とはどういう意味であるのかに加え、使い方や類語も紹介しました。新しく登場したアイデアや事象などが、本当にエポックメイキングなものであるかどうかについては、その時点においてはまだ分からないはずです。
目新しいものがあっという間に陳腐化してしまう昨今の情勢を考えると、自らが発信したものに対しては、「画期的な」「最新な」というやや控えめな意識を持っておいたほうがよいかもしれません。