「フロー」という言葉は、経済用語としてよく見聞きします。またビジネスシーンでも、「フロー」はひんぱんに登場するなど身近な言葉です。この記事では「フロー」の意味のほか、「ストック」との関係や経済以外の用法についても紹介していますので、用語の理解を深めるために活用していただけます。
「フロー」とは?
「フロー」の意味は”流れのこと”
「フロー」の意味は、“流れ”のことです。ものなどの流れを表した言葉で、そのものがどこに流れるのが、どのように変化していくのかということを示しています。
「フロー」を使った言葉としては経済用語の”キャッシュフロー”がよく知られており、実際のお金の動きを指したものです。
たとえば50万円の材料をクレジット払いで購入して100万円で掛け売りした場合、50万円の黒字となります。しかし実際にお金は流れていないため、キャッシュフローに動きはみられないのです。
「フロー」は英語で”flow”
「フロー」は、英語の“flow”の読みをカタカナ表記したものです。「flow」は動詞だと”なめらかに流れる・流れるように動く・湧き出る”という意味になり、いずれも水が流れるようなイメージの言葉です。
名詞の場合には「流れ・流動・供給」という意味合いで用いられ、ものや人などがスムーズに移動していくことを表しています。
企業では営業キャッシュフローが重要
企業においては、主に「営業・投資・財務」の各キャッシュフローをみることで経営状態がわかります。
営業キャッシュフローは、本業で実際にお金が稼げているのかどうかの指標となるものです。プラスになっていれば、本業が順調であることや、売掛金がきちんと回収できていることの表れとなります。
投資キャッシュフローは、設備投資などを行ったかどうかを示すものです。財務キャッシュフローがプラスだと、資金を借入・増資などで調達したということを表します。
したがって、営業キャッシュフローのプラス分を、土地・株の投資と借入金や配当の支払いに充てている会社の経営状態が最も健全です。
「フロー」と「ストック」との関係とは?
「ストック」とはある時点での蓄積量
「ストック」は英語の”Stock”をカタカナ表記したもので、ある時点で蓄積されている量のことを指した言葉です。「フロー」と対になっており、企業のストックは貸借対照表(BS)、フローは損益計算書(PL)でみることができます。
貸借対照表には現金預金や売掛金のほか有価証券、土地・建物などの資産をはじめ、支払手形や買掛金などの負債、資本金や利益剰余金などの純資産などが、ある時点における「量」として記載されているのです。
一方の損益計算書では売上高や売上原価のほか、各種利益や特別損失などが記載されており、四半期や通期など一定の期間内にお金がどれくらい動いたかを示しています。
「フロー」と「ストック」には相関性がある
「フロー」と「ストック」はお互いに相関性があり、売上(フロー)が増えれば、預金など(ストック)は増加します。
しかし、保有する株(ストック)が急落して損失が発生すれば、埋め合わせのために経常利益(フロー)が減少することになります。つまり企業の業績は、フローの問題とストックの問題の両方によって影響されるのです。
一般家庭にもある「フロー」と「ストック」
企業や国だけでなく一般の家庭の家計においても、「フロー」と「ストック」は存在します。「フロー」にあたるものが収入や支出など、「ストック」にあたるものが資産などです。
給与や所得が少なくなると、預貯金を取り崩さざるを得なくなったり、資産が充分にあれば早期にリタイアできたりするように、家計においても「フロー」と「ストック」の関連は無視できません。
「フロー」の経済以外の用法とは?
「業務フロー」とは仕事の流れのこと
「業務フロー」とは、仕事の流れやそれを図示したもののことです。最初に何をやるかに始まり、次に何をやるか、最後に何をやるかという流れを指しています。
図に表して「見える化」することで、誰もが仕事の流れを理解しやすくなるだけでなく、モレやダブリを発見しやすくなるメリットもあります。
「フローチャート」とは工程を図にしたもののこと
「フローチャート」とは、ある結果に向けて実行される工程を、ビジュアル化した図のことです。「フローチャート」にすることで、複雑な業務プロセスやシステム、アルゴリズムなどが理解しやすくなります。
使用する図形の意味や配列にルールを設け、可能な限りシンプルにかつ誰が見てもわかるように作られたものです。
「オーバーフロー」は超過すること
オーバーフローとは、「あふれる・あふれ出たもの」という意味の言葉です。IT分野でよく用いられ、計算結果が一定の範囲を超えてしまったり、データ量が多すぎて指定領域に入りきらなかったりすることを指します。
一方「アンダーフロー」とは、小数点以下の部分が長くなりすぎて正確な値を表せなくなることです。これにより数値が0に置き換えられてしまうため、正確な計算結果が得られなくなるという問題が発生します。
まとめ
「フロー」の意味のほか、「ストック」との関係や経済以外の用法について紹介しました。「フロー」を軽視していると、資金がショートしてしまうこともあります。「フロー」と「ストック」の方のバランスを取りながら健全な経済活動を行うことを心掛けたいものです。