「資質」の意味とは?類語の「素質」や「能力」との違いも解説

「資質」は、「資質が問われる」「資質に欠ける」という言い回しでビジネスや政治などにおいてよく見聞きされます。「素質」や「能力」に似た意味合いがありますが、比較的堅い場面で用いられることが多い言葉です。この記事では「資質」の意味のほか、類語の「素質」や「能力」との違いなどについても解説しています。

「資質」とは?

「資質」の意味は”生まれつきの才能”

「資質」の意味は、“生まれつき備わっている天性の才能”のことです。熟語に用いられている「資」という文字は、「資源・資本」という熟語からもわかるように、”もとで・もちまえ”という意味合いがあります。

ほかには「生まれつき」という意味もあり、天から与えられた生まれつきの賢明さやそのような人のことを指す「天資英明(てんしえいめい)」という四字熟語からも、「資」の意味が読み取れるでしょう。

もう一つの文字である「質」は、熟語の「性質・実質」からもわかるように、”たち・中身”という意味を持っています。

「資質」とは先天的で有用なもの

「資質」とは、先天的なものを指しています。つまり、後天的な努力で獲得するものではなく、もともと備わっているもののことです。また「資質」は性質全般ではなく、有用なものに限られています。

例えば物事を上手にこなせることや、職業やビジネスに適合したものであることのように、社会的に歓迎される有用な性質に限定されたものです。

「資質」の使い方事例

「資質」を使った例文をご紹介しましょう。

  • ・彼のリーダーとしての資質は隠しようがなく、誰もが一目置いている。
  • ・優秀な両親の資質を受け継いだ息子は、期待通りの活躍を続けている。
  • ・今回の失態によって、社長は経営者としての資質を問われることになった。

「資質」と「素質」との違いとは?

「素質」とは生まれつきの性質のこと

「素質」とは、生まれつきの性質のことを指した言葉です。「素」には”素地・素材”という熟語からもわかるように、「もととなるもの」という意味があり、とくに将来発揮されるであろうと思われる優れた能力のもととなるような性質や能力を指しています。

つまり「素質」は、まだ能力としてはまだ確定していないものという意味合いが強く、職業や立場について用いられる確定的な能力を指す「資質」とはニュアンスが違ったものです。

例えば「素質を伸ばす」「素質がない」のように使う

「素質を伸ばす」や「素質がない」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 芸術的な素質のある子どもには、早期教育が効果的だ。
  • どれだけ頑張っても、野球の素質がなければプロにはなれないだろう。
  • 素質を伸ばせる環境を与えてくれた両親に感謝したい。

「資質」と「能力」との違いとは?

「能力」とはものごとを成し遂げられる力のこと

「能力」とは、あるはたらきを行うことができる力や実行できる力のことを表した言葉です。「能」という文字には、”ちから・はたらき”という意味がありますが、”すぐれた”という意味合いも加わっています。

優れているという点では「資質」と同じですが、「能力」には教育や環境などによって後天的に形成された性質を指しており、生まれつき備わった能力という意味を持つ「資質」とはこの点で異なっています。

「能力」の使い方事例

「能力」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 能力があっても、発揮する場に恵まれなければ宝の持ち腐れだ。
  • 抜群の身体能力を持った彼は、スポーツ選手として大成するに違いない。
  • 行き過ぎた能力主義は、かえって全体のパフォーマンスを押し下げるようだ。

「資質」のその他の類語とは?

類語①「才能」とは生まれつきの能力

「才能」とは、ものごとを巧みに行える優れた能力のことで、生まれつき備わっているものです。「才能が開花する・才能に恵まれている」というように使われることからも、先天的な能力であることがわかるでしょう。

ビジネスなどの実利的な分野における能力を指すことが多い「資質」に対して、「才能」はどちらかというと芸術やスポーツなどの分野で使われることが多いという傾向があります。

類語②「生得」とは生まれながらに備わっているもの

「生得」という言葉は「しょうとく」あるいは「せいとく」と読み、生まれながらにして備わっているもののことです。後鳥羽上皇が西行法師を「生得の歌人」と讃えたように、天才に近い意味合いがあります。

一方「生得の人の良さ」というように、人間性を指して用いられることもあります。なお「生得」は、「生得頑固な男だ」というように「もともと」という意味で副詞的に使うこともできる言葉です。

類語③「天性」とは天から与えられた性質

「天性」とは、生まれつき備わっていることを表す言葉です。天から与えられたもので、自らの努力によって獲得できるものを指したものではありません。

「天性の商人・天性の明朗さ」というように好ましい能力や性質だけでなく、「天性の盗人・天性の天邪鬼」というようにネガティブなものに対しても使います。

まとめ

「資質」の意味をはじめ、類語の「素質」や「能力」との違いなどについて解説しました。責任ある立場や指導的なポジションなどに就くと、一定の権力を持つことができます。

しかし、常に「資質」を問われることになるという自覚を持たなければ、「資質に欠ける」と判断されることになるでしょう。持ち前の「資質」にあぐらをかくのではなく、日々「資質」を磨き向上させる努力が求められます。