「成り行き」は日常生活でもよく用いられている言葉で、見聞きする機会も多いものです。しかし株取引にも「成り行き注文(成行注文)」の意味で使われている言葉でもあるため、一度しっかり押さえておくと使いやすくなります。この記事では「成り行き」の一般的な意味と類語のほか、株用語における意味合いや「寄り付き」との関係も紹介しています。
「成り行き」の意味とは?
「成り行き」の意味は次第に変化していく様子・過程
「成り行き」とは、ものごとがだんだんと移り変わっていく様子・過程のことを表した言葉で、「成り行く」の連用形です。
「成り」とは「~になる・変化する」を、「行き」は「進む・みちのり」ということを指しており、あわさって「成り行き」という語句を構成しています。
特に意図せず自然な流れでそうなっていった場合などに、「成り行きで…」と説明する用法がよくみられます。
「成り行きに任せる」は外的要因にあらがわないこと
「成り行き」でよく見られる用法の「成り行きに任せる」は、ものごとの変化や推移などの外的要因にあらがわずに行動することをいうものです。
ものごとに対して自ら働きかけて変化を加えるのではなく、ものごとそのものの変化に任せてしまうという、少し主体性に乏しい態度を表しています。
株用語での「成り行き」は「成り行き注文」の略
「成り行き」とは、株用語の「成り行き注文」を省略した言葉です。値段を指定せずに株を売買することで、できるだけ早い時期に株を売買したいときに指定するものです。
「成り行き注文」では、すでに売買を予約している人の数によって値段が違ってくるため、現在の株価より不利な取引になる可能性があります。なお希望する売買価格を指定して発注することは、「指値注文」と呼ばれています。
「成り行き」の類語
「雲行き」とはネガティブな「成り行き」のこと
「雲行き」は、ものごとの形勢や成り行きのことを表した言葉です。雲が動いていく様子を指しており、天候が変化しそうな様子や過程のことを指していることから、「成り行き」と似た意味合いを持つ語句といえます。
しかし「雲行きが怪しくなる」というように、天気が良くなるときではなく崩れていく方向に変化しているときに用いられることが一般的です。そのためものごとの成り行きについて用いる場合も、良くない結果に向かっているときに使います。
「潮流」とは時代の流れのこと
「潮流」とは時代の流れや時勢のことを指しており、もともとは潮の満ち引きによって引き起こされる大きな流れをいうものです。潮の流れは人間があらがうことのできない変化であることから転じて、時代の流れを指すようになりました。
ものごとの変化という点では「成り行き」と同じですが、「グローバル化の潮流は避けられない」というように、社会情勢のような個人の範疇を越えたものに対して用いられることが一般的です。
「行き掛かり」とはこれまでの事情のこと
「行き掛かり」は「ゆきがかり」と読みます。これまでの事情や流れという意味を持った語句で、「成り行き」の類語といえる言葉です。
「行き掛かり上、引き受けざるを得ない」というように、すでに手を引くことができないようなのっぴきならぬ状態のことも表しています。
他にも「どこかへ向かう途中」という意味もあり、「買い物の行き掛かりに銀行へ立ち寄る」というように用います。
株における「寄り付き」との関係
「寄り付き」とは朝一番の売買のこと
株取引で用いられる言葉として、「寄り付き」があります。証券取引所での取引時間には、「前場(東京証券取引所では9時~11時30分)」と「後場(東京証券取引所では12時30分~15時)」の2つがあり、「寄り付き」は「前場」と「後場」それぞれにおける最初の取引もしくはそのときの値段のことをいうものです。
「寄り付き」では高値での買い注文と安値での売り注文を突き合わせる方式で値段を決定しますが、このとき「成り行き注文」が最優先されるため、取引が成立する確率は高いものとなります。
「寄付注文」は条件付きの注文
「寄付注文」は「成行注文」や「指値注文」とは違って、注文を執行する条件を指定して行う注文方式です。「寄付注文」では、「前場」もしくは「後場」の「寄り付き」の値段のみで注文が有効になります。
「前場」の開始前に「寄付注文」を出した場合は、「前場」の「寄り付き」での注文となり、「前場」の終了後から「後場」の開始前に「寄付注文」を出せば「後場」の「寄り付き」での注文となるものです。
つまり、「前場」での「寄付注文」が成立しなければその「寄付注文」は失効となるため、「後場」の「寄り付き」で取引したい場合には、再度「寄付注文」を行う必要があります。
まとめ
「成り行き」の一般的に使われる意味と類語に加え、株用語としての意味合いや「寄り付き」との関係についても紹介しました。
ものごとを「成り行き」に任せてうまくいかなかった場合、自分以外のものにその責任を求めがちになります。どちらに転んでも構わないこと以外は、「成り行き」で決めないほうがよさそうですね。