シャンパンといえば、結婚式やクリスマスをイメージさせるお酒です。ところでシャンパンとよく似たお酒にスパークリングワインがありますが、値段はかなり違います。この記事では、シャンパンとスパークリングワインの違いを製法や値段も含めて解説し、シャンパン代わりにおすすめのスパークリングワインも紹介しています。
「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いとは?
「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いは”産地・ぶどうの品種・製法”
「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いは、“産地やぶどうの品種・製法”にあります。
「スパークリングワイン」は“発泡性ワイン全般のことを指した名称”です。一方「シャンパン」は、“産地・ぶどうの品種・製法が限定されているスパークリングワインのなかの一種”です。
泡は二酸化炭素によるものですが、含まれる二酸化炭素の量によって「弱発泡性ワイン」と、一般的に発泡性ワインと呼ばれている「強発泡性ワイン」とに分けられます。
「弱発泡性ワイン」として有名なものとしては、ペティヤン(フランス)・パールヴァイン(ドイツ)・フリザンテ(イタリア)などが知られており、一般的な発泡性ワインの25-50%ぐらいの二酸化炭素が含まれているのです。
「強発泡性ワイン」には、シャンパンをはじめ、クレマン(フランス)・スプマンテ(イタリア)・ゼクト(ドイツ)・カヴァ(スペイン)などがあります。
「シャンパン」と銘打つために満たすべき条件
「シャンパン」は発泡性ワインの一種ですが、「シャンパン」と銘打つためには満たすべき条件が3つあります。
- フランスのシャンパーニュ地方で造られていること
- シャンパーニュ地方の指定地区で栽培されたピノ・ノワール種、ピノ・ムニエ種、シャルドネ種のみを使用
- シャンパーニュ方式で造られていること
また、アルコール度数が11%以上であることも必要です。これらすべての条件を満たしたスパークリングワインのなかで、品質検査をパスした製品だけがシャンパンを名乗ることが許され、「Champagne」のラベルが貼られます。
「シャンパン」の値段は他の「スパークリングワイン」よりもお高め
産地・ぶどうの品種・製法が限定されているシャンパンは、1,000円程度から販売されている一般的なスパークリングワインより値段が高く、リーズナブルなものでも5,000円ほどします。
バブル期に人気の高かった「ドン・ペリニヨン(通称ドンペリ)」は高級シャンパンとして知られていますが、世界最高級のシャンパン「グー・ド・ディアモン」は、約2億3千万円もします。
ちなみに「ドン・ペリニヨン」の最高級品は「ホワイトゴールド・ジェロアボム」で、お値段は約444万円です。
「シャンパン」と「スパークリングワイン」は味の違いに大差なし
「シャンパン」と「スパークリングワイン」の値段はかなり違いますが、味の違いに関しては一般の人にわかるほどの大差はありません。スパークリングワインのなかには、シャンパンの条件をほぼ満たしているものや、シャンパンに負けないほど丁寧に造られたものもあり、スパークリングワインだからシャンパンより美味しくないとは限らないのです。
なお味の違いについては、シャンパンとスパークリングワインの違いより、甘口と辛口の違いのほうががはっきりと感じられます。辛口がお好きな方は、ラベルに「BRUT(ブリュット)」あるいは「EXTRA BRUT」と書かれているものを選ぶと確実です。
「シャンパン」と「スパークリングワイン」の製法とは?
シャンパンを含むスパークリングワインの製法としては、以下のような3種類あります。
製法①シャンパーニュ方式
シャンパンやカヴァなどが代表的で、瓶に詰めた通常の非発泡性ワインに糖分と酵母を加えて密栓し瓶内で二次発酵させたものです。
瓶内でゆっくりと発酵・熟成させることによりきめの細かい泡ができあがりますが、ガス圧力は高く5気圧以上にもなるので、開け方に注意しないとあたり一面にシャンパンが吹き出します。
製法②シャルマ方式
二次発酵を密閉した耐圧タンク内で行う製法で、スプマンテやゼクトの多くはこの方法で造られています。フレッシュでフルーティーな味わいが魅力的で、ガス圧力はシャンパーニュ方式より低めの3~4.5気圧程度です。
製法③二酸化炭素吹き込み方式
二次発酵を行わず、通常のワインに二酸化炭素を吹き込んでスパークリングワインを作る方法です。泡はやや粗めですが、スッキリした味わいとお手頃な価格のスパークリングワインで、ガス圧は3気圧前後と低めになります。
「シャンパン」代わりにおすすめの「スパークリングワイン」とは?
クレマンはフランスのスパークリングワイン
クレマンはフランスのシャンパーニュ以外の地域で造られるスパークリングワインです。シャンパンと同様のシャンパーニュ方式で製造されるだけでなく、製法や規定が厳しく制限されています。
アルザス地方で造られる「クレマン・ダルザス」や、ドライな味わいが特徴の「クレマン・ド・ジュラ」などが有名で、シャンパンの半額程度で入手できます。
コスパ抜群のカヴァはスペイン産
カヴァはスペインのカタルーニャ地方で造られるスパークリングワインで、名前の由来はワインを熟成させる洞窟(Cave)です。シャンパンと同じくシャンパーニュ方式で造られていますが、カヴァは1,000円代の値段で入手できます。
フルーティーな味わいと華やかなピンク色が特徴の「ロジャー・グラート カヴァ ロゼ ブリュット」や、シャンパンより長い18ヶ月の熟成による泡立ちの良さとまろやかな味わいが魅力的な「ヴァルフォルモッサ カヴァ ムッサ ブリュット」がおすすめです。
(豆知識)なぜ「シャンパン」は結婚式で欠かせないの?
縁起物のシャンパンは結婚式向き
シャンパンが乾杯のときによく用いられることには、理由があります。それはシャンパンが縁起物だからです。
シャンパンをグラスに注ぐと泡が絶えず立ち上がりますが、途絶えることにない泡の様子から「絶えない幸せ」という意味づけがされたといわれます。さらに泡がはじけるパチパチと言う音が祝福の拍手のように聞こえるということで、シャンパンは縁起が良い飲み物とされているのです。
加えて瓶を開けるときの「ポン!」という音や、金色に輝く見た目の美しさも宴席に華やかさを添えてくれます。
シャンパンタワーは感謝のイベント
結婚式のイベントでよく見られるシャンパンタワーですが、これは見栄えだけのものではありません。人生の歩みを刻むことを表す積み上げたグラスに、新郎新婦が幸福な二人の門出への祈りと感謝を込めてシャンパンを注ぐという深い意味があるのです。
まとめ
シャンパンとスパークリングワインの違いについて、製法や値段を含めて紹介しました。シャンパンやスパークリングワインは軽い口当たりですが、アルコール度数は通常のワインとさほど変わりません。
うっかり飲みすぎてしまっては、せっかくの宴席が台無しになってしまいます。大人のたしなみとして、飲みすぎには注意したいものです。