「対照的」の意味と使い方は?「対称的」との違いや類語表現も解説

「対照的」という言葉は、異なる2つのものを比べるときによく使われます。しかし、読みが同じ言葉である「対称的」や「対象的」は意味が異なるため、使い分けに注意が必要です。この記事では、「対照的」の意味や類語のほか、同音異義語の「対称的」との違いや使い方についても解説しています。

「対照的」の意味と使い方とは?

「対照的」の意味は”違いが大きいこと”

「対照的」とは、2つのものごとの違いが大きく際立っている様子のことを指す言葉です。熟語に用いられている「対」という文字には、もう一つの音読みである「ツイ」からも分かるように、「向き合う」「相手」という意味があります。

そして「照」には「参照」という熟語からもわかるように、「つき合わせる」「見比べる」という意味があります。したがって「対照」は、つき合わせた2つのものの違いがはっきりしているという意味になるのです。

なお接尾辞「的」は名詞について、そのような性質を持っていることやそのような様子であることを表す働きをしています。

「対照的」の使い方と例文

「対照的」は、2つに分けられるものを比べるときに使います。さらに両者の違いがはっきりしている場合や、対立関係にある場合などに用います。これらの点がよく分かる例文を紹介しましょう。

  • 穏健派の伯父とは対象的に叔父は強硬派で、しばしばトラブルを拡大させている。
  • 一神教のキリスト教とは対象的に、神道や仏教は多数の神々が共存共栄している。
  • 緑が滴るような庭園に緋毛氈を敷いた茶席が設けられ、対照的な色合いが目に鮮やかだ。
  • 第二次大戦後に東西に別れたドイツはベルリンの壁崩壊までの間、対照的な歴史を刻んだ。

「対照的」と「対称的」との違いとは?

「対称的」は同じ形状になっている様子

「対照的」と「対称的」は読みが同じ言葉ですが、意味は違います。「対称」の「称」という文字には「適合する」「釣り合いがとれる」という意味があるため、「対称」はふたつのものが適合していることを指す熟語となります。

英語でいうと「シンメトリー」となり、具体的な事例としては10円玉にも描かれている平等院鳳凰堂がわかりやすいでしょう。中央から二つ折りにすれば重なるように左右の形が対称的に作られているため、均整の取れた静的な美しさを醸しだしています。

「対照的」は違いがあることで「対称的」は同じこと

1字違うだけで読みが同じ三文字熟語である「対照的」と「対称的」ですが、誤用をさけるためには意味をシンプルな形で覚えておくとよいでしょう。

それぞれが比較され、両者には大きな違いが認められるときに「対照的」が用いられます。一方「対称的」が使われるときには、必ずしも別個の2つのものが持つ同一性を指すのではなく、1つのものに備わった2つの部分についても用いられるのです。

まとめると以下のようになります。

  • 対照的:2つのものに大きな違いがある
  • 対称的:2つのものに同じところがある、もしくは1つのものに同じところがある

(付録)「対象」とはターゲットのこと

「対象」も「たいしょう」と読みますが、意味は意識や行為のターゲットとなるもののことで、「批判の対象」や「対象年齢」というように使います。

「対照」や「対称」と異なり、「対象」の相手となるものは一つでも複数でも構いません。加えて「対象」は本来、「対象的」という使い方はしません。

しかし新しい用法として「~のような」という意味を加えたり、表現をあいまいにぼやかしたりしたい場合に、「対象的」という言葉が登場するようになりました。

「対照的」の類語とは?

「正反対」は全く逆なこと

「対照的」の類語として、「正反対」が挙げられます。あるものごとと逆の関係にあることを指す「反対」にまさしくという意味の「正」がつくことで、意味が強調されています。

たとえば、まったく性格が異なる兄弟を比べて「彼らの性格は対照的である」をいう場合、「彼らの性格は正反対である」と言い換えることができるため、「正反対」は「対照的」の同義語として用いることができるのです。

「対比的」は比べることで違いを際立たせること

「対比的」とは、二つのものを比べることではっきりと違いが分かる様子のことを指しており、「対照的な性格」を「対比的な性格」と言い替えても通じます。

「対照的」は、ふたつのものごとの違いが大きく際立っているところに重点がおかれていますが、「対比的」ではその違いを比べるところに重きが置かれています。

まとめ

「対照的」の意味・類語のほか、「対称的」との違いや使い方などについて解説しました。「対照的」という言葉は2つの同音異義語を持っていますが、使用される頻度は「対照的」が最も高く、口語表現である「対象的」は一般的にあまり使われることはありません。

手書きで間違えることは少ないと考えられますが、パソコンの変換では油断できないため、チェックを怠らないようにしたいものです。