なにか事件が起きるたびに「陰謀論」がささやかれるように、「陰謀」という言葉は日常的によく見聞きするものです。ダーティーなイメージが濃い言葉ですが、国と国、会社と会社のせめぎ合いなどで避けて通ることのできないものでもあります。この記事では「陰謀」の意味と使い方のほか、例文や類語も紹介しています。
「陰謀」の意味とは?
「陰謀」の意味は”密かなはかりごと”
「陰謀」の意味は、“密かにたくらむ悪事や、その企みのこと”です。
「陰」には、”こっそりと・覆い隠す”という意味があります。「謀」には、”くわだてる・はかりごと・たくらみ”などの意味があり、「陰」とあわさって”こっそりたくらむ・ひそかにくわだてる”という意味合いを形成しています。
「陰謀」には犯行を計画するという意味も
「謀」という文字には”計画を練る・相談する”という意味もあり、法律用語として使われる「陰謀」は、二人以上の者が犯行の計画や相談を行うとことを指しています。
「参謀」という熟語があるように、「謀」は必ずしも悪だくみを指したものではありません。けれども、「謀略・謀反(むほん)」というようなやや後ろ暗い意味合いで「謀」が用いられている例のほうが多くみられます。
「陰謀」の使い方と例文とは?
「陰謀」は「裏」で「計略する」こと
「陰謀」は「表に出ない」ことと、「じっくり計画して企てる」ことの2つを満たすものです。この点を押さえておけば、使い方を誤る心配は少なくなります。
- 外交には陰謀が付き物で、残念ながら友好は隠れ蓑にすぎないようだ。
- 社内でうずまく陰謀に巻き込まれ、彼は辞職する羽目になってしまった。
- 陰謀のセオリーは、敵だけではなく味方をも欺くことにある。
「陰謀」は四字熟語にも使われる
「陰謀」を使った四字熟語として、「陰謀詭計(いんぼうきけい)」があります。
「詭」という文字は、「詭弁」という熟語からもわかるように「あざむく」という意味を持ち、「詭計」で”人をだます計画”のことを表します。
ひそかな悪だくみという意味の「陰謀」とあわさった「陰謀詭計」は、”人を欺くためのひそかなたくらみ”という意味合いの四字熟語ですが、「詭計」を「危計」や「奇計」と書き誤らないように注意が必要です。
「陰謀」の類語と使い方とは?
類語①「画策」とはひそかに計画すること
「画策」とは、ひそかに計画を立てることを表した言葉で、熟語を構成している「画」は考えをめぐらすことを、「策」は計画を立てることを表した文字です。
けれども、「城の乗っ取りを画策したが、失敗した」「陰に回って様々な画策を続けた」というように、よからぬ計画を立てるときに多く用いられるため、「陰謀」の類語として使うことができます。
類語②「術策」とは人を陥れるはかりごと
「術策」とは、人を陥れるためのはかりごとという意味を持つ言葉です。他人を罠にはめるため策略のことを指す「権謀術策(けんぼうじゅっさく)」という四字熟語からもわかるように、誰かを意図的に貶めるためのはかりごとのことをいいます。
「術」という文字は、手段・技のほかにはかりごと・たくらみという意味を持ち、悪いことのために策を弄するという意味合いを「術策」に与えるものです。
類語③「謀計」とは相手をだますはかりごと
「謀計」とは、相手をだますはかりごとのことを表した言葉です。「謀」には、物事がうまくゆくように前もって手段を考えるという意味がありますが、手の内をさらすと失敗するリスクが高くなることから、秘密裏に行われるという前提があります。
「謀」という文字に漂う後ろ暗いイメージはここから来るもので、同じ意味合いを持つ言葉として「謀略」とともに、「謀計」も「陰謀」の類語としてあげることができる語句です。
類語④「奸計」とはずる賢いたくらみのこと
「奸計(かんけい)」とはずる賢いたくらみのことを指す言葉で、「奸」という文字には、「道理に反した行い・よこしま」という意味があります。
乱世のなかでのし上がった武将などを指して「奸雄」と呼ぶように、目的のためなら手段を選ばないずる賢さを表した文字です。
「奸計」においては、「ひそかに」という意味合いよりずる賢さが表に出ていますが、「奸計」のひとつとして「陰謀」はよく用いられるものといえます。
「陰謀」の対義語と使い方とは?
「陰謀」の対義語は見当たらない
「陰謀」の類語が数多くありますが、明確な対義語といえるものは見当たりません。
はかりごと自体があからさまに行われるものではないため、隠れずに堂々と行うはかりごとは考えられないことと、良いことを計画するさまを指す熟語もないためです。
まとめ
「陰謀」の意味のほか、使い方がわかる例文や四字熟語・類語などを紹介しました。正直さは大切ですが、残念ながら正直さだけで生き抜けるほど世の中は甘くありません。
悪意ある攻撃をかわし国や会社を存続させるためには、「陰謀」の存在を見抜き逆手に取る智慧も必要でしょう。ネガティブにとらえてしまいがちな「陰謀」ですが、一度冷静に観察してみることをおすすめします。