「ライト兄弟」とは?初飛行までの道のりやライバルとの逸話を紹介

「ライト兄弟」は世界で初めて有人飛行を成功させた人物として知られていますが、実は彼らより先に初飛行に成功したと名乗るライバルも存在します。「ライト兄弟」の初飛行に関する逸話や知られざるその職業、ライバルとの争いの果てについてなど、「ライト兄弟」の生涯について紹介します。

「ライト兄弟」とは?

「ライト兄弟」とは動力飛行機の発明者

「ライト兄弟(Wright Brothers)」とは、世界で初めて、動力飛行機を発明し、飛行に成功したパイロットの兄弟「ウィルバー・ライト(Wilbur Wright、1867年~1912年)」と「オーヴィル・ライト(Orville Wright、1871年~1948年)」の二人を指します。

彼らにはほかにも、二人の兄と一人の妹がいますが、「ライト兄弟」と呼ばれるのはウィルバーとオーヴィルの二人です。

「ライト兄弟」の職業は”自転車屋”

飛行機の開発で有名なライト兄弟ですが、その職業は自転車屋です。彼らは、自転車店の経営で飛行機の研究に必要な資金を稼ぐとともに、自転車の技術を飛行機研究にも応用したとされています。

当時、すでに飛行船が開発されていたものの、「空気よりも重い」動力飛行は研究途上にありました。その第一線で研究をしていたオットー・リリエンタールの死去を機に、ライト兄弟は飛行機開発に乗り出したと言われています。

「ライト兄弟」の飛行機発明の道のりとは?

ライト兄弟はどのようにして飛行機開発にたどり着いたのでしょう。飛行機発明までの経緯を簡単に紹介します。

ライト兄弟は数多の実験でデータ・技術を習得

ライト兄弟が飛行機開発に成功した背景には、科学的な視点からの分析と確かな技術力がありました。グライダーを用いた実験の回数も、ほかの研究者と比べものにならない程多く、そのデータが開発の大きなカギとなったようです。

同時に、度重なる実験によって、ライト兄弟自身の飛行技術が向上したことも成功理由のひとつです。グライダーの操縦方法から研究し、パイロットとして操作できるようになってから飛行機に動力を追加するという手法は、「飛行機本体の開発」に主眼を置いたほかの研究者とは一線を画すものでした。

1903年12月、ノースカロライナ州で初飛行に成功する

度重なる実験の結果、ついに1903年、ライト兄弟はノースカロライナ州で初飛行に成功します。記念すべき有人動力初飛行を成し遂げたのは、12馬力のエンジンを搭載した「ライトフライヤー号」です。

第一回目の飛行では、12秒間でおよそ37メートルの飛行に成功し、同日に計4回の飛行に成功しています。初飛行はノースカロライナ州でしたが、ライト兄弟が拠点としていたのはオハイオ州のデイトンでした。そのため、オハイオ州の誇り・英雄としてもしばしば紹介されます。

飛行成功後にはライバルとの激しい特許争いも

「空気よりも重い機械」を飛ばせることに成功したライト兄弟は、その栄誉ゆえにトラブルにも巻き込まれます。飛行機が兵器として注目を集めていたため、ライト兄弟の技術力は嫉妬や争いの種となったのです。その最大のライバルとして語られているのが「グレン・カーチス」です。

グレン・カーチスは、ライト兄弟からの特許侵害の警告書を無視し、飛行機の制作を続け、裁判となっています。これにより、カーチスは敗訴し一度は会社を倒産していますが、その後の控訴審で判決が覆り、再度会社を興しています。

さらに、カーチスはライト兄弟のパイオニアとしての地位を揺るがすために、ライト兄弟以前に開発されたラングレーの「エアロドーム」を再開発し、ラングレーこそが最初の有人飛行に成功した人物だ、と主張したこともあります。ただし、カーチスが再開発した「エアロドーム」は原型をとどめない程改良されたもので、のちにカーチスの主張は不当と認められました。

世界初飛行はライト兄弟ではないとする説も

ライト兄弟は世界ではじめて、動力飛行に成功した兄弟として知られていますが、実は、「世界初」かどうかについては「グスターヴ・ホワイトヘッドが先だった」とする説もあります。

グスターヴ・ホワイトヘッドは、コネチカット州の航空技師で、ライト兄弟より早い1901年8月に自分で開発した飛行機を飛ばすことに成功したというのです。この「世界初の有人飛行はグスターヴ・ホワイトヘッド」とする説は否定する専門家も多い一方で、完全に否定しきれない部分もあることから、今なお議論となることがあります。

近年では、2014年のコネチカット州の州議会が、「グスターヴ・ホワイトヘッドこそが世界初の有人飛行に成功した人物」とする決議案を採択しています。

まとめ

ライト兄弟は、世界ではじめて、動力飛行機の有人飛行に成功した人物です。数多の実験とその分析から、科学的にも技術的にも高度な研究を繰り返したことが、彼らの成功につながったとされています。その一方で、世界初の有人飛行はグスターヴ・ホワイトヘッドとする説もあります。ライト兄弟と併せて、グスターヴ・ホワイトヘッドも忘れてはならない人物です。